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北朝鮮人民を貧困から救えない中朝同盟
加藤嘉一・中朝国境をゆく(15=エピローグ)2011.08.17(水)
加藤 嘉一
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再び延吉に取材へとやって来た。
滞在期間はそれぞれ異なるが、これで5回目になる。中国と北朝鮮の国境を行く旅。北京大学で一緒だった北朝鮮留学生からの助言〜「国際関係を理解したいなら国境へ行け」がきっかけだった。
北朝鮮と国交を持たない日本の国民である筆者が、何らかの形で北朝鮮に触れるには、中国を使うしかなかった。現在中国を拠点に活動している利点を生かし、中国サイドから北朝鮮を眺めてみようと決心した。
実際に自らの足で歩いた。何百キロ歩いただろうか。果てしない道のりだった。今に至っても、計算する気にはならない。
3カ月間の国境の旅で身に染みた人々の親切
吉林省延辺朝鮮族自治州延吉市 約3カ月間に及ぶ旅を通じて、いろいろな情景に出会った。国境を生きる人々にお世話になった。
筆者は身一つで乗り込んだ。現地の方々のサポートなしには、あの旅は考えられなかった。実現不可能であった。
本連載の影のヒーローは、紛れもなく彼ら、彼女らである。
筆者の取材に、最初は戸惑いながらも率直に答えてくれた北朝鮮の方々にも、感謝の意を申し上げたい。今後、どこかでまた出会うことがあるのかな。勝手に想像してしまう。
北朝鮮留学生の言葉は真実を反映していた。国境には国際関係があった。国際関係を学ぶ人間が直面しなくてはならない使命感のようなものが、そこにはあった。
旅を通じて、筆者は中朝関係と国境動向の関係性を分析してきた。結論を言うと、両国政治関係が悪化すればするほど、貿易や観光、脱北を含めた国境間の往来が減少する。
その分、密輸は激増する。国境で食っている「朝鮮人」たちにとっては、政治や核兵器なんて、どうでもいいのだ。メシを食うこと。そこで始まり、そこで終わる。
本連載でも度々登場した脱北者の数が、2005年前後に比べて激減している。北朝鮮当局が人民の脱北行為に対する統制を強化したためだ。
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