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2012.01.18 日本の財政について考える その3
日本経済
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日本の財政について考える その3
最近の消費税増税論議のなかでいろんな意見が出ているのですが、もう少し原点に立ち返って考えてみましょう。
まず、国や地方公共団体の行う行政サービスの非効率さとか、官僚の利権や天下りとか、銀行の貸し渋りだとかを一旦横に置きます。
日本国全体を1つとして考えると、経済活動を行っていくうちに資金が足りない部門と余る部門が必ず出てきます。ここで資金が余った部門から資金が足りない部門に資金がうまく流れるように金融仲介機関(とりあえず銀行と思ってください)があります。
日本国全体を1つの貸借対照表として考えると、資産として家計が1471兆円(預金771兆円・証券164兆円・保険と年金準備金421兆円)、民間非金融法人が754兆円(預金183兆円・証券155兆円)、中央政府と地方公共団体が483兆円を保有しており、総合計が2708兆円となります。
一方、負債は家計が354兆円(借入294兆円)、民間非金融法人が992兆円(借入326兆円・証券405兆円)、中央政府と地方公共団体が1093兆円(証券912兆円)であり、総合計が2439兆円となります(資産総額と多少合わないのですが、とりあえず気にしないで下さい)。
ここで銀行・その他金融機関・保険・年金基金・投信・ノンバンク・財政投融資・政府系金融機関などは、あくまでも資産と負債を仲介するだけの金融仲介機関であり、これらの集計には入ってきません。
ここで海外関係を考慮に入れると、2708兆円の資産のうち582兆円(証券348兆円)が海外に投資されており、2439兆円の負債のうち342兆円(証券169兆円)が海外からの資金です。
つまり、日本国全体でみると2708兆円の資産をもち、そのうち582兆円を海外に投資しており、一方2439兆円の負債があり、そのうち342兆円が海外からの資金だということです(以上、すべて平成23年9月末時点の資金循環統計から)。
つまり、どこにも問題がないのです。
これでどうして日本国が破綻すると思うのでしょう?
国債残高が900兆もあると言っても、これは日本国全体の1部門である中央政府の、これまた負債部門だけを見て騒いでいるだけなのです。
三菱UFJ銀行の負債(預金)が130兆円もあり、さあ大変だと騒ぐのと変わりがないのです。
ギリシャなどが問題になるのは、国内の資金で国家債務(つまり国債残高)を吸収できず海外の資金で賄っているからなので、そもそも比較すること自体が間違っているのです。
ただもう少し考えを進めると、財政赤字が大きいということは日本国全体の1部門である中央政府と地方公共団体の業務(行政サービス)の採算が悪化しているということで、対応としてはサービス料金(税金)を上げるか、合理化とか業務の一部の民間移譲などでコストカットをしなければなりません。
常識的に考えて、銀行借り入れが多くて採算が悪化している企業に対して、銀行はコストカットや不採算部門の売却などを勧めると思いますが、「値上げしてもっと儲けろ」とは言わないと思います。
今のような不況時に、値上げしたら売り上げが落ちて採算がもっと悪化してしまうからで、逆に好景気になれば値上げしても採算が向上するはずです。
これと全く同じで、採算の悪化した中央政府や地方公共団体がまず行わなければならないのは合理化と一部業務の民間移譲であり、今のような不況時にサービス料金の値上げ(増税)を行えばもっと採算が悪化して、結果的にもっと資金不足になってしまうのです。
消費税をはじめとする増税論議は、この辺の常識に全く反していたずらに「危機感」を煽っているだけなのです。
逆に意識的に無視されている議論は、国債とは日本国全体の1部門である中央政府の「負債」であり、同時に家計や民間非金融法人にとっては「資産」だということです。決して「使って消えてしまっている」わけではないのです。
経済原則から言って、国債金利が低下を続けるということは、資金の需給関係から見て「借り手」が「貸し手」に対して優位にあるということです。
だからしばらくサービス料金の値上げ(増税)を行わず、(もちろん合理化によるコストカットは当然なのですが)不足する資金は資金余剰で(困っているはずの)家計などからどんどん借り入れて(国債発行)あげればよいことになるのです。
非常に簡素化した理論なのですが、間違っていないと思います。
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2012.01.19 日本の財政について考える その4
日本経済
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日本の財政について考える その4
昨日「日本の財政について考える その3」を書いたところ、たくさんのコメントを頂戴しましたので、本日もその幾つかを反映させて続けることにします。
まず日本国債の格付けは(正確に言うと国債格付けと政府格付けは違うのですが、混同して使うことにします)、先日ユーロ圏9か国の格下げを行った米国S&Pが昨年1月にAAマイナス(アウトルックは同年4月に「ネガティブ」)に、同じく米国Moody’sが昨年8月にAa3(アウトルック「安定的」)にそれぞれ格下げしています。
両社ともかなり硬直的(要するに単純で機械的な)な格付け基準を採用しているため、日本国債の更なる格下げは十分考えられます。先日S&Pが、日本よりはるかに財政赤字の少ないスペインをAに格下げしているため、この辺まで下がると思います。
本来は政府首脳や財務官僚が、日本国債について「将来にわたって国内資金だけで賄える」と内外に強調すべきなのですが、逆に増税のために「ギリシャ並み」と自ら公言しており「早く格下げしてくれ」と言っているようなものなのです。
まあ、あまり関係ないと言えば関係ないのですが、やはり「国策」に反する行動です。
そういえば、日本にも格付投資情報センター(R&I)という格付け機関があるのですが、昨年末に日本国債の格付けを最上格のAAAからAA+に1段階引き下げています。これも増税のためのアシストかもしれません。
ついでに言えば、最近テレビや新聞に出てくる「専門家」のコメントもすべて「はやく増税しないと日本は大変なことになる」的なものばかりです。まあ、そう言わないと出してもらえないのでしょう。
しかし、日本国債は格下げされても流通利回りは低下を続けます。これは格下げの悪影響が株式市場や実体経済の方に強く出るため、かえって国債に資金が集まるからです。
次に、いくら国債の消化に問題がないと言っても際限なく国債を発行し続ければいずれ破綻してしまうのでは、というご指摘も頂いています。
結論だけ言いますと、その通りです。
「何だ、結局そうか」と言われると思いますが、それは日本国全体の資産(資金)がこれ以上国債に回せなくなるほど減少するか(あるいは国債残高が膨らむか)、設備投資や株式市場や海外投資に資産(資金)が大量に振り向けられて国債にこれ以上回せない(あるいは売却しなければならない)事態に陥った時です。
この点だけを先に書いておきますと、少なくとも現時点では2708兆円の資産があり900兆円くらいの国債残高ではびくともせず、設備投資や株式市場や海外投資は、経験的には金融機関の信用創造機能が回復して景気実感が改善しないと進まないため(だから円高と株安が続いている)、これも急に激増することはありません。
つまり、そうなる前に十分時間はあるのです。
しかしそうなる前に(さらに増税をする前に)絶対やっておかなければならないことがたくさんあります。
まず、中央政府と地方公共団体(外郭団体を含む)の合理化なのですが、もちろん官僚の利権の温床なので簡単ではなく、野田首相は「政治生命をかける」場所を間違っているため期待できません。
ここはまず業務の民間移譲から取り掛かるべきです。
一例を挙げますと、先日の大学入試センター試験では数々のミスがあったのですが、これを独占的に扱っているのは「独立行政法人・大学入試センター」です。
考えてみれば1年のうち実働が2日で、準備期間を入れても2か月くらいしかいらないはずのところに、お決まりの天下り役員と100人を超える専業人員を抱え、年間2.5億円の補助金を得ているのです。そもそも受験料が1万8000円で55万人も受験するので、収入が100億円もあるのに何に使っているかも良く分からず、100億円の土地も所有しているらしいです。(以上、1月18日付け日刊ゲンダイより)。
これこそ大手予備校に入札で委託すれば(情報漏洩対策は必要なもの)大幅なコスト削減と質の向上が見込まれるはずです。
これも、たまたま数多くのミスが出てニュースになったので気が付いたのですが、すぐにうやむやになってしまいます。しかしこんな例がいっぱいあるはずなのです。
長くなりますので、具体的にどうするかなどは次回にします。でも明日はとりあえず別の話題にするかも知れません。
平成24年1月19日
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