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2012.01.30 ヘッジファンドが蠢(うごめ)く
■経済総合
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ヘッジファンドが蠢(うごめ)く
本日(1月29日)発売の「日経ヴェリタス」に、あるヘッジファンド代表が「日本国債バブルが崩壊する。それに勝負をかける」と語っているインタビュー記事が出ています。
要するに、「日本の財政赤字が膨らみ経常収支も近く赤字になり、日本国債バブルが18か月以内に崩壊する」というものです。別にその「見立て」に感心したわけでもなく、あまり有名でもない新興ヘッジファンド(著名ヘッジファンドは決して自分の考えを外部に言いません)の「ご託宣」を有難がって掲載している日経新聞を批判するつもりもないのですが、「全く別の危機」を感じました。
まずヘッジファンドの戦略はタイプによってもちろん違うのですが、巨額ファンドの多いグローバルマクロ型とかイベントドリブン型のポジションは驚くほど単純で、誰でも思いつくようなものです。
じゃあ、その「誰でも」と何処が違うのかと言いますと、ポイントで積み上げるポジション金額が尋常ではなく、強靭な精神力でこれを維持し(つまり反対に行った時にオタオタするとか、逆に少し利益が出たらすぐに利食ってしまうとかがありません)、しかし「間違った」と判断すればこれも一気に損切る思い切りの良さなどです。
ただ、これらのファンドにほぼ共通していることは、最大の拠り所が「当局の意向を見透かす」ことなのです。
「見透かす」の意味はいろいろあるのですが、「発表していない情報」や「公式見解と違う本音」などを知ることは当然で、さらに「誰が実質的に仕切っているのか?」や「どの程度、腹が据わっているのか?」や「責任者の失脚の可能性」などまで調査します(そしてこれらの「情報源」はほとんど「当局そのもの」です。おしゃべりが多いようですね)。
有名な例が1992年9月のジョージ・ソロスのポンド売りです。当時、欧州各国はERM(欧州為替相場メカニズム)によって自国の為替相場を一定の範囲に維持することが求められていたのですが、英国はポンドを維持できる経済状況ではなく、早晩ERM離脱(つまりポンドの切り下げ)に追い込まれることは誰にでもわかっていました。
ソロスが尋常でなかったことは、このポンド売りを100億ポンド(1兆数千億円)も仕掛けたことで、そのきっかけはラモント蔵相(当時)の「英国は投機に屈しない。100億ポンドの予算を使ってでも対抗する」との発言でした。どこまで(ポンドを)売れば白旗が上がると敵に教えてしまった致命的ミスでした。
いろいろ前置きが長くなったのですが、今回感じた「全く別の危機」とは、この無名ヘッジファンドの「ご託宣」ではなく、もっともっと巨大な世界の著名ヘッジファンドに「とんでもないヒントを与えてしまっている」ことなのです。
その「ヒント」とは、財政赤字額でもなく国債発行残高でもなく貿易統計でもなく、「当局が増税のために国民に財政危機を喧噪している」ことなのです。
つまりヘッジファンドのポジション(もちろん日本国債のショート)は、日本の当局が自ら「推奨」していることで、かつ最大の国債保有者である銀行は当局の意向を真に受けており、実際に暴落を始めるとサラリーマンの集まりですぐにパニックになるなど、収益がいくらでも拡大する条件が揃っているのです。
「当局」の意向は、もちろん「増税」を国民に納得させるために危機感をあおっているわけで、(さすがに)本当に国債の暴落を望んでいるわけではないはずですが、その行為そのものがヘッジファンドに「有望なチャンス」を提供しているのです。「有望な」とは、リスクに比べて「最大収益」がとんでもなく大きくなる可能性があるものです。
「当局」なり「当局」の意向を受けた野田政権がいたずらに日本国債が暴落すると危機感をあおり、国民資産で問題なく消化されているなどの「主張すべき事実」を国内外に向けて「意識的に伏せている」ため、本来なら問題なく退治できるヘッジファンドに(今のところ僅かではあるもの)「勝算」を提供してしまっているのです。
もちろん、そうなった時に儲けるのは海外のヘッジファンドで、最大の被害者はいつものように日本国民です。つまり官僚による「省益」を「国策」に優先する行為が引き起こしてしまっている「危機」で、当然著名ヘッジファンにはこの辺も「見透されて」いるのです。
「当局」にとって「国民の利益を守る」と「海外から日本を守る」が、せめて「官僚の利権を拡大する」と同じくらい重要なことを認識してほしいのです。
本日は、先日読者の方からリクエストを頂いていたドル・円・ユーロインデックスのチャート分析をするつもりだったのですが、急遽変更しました。もちろんチャート分析は今週中に必ず書きます(多分2回にわけて)。
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