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今年の夏は炭酸がアツい! 飲料市場に異変
Business Media 誠 7月26日(火)11時23分配信
あるコンビニチェーンの炭酸飲料と紅茶飲料の売り上げ前年同月比推移
2011年夏。今年の夏は過去の夏とは大きく異なる現象が、飲料市場で発生している。
【コンビニ、ヒット商品の理由:今年の夏は炭酸がアツい! 飲料市場に異変】
環境変化としては、「例年よりも梅雨明けが早い」「原発事故の影響による節電」というキーワードがある。2010年は猛暑だったが、今年も昨年並み、いや節電によって体感気温では昨年以上の猛暑となることが見込まれるため、コンビニの飲料売り場にとっては大きな追い風になると予想される。
3月11日の東日本大震災で大きく落ち込んだ飲料売り上げ。しかし、その後の推移を確認すると、月を追うごとに回復しており、6月にはほぼ前年並みの水準となった。ちなみにアイスクリームも順調に売り上げを伸ばしている。
ただ、この数値はあくまで前年対比。2010年は7月後半から本格的な猛暑となったため、今後は前年比での鈍化は避けられないと考えている。
●紅茶苦戦の理由
今年の夏も順調に売り上げを伸ばせている飲料市場。その中で起こっている異変とは、「紅茶」の苦戦である。サントリー『リプトン』、キリンビバレッジ『午後の紅茶』、日本コカ・コーラ『紅茶花伝』、伊藤園『Teas' Tea』、アサヒ飲料『TeaO』といった飲料各社が力を入れてきた紅茶ブランドが伸び悩んでいるのである。
紅茶カテゴリーは味によって4つに分類できる。「ミルク」「ストレート」「レモン」といった定番の味に加えて、近年の紅茶の伸びを支えてきたのが「フレーバー系」である。定番の味ではロイヤルミルクティなどの新機軸を打ち出しつつ、フレーバー系ではオレンジやアップルなど新味の新商品を投入してきたのである。
これら一連の動きが東日本大震災以降、急激にブレーキがかかった。コンビニの飲料市場では、新商品投入が多いカテゴリーほど売り上げが伸びやすい傾向にある。しかし、紅茶の新商品(主にフレーバー系)が発売されることが少なくなったため(メーカーによると工場被災が理由という)、徐々に売り上げを落としていったのである。定番商品でも安定的な商品供給が困難となり、売れ筋商品の『午後の紅茶』シリーズ(特に『午後の紅茶 茶葉2倍ミルクティー』)などの売れ方にムラが発生した。
そして一度ダウントレンドになった紅茶カテゴリーに対して、効果的な対策を打てないまま前年割れが恒常化しているのである。
●炭酸飲料の伸び
紅茶カテゴリーの凋落(ちょうらく)を横目に、グングン売り上げを伸ばしているのが「炭酸飲料」。紅茶と対照的に、炭酸飲料は新商品が大量に投入され、大きく売り上げが伸びているのである。新商品の例としては日本コカ・コーラ『メローイエロー』、ハウスウェルネスフーズ『C1000リフレッシュタイムスパークリング ゼロ』などが挙げられるだろう。
そして、ついに飲料市場で地殻変動が起こった。過去の飲料市場では「お茶」「ミネラルウオーター」「スポーツ」「紅茶」が四天王だったが、「お茶」「ミネラルウオーター」「スポーツ」「炭酸飲料」が新四天王になったのである。
店舗でも、新商品は売り場のゴールデンライン(目に付きやすい棚)に陳列するよう、店員のDNAにインプットされているので、炭酸飲料は「新商品が多い→良い売り場に陳列される→さらに売れる」という好循環になっている。
もしコンビニを訪れることがあったなら、飲料売り場を一度確認していただきたい。炭酸飲料の売り場を広げている店舗はしっかりと売上を確認し、対策を打てている店員の能力の高い店舗である。
とはいっても、紅茶飲料が完全に消費者ニーズから離れてしまったわけではない。サントリーが7月12日に発売した『リプトン オレンジリフレッシャー』は久しぶりの目玉新商品である。これが販売好調なら、紅茶飲料の売り上げも再び伸ばすことができるだろう。
だが、迎え撃つ炭酸飲料にも、花王『ヘルシアスパークリングクリアグレープ』という大型新商品が控えている。テレビCMも大量に投下されることから大きな売り上げが見込め、炭酸飲料全体の売り上げも伸びると予想できる。今年の夏飲料を制するのは「炭酸飲料」ということは間違いないだろう。
【笠井清志,Business Media 誠】
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