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財務省が仕掛けるトリック!復興増税へのレール着々
2011.07.27
連載:2011「日本」の解き方
Tweet 日経新聞は20日付夕刊で「復興増税10兆円規模 5〜10年間、所得・法人税軸に」と報じた。大震災の復旧・復興のために10兆円規模の臨時増税を5〜10年間で所得税や法人税を軸に税額を上乗せするという。子ども手当の見直しなど歳出削減に加え、国有財産の売却や剰余金で増税額をできるだけ抑えるともしている。
なぜ所得税と法人税を軸にするのか、増税が行われた場合の経済への影響、法案成立のめどはどうなのか。
所得税と法人税とする理由は、消費税だと国民全てが増税になってしまい被災者も巻き込まれてしまうが、所得税や法人税なら被災者に対して減税や免税措置ができるからだといわれている。
しかし本音は別のところにある。復興増税では当初3年とされていた。さすがに3年では年間増税額が巨額になるので、今では5〜10年間とされている。
もっとも、当初2〜3年は税負担を重くし、その後、段階的に増税幅を縮小するようだ。要するに、3年間という当初の構想は生きている。それは、3年後から税と社会保障改革で、消費税を5%から10%へと引き上げることが既定路線だからだ。
いきなり復興増税で消費税を上げて、それをそのまま税と社会保障一体へと引き継いだら、火事場泥棒といわれるのが目に見えている。復興増税は国民に連帯を呼びかけて、国民にアレルギーの少ない所得税と法人税で上げておいて、その後、所得税と法人税を引き下げて、その代わりに消費税を上げたほうが国民に受け入れられやすいと財務省が思ったからだ。
増税が行われた場合の経済への影響はどうか。プラスの復興需要創出とマイナスの増税効果の綱引きになる。教科書的な議論では前者のほうが大きいが、海外取引などを実際を考慮すると、両者の大小関係はほぼ同じと見て良い。
むしろ金融緩和を十分に行わないと円高を招いて経済が縮小する可能性が高い。その場合、マイナスの増税効果は心理的に予想外の経済活動の萎縮を招く可能性を否定できない。
特にデフレ下での増税は、これまでの実績を見ると経済活動を停滞させ必ずしも税収を大きくしないので、財政再建の立場から見てもかえって逆効果になる。
法案成立のめどについては、政府は今月内にも案を固めて、3次補正とともに法案化する予定であるが、復興増税に確たる裏付けがないので、与党民主党内からの強い反対も予想される。
野党自民党の今の執行部は財務省に洗脳されているので、本音は賛成だが、民主党内のゴタゴタを見れば、簡単に賛成というわけにいかない。ポスト菅の試金石だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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