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2009-04-29 ノウイング
ノウイング KNOWING
ポイント ★★
DATE 09/4/24
THEATER THRP
監督 アレックス・プロヤス
ナンバー 97
出演 ニコラス・ケイジ/ローズ・バーン/チャンドラー・カンタベリー/ララ・ロビンソン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
傾いた主翼が送電線を引きちぎったかと思うと、大地を切り裂きながら胴体ともに地面に叩きつけられる。暴走する電車がホームを横滑りして支柱をなぎ倒し、乗客を飲み込んでいく。飛行機の墜落事故や地下鉄の脱線事故に遭遇した主人公が体験する圧倒的な臨場感がリアルに再現される。さらに巨大化した太陽の放射線に焼きつくされ、あとかたもなく廃墟となってしまう地球。壮大な災害をの前には全く無力な人間の弱さを背景に、逃れられない運命を知ったときに何をすべきかを問う。
50年前のタイムカプセルから数字の羅列を記した手紙を受け取ったケイレブは、奇妙なささやき声を耳にするようになる。ケイレブの父・ジョンはその手紙の意味を解読、過去50年間に起きた大惨事の日時と犠牲者数・現場の座標であると知る。
手紙から地球の滅亡が間近に迫っていると知り、ジョンは何とか食い止めようと奔走する。だが、もはや個人の努力のレベルではいかんともしがたい太陽系規模のカタストロフィ。ケイレブを謎の男たちに預けると、疎遠になっていた父親の元に帰る。終末は愛する肉親とともに迎えるというのが人としての一番幸せな最期なのだろう。結果的に、物語は手紙の謎解きや黒い服の男たちに関係なく、時間はあらかじめ定められたとおりの未来に進み、ジョンの努力をあざ笑うかのよう。映画はアクションとスペクタクルに走ってしまい、ジョンの心理的な葛藤がほとんど見られず残念だ。
宇宙人といえば侵略型、友好型と流行はあったが、この作品では物質文明を凌駕する霊的な存在として登場する。彼らは直接心で交信し、人類の科学では感知できない高度な移動手段を持つ。ケイレブとその友人、その他少数の選ばれし者たちが宇宙人によって他の惑星に連れ去られ、新たな世界を築くというラストシーンはわずかに救いをもたらす。しかし、生き残る者を選別する基準なども全く描かれず、死ぬべき者はやっぱり死ぬ。ならば、最初から何も知らなかったほうが幸せだったと思わせる展開には首をかしげる。もうひとひねる脚本に工夫がほしかった。
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