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大失業時代を迎えた欧米諸国
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投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 12 日 01:14:39: 6WQSToHgoAVCQ
またEconomistの欧米ダメだ論
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/22087
大失業時代を迎えた欧米諸国
2011.09.12(月)
The Economist (英エコノミスト誌 2011年9月10日号)
政治家が欧米の恐ろしく高い失業水準を引き下げることは不可能ではない。
地理的な想像力を多少働かせると、欧米の失業問題の大きさが伝わりやすいかもしれない。主に富裕国からなる経済協力開発機構(OECD)の加盟国全体で失業者数は4400万人いる。もしこの人たちが1つの国に住んでいたとすると、その国の人口はスペインに匹敵する。
スペイン、失業率20.33%に 先進国で最悪水準
スペイン・マドリードの公共職業安定所前に並ぶ人びと〔AFPBB News〕
当のスペインは失業率(21%)が西側諸国で最も高く、失業者の数はマドリードとバルセロナを合わせた人口に等しい。
米国では、1400万人という公式な失業者は、同国で5番目に人口が多い州を形成する。これに、望む量の仕事を得られない「不完全就業者」1100万人を加えると、テキサス州の規模になる。
欧米の労働市場が一様に暗いわけではない。例えば、ドイツの現在の失業率は金融危機の前より低い。
だが先進国の大部分では、失業率が2009年のピーク時から少し下がったとはいえ、依然として危険なほど高く、さらにいくつかの国が景気後退に逆戻りしつつあるかもしれないという懸念が増している。
そして、経済危機の人的コストは、主に失業者によって支払われる。失業は、うつ病、離婚、薬物乱用など、人生を狂わせる様々な要因を増大させるからだ。
たちの悪い失業
さらに悪いことに、現在の雇用情勢は特に危険なパターンを示している。失業者のうち若年層が不釣り合いなほど大きな部分を占めているのだ。若年層の失業は、将来の低賃金と先々の失業の可能性の増大という点で、大きな傷を残す。
失業の慢性化も進んでいる。柔軟な労働市場で知られる米国では、2007年には17週だった平均失業期間が、現在は40週に長期化している。イタリアでは、失業者の半数が職を得られないまま1年以上過ごしている。
失業期間が長い状態は、労働者の技能が衰え、職場から疎遠になることから、解消がますます困難になる。その影は長く伸び、将来の成長率を抑え、この先長期にわたって財政を損ない、社会秩序を歪める。
この惨状が短期間で修復されることはない。たとえ成長が加速したとしても、失業率は厄介なほど高い状態が数年間にわたって続くだろう。労働者の再訓練など、多くの救済策は時間を要する。
だが、だからこそ政治家がこれまでほとんど何もしてこなかったことは、なおのこと衝撃的だ。米国では、左派が政府の支出が足りないと主張する一方、右派は大きな政府が雇用を破壊していると言い張り、不毛な議論にはまり込んでいる。
支持率が低下する一方のバラク・オバマ米大統領は、本誌(英エコノミスト)が印刷に回される直後に議会で雇用対策に関する演説を行う予定になっていた。大西洋をはさんだ欧州では、ユーロ危機への対応策の多くが、まるで失業率を上げることを意図したもののように見える。
欧米の指導者は、もっとうまくやれるはずだし、また、そうしなければならない。
成長を目指せ
最優先課題は、需要を支えること――あるいは、せめて需要を損なわないこと―― であるべきだ。
左派は、現在の高失業率の主な原因が先の景気後退の厳しさとそれに続く回復の弱さにあるとする1点において正しい。ところが、欧米諸国は緊縮の方向に乗り出した。一部のケースでは、問題は金融政策にある。欧州中央銀行(ECB)は最近行った利上げを元に戻すべきである。
だが問題の主犯は、各国政府が協調的に進めている緊縮財政への時期尚早な転換である。
本誌(英エコノミスト)が繰り返し論じてきたように、政治家は債券市場と取引をする必要がある。現在の成長を守る政策と、中期的に赤字を抑え込む方法とを組み合わせるのだ。
例えば、定年を引き上げることで、短期的な成長を促進する余力が増えるだろう。オバマ大統領の雇用対策の最低限の評価基準は、来年予定されている国内総生産(GDP)比2%相当の財政引き締めを打ち消せるほど大きな対策であるかどうかだ。
短期的な資金はどこに投じるべきか? いくつかの景気刺激策の間には、雇用対策という面で優劣がある。
ドイツが就業時間短縮に出した補助金は、企業に労働者解雇を思いとどまらせるのに役立った。一方、オバマ大統領がグリーン技術に拠出した補助金は、少数の選ばれた企業の利益拡大に寄与したが、雇用を刺激する効果はほとんどなかった。
政府は、雇用を刺激する政策を優先すべきだ。道路の敷設や学校の修復のような一部のインフラ支出は、この範疇に入る。雇用コストを削減する税制優遇、特に新規採用の労働者の雇用に有利な優遇策も同じだ。このことから、米国が給与税減税を延長し、さらには減税幅を拡大することが理にかなっていると言える。
米国の場合、連邦政府から州政府への補助金も雇用を刺激する。州が予算を削減する主な手段が職員の解雇だからだ。
将来の雇用環境整備に向けて
このように、政府の資金を雇用対策に役立たせる方法はいくつかある。しかし、雇用の惨状が需要だけの問題ではなく、刺激策を増やすだけでは解決できないことも明らかだ。
金融危機が起きるずっと前から欧米で雇用の問題が進行していたことを示唆する証拠は、非熟練労働者の雇用率低下から障害者登録数の増加に至るまで数多くある。新技術とグローバル化の組み合わせにより、非熟練労働者の需要が減り、多くの労働者、特に男性労働者が、こうした労働市場の根本的な変化に対応し損ねた。
雇用の将来に関する本誌の特集記事が解説するように、技能重視への需要シフトは、この先長く続くことになる。このことは、雇用対策の重要な柱として、教育改革、先進諸国における将来の雇用に向けた人材養成の強化、起業家に対する規制の緩和などを考えるべきであることを示唆している。
だが労働市場政策そのものが大きな違いを作り出せることも、また明らかだ。多くの場合、これは規制緩和を意味する。スペインで25歳以下の若者の46%が失業中なのは、甘やかされている「終身」労働者と、解雇しやすい「臨時」労働者という、2層の雇用体系が存在するからだ。若者は臨時労働者に大きく偏っている。
欧州の地中海経済は、ドイツの労働市場改革から多くを学べるだろう。米国は創造的破壊が得意だが、失業者の職場復帰を支援する施策への投資があまりに少ない。時代遅れの失業対策を作り直し、職業訓練体系を改善する方法について、オバマ大統領はオランダとデンマークからヒントを得られるかもしれない。
こうしたあらゆる手段を正しく実行していくなら、求職の期間は短縮されるはずだ。だが欧米政府は雇用問題の重大性を理解するのに、あまりに長い時間がかかった。そのせいで、大勢の人が今後も苦しむことになる。
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