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「9.11」は世界を変えたのか？2011.09.05（月）
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（2011年9月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙）

米国は11日、2001年9月11日の同時多発テロから10年を迎える（写真は崩壊した世界貿易センタービル）〔AFPBB News〕
10年前のニューヨークとワシントンへのテロ攻撃以来、ほとんどあらゆるものが変わってしまった。地政学的および経済的な風景の輪郭は描き直された。興味深いことは、こうした変化がごくわずかしか「9.11」に起因していないことだ。

　過去10年間の激動の後では、これは直感に反するように思えるだろう。米国は、アフガニスタンとイラクで戦争を始めた。暴力的なイスラム主義は、米国の世界観を一変させ、世界の米国観を一変させた。

　ジョージ・ブッシュ前大統領の「テロとの戦い」のために、すべてが静止した――あるいは、そのように見えた。アルカイダは今も存在する。グアンタナモ収容所も然りだ。

多国間主義が失われた瞬間
　筆者は2003年春にワシントンを訪れた時、ある米国政府高官がイラク侵攻がいかにして国際的なゲームの新しいルールを定めるか説明するのを聞いた。多国間主義に関する感傷的な言葉はすべて忘れてほしい、とこの高官は（ほとんどが感傷的な）ヨーロッパ人の聴衆に向かって言った。

　今は、唯一の超大国の時代である。同盟国がいようがいまいが、米国はツインタワーがなぎ倒された借りを返す――。我々は多国間秩序の破壊に立ち会っている、と筆者は当時書いた。

　だが、こうした大混乱にもかかわらず、今世紀を形作っている地政学的な力は9.11とごくわずかなつながりしか持たないという結果になっている。ウサマ・ビンラディンは10年分のニュースになったが、未来は、北京、デリー、リオデジャネイロ、その他の場所で書かれている。

　1814年に英国がホワイトハウスを破壊して以来初の米国本土への本格的な攻撃に対する反応は、2つの前提に支えられていた。1つ目は、米国は冷戦での勝利によって与えられた世界的な優位性を行使する、というもの。2つ目は、西側の安全保障は、イスラム過激主義のジハード（聖戦）との1世代に及ぶ戦いに特徴付けられる、というものだ。

　ブッシュ政権はすぐに3つ目の前提を付け加えた。中東は、西側の自由民主主義のイメージに沿って作り変えられる、というものだ。

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