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2012.01.17 「沖縄密約」とドラマ「運命の人」
■政治・官僚
「沖縄密約」とドラマ「運命の人」
本日は「ユーロ諸国の格下げ」や「日本の財政について」や「またまた素人の防衛大臣」など書くべきことがいっぱいあるのですが、どうしてもこれを書きたかったのです。
「ユーロ諸国の格下げ」については、ニュースを聞いて直観的に感じたことを1月14日付けメルマガに配信してあり(メルマガ登録がまだの方は是非登録しておいて下さい)、「日本の財政について」では増税を非難する本誌に対し「増税も国債増発も同じ国民負担である」とのコメントを頂いており、それぞれ近々に掘り下げて書くつもりです。
さて、昨日からテレビドラマ「運命の人」が始まりました。
山崎豊子氏が2005年頃から文芸春秋に連載していた同名小説のドラマ化ですが、個人的な「好み」から山崎氏の小説は読まないので、読んでいない小説「運命の人」についての記事ではありません。
しかし題材の「沖縄密約」や「西山事件」については、まさに本誌が全力で書こうとしている「国を挙げての隠蔽工作」「協力する捜査機関」「迎合するマスコミ」「奇怪な判決」すべてが凝縮されており、しかも現在まで尾を引いている「現在進行形の事件」なのです。
確かに当時は「国」とは政府のことで、現在のように「官僚」が主導したわけではないのですが、「国を挙げての隠蔽工作」が「捜査機関の協力」と「迎合するマスコミ」によって見事に「低次元の不倫スキャンダル」に置き換えられたのです。
つまり本日どうしても「沖縄密約」について書きたかったのは、大手民放テレビによってのドラマ化なので「全く同じ置き換え」が継続されて「単なる男女の愛憎ドラマ」として描かれていれば「事件の本質的評価」がますます歪められてしまうからです。
事件については、昨年10月4日付け「外務省の闇・沖縄密約について その1」と10月5日付け「外務省の闇・沖縄密約について その2」に書いてありますので、ぜひ読み返してみて下さい。
要約すると、1971年6月17日に日米両国間で調印された沖縄返還条約をめぐり、国民に知らされていなかった400万ドルの経費を日本が密かに肩代わりしていた事実を示す秘密電文のコピーを、毎日新聞の西山太吉・元記者が「親密」だった外務省の女性事務官から入手して社会党(当時)議員に渡したもので、西山氏も女性事務官も国家公務員法違反で逮捕・起訴されました。
米国側の機密指定は2000年頃に解除されており、米国公文書館で公開された資料には「密約」の存在だけでなく、「密約」に基づき日本が肩代わりした費用は、西山氏が入手した400万ドル(当時の為替で12億円)だけではなく1億8700万ドル(同576億円)であったことなどがはっきりと記載されています。
本質的な問題は、沖縄返還のために576億円を当時の政府が支払った判断についてではなく(沖縄が返還されたことは事実なので、その是非については後世が判断すべきもの)、現在に至るまで政府も官僚も「知らぬ存ぜぬ」を貫き通している「不気味さ」なのです。
また西山氏らが文書開示を求めた「密約訴訟」でも、(一審では開示を命じる判決が出たものの)高等裁判所が文書の意識的破棄の可能性まで言及しながら「無いものは開示する必要がない」と明らかに本質を避けた「判断」をしている「不気味さ」なのです。
繰り返しですが「沖縄密約」とは、「国家(当時は官僚ではなく政府ですが)」「捜査当局」「マスコミ」「裁判所」といった「国策捜査サークル」の「傑作」なのです。もちろん「国策捜査サークル」は、「国家」が政府から官僚に置き換わっただけで現在も健全なのです。
それが再び大手マスコミ(民放テレビ)によって「安っぽい男女の愛憎ドラマ」に仕立て上げられている(そうでないことを願いますが)恐れがあるので、本日どうしても書きたかったのです。
ドラマには、当時西山氏の盟友だった渡辺恒雄氏も出てくるはずです。現在は「権力の権化」のような渡辺氏ですが当時は反骨の記者だったようです。やっぱり権力は人間を変えてしまうようです。
最後に余談ですが、最近マスコミを賑わせている元(?)オウム幹部と女性信者について、マスコミはすべて「女性信者の献身的な行動」を美談としかとらえていません。そうした話題の方が視聴率を稼げるからです。
あくまでも個人的感触ですが、二人は筋金入のオウム幹部とその監視役の女性信者です。男性幹部の自首はもちろん他のオウム幹部の死刑執行を遅らせるためであり、女性信者の自首は男性幹部に対する「本当のことをしゃべったら他の罪もかぶせるぞ」という脅迫のメッセージなのです。
オウムは今も深く静かに潜行していると思います。そしてマスコミの変わらぬ体質が国民を危機に陥れるのです。
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