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「大クラッシュが日本を襲う」(『週刊文春』平成23年8月25日号)
昨日のニューヨーク外国為替市場では、1ドル75円台に突入しました。円高は基本的に日本の利益になるのですが、輸出関連の中小企業にとってダメージが大きく、一層経営が苦しくなることでしょう。(大企業の多くは既に対策を打っていて、1ドル70円ぐらいまで行くと想定しています)
週刊誌はこの手の危機を煽るのが得意ですが、今週の『週刊文春』でも、10月が危ないとしています。時期を特定しているだけあって、それなりの根拠が存在します。我々の生活に大きな影響を与える可能性がありますから、その内容を簡単に紹介します。
東日本大震災後、東北地方の企業を中心に経営危機に見舞われました。社屋や工場が流されたり、従業員が行方不明となったりしたわけですから、どんな健全な企業でも、これでは立ち行きません。当然、取引で不渡りを出すことになります。
手形などの決済ができないと、取引が停止されて、企業は倒産してしまいます。そこで、特例措置として、震災後に企業が不渡りを出しても、倒産扱いしないこととされました。取引代金を支払わなくても、潰れずに済んだのです。しかし、この特例措置をいつまでも続けるわけには行きません。阪神大震災のときも、同様の措置がとられましたが、このときは半年で打ち切られています。
今回の特例措置がいつまで続くか判りませんが、仮に半年とすると、10月で終了となりますから、この時期に倒産が相次ぐことになります。政治の不作為もあって、被災地の復興は遅々として進んでいませんから、半年経っても、大半の被災企業は立ち直っていません。前例を踏襲して半年で打ち切ってしまうと、目も当てられないことになるでしょう。(そうすると政府に非難が集中しますから、もう半年ぐらいは先延ばしすると思われます)
心配なのは、金融円滑化法の運用が変更されたことです。リーマンショック後、我国も不況に見舞われましたが、中小企業を救済すべく、2009年12月に「金融円滑化法」が施行されました。借金返済条件の見直しを認めるもので、当時金融担当大臣だった亀井静香氏の肝煎りで成立しました。
この法律によって、今年3月までに186万件もの申し込みがあって、実行率は97%に達したそうです。申請企業のほぼ全てが、借金返済条件を緩和してもらうことができたのです。亀井静香様々と言ったところでしょう。
しかし、制度発足から1年半以上経って、問題も出てきました。ある金融庁担当記者は、次のように述べています。
「見直しは半年を期限に行われ、すでに二回、三回と繰り返している企業も増えてきました。その一方、ゾンビ企業の『単なる延命措置』との批判も大きくなり、金融庁は、四月に監督指針を変更したのです」
その「監督指針の変更」とは、全国の銀行に対し、対象企業の「持続可能性の見極め」を求め、「債務者が自主廃業を選択する場合の取引先対応等を含めた円滑な処理等への協力」を要請するというものです。お役所の言い回しで解かり難いですが、要は再建の見込みが立たない企業は倒産させてもよい(借金返済の条件を緩和しなくてもよい)ということです。
もちろん、放漫経営で潰れそうになっている企業まで救済することはありません。そうした企業は、本来のルールで処理すべきです。しかし、まじめに企業活動に励んできた会社までも、この指針の変更で切り捨てられる可能性が出てきました。金融円滑化法は、ただでさえ銀行側の評判はよくありませんから、金融庁が弱腰になってしまうと、銀行サイドの都合で企業倒産が続出する恐れがあるのです。
普通の中小企業にとって、リーマンショックは大震災と同様の不可抗力で、自力で対処することなどできません。政府が保護する必要があるのですが、政治家や官僚が外資の便宜を図ったり、権力闘争に現を抜かしている有様ですから、小さな企業は翻弄されるばかりです。今の日本では、自助努力という厳しい道しか残されていません。政治改革が今ほど求められているときはありません。
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