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なぜ胡錦濤はアフリカへ行くのか 傑作(1)
2009/3/22(日) 午後 7:07今週の華人経済ネタ国際経済 Yahoo!ブックマークに登録 先月、中国の国家主席である胡錦濤(Hu Jintao)がアフリカ4カ国(マリ、セネガル、タンザニア、モーリシャス)を公式訪問したことは、以前にも本欄で触れました。
国家主席であるHu Jintaoは、毎年初めの頃にアフリカ大陸を公式訪問していますが、過去3年程度では実に6回もの訪問を実施しています。
ちなみに、日本の首脳は小泉元首相以来、ずっと公式訪問はなされていません(興味ないのでしょう)。
このHu Jintaoの公式訪問に関し、「あー、また中国お得意の資源外交かー」とコメントされる方もたまにいます。
が、実はこの見方は全然違います。
訪問対象であった4カ国は、実は、中国が持続的な経済成長に必要としている石油や天然ガスなどの自然資源を豊富に有している国ではないのです。
「え?では、なんでそんなところに国家主席が行くの?」
「あー、そうか、中国は昔から『南々協力』とか言って、途上国の立場としてアフリカを50年来援助し続けてきたからね。要は、資源外交とは関係ない人道的援助なのか…」
− とコメントされる方も多いかもしれません。
これは、50%正解ですが、残る50%にはもっと深い真意があると見た方が良いでしょう。
その鍵は、以下のキーワードです −
@ 4カ国の中に、モーリシャスが含まれている
A Hu Jintaoがアフリカを訪問している最中に、国家副主席のXi Jinpingが、中南米4カ国(メキシコ、ジャマイカ、コロンビア、ベネズエラ)を公式訪問している
B 昨年モーリシャスで開催された「南々貿易国際会議」に、南米から巨大な協議団が参加している
− いかがですか?これだけのキーワードでピンと来れば、すばらしい限りです。
まず、モーリシャスという国、どこにあるか地図で御確認ください。
アフリカと中国を結ぶ重要な海域であるインド洋(アフリカ−アラブ−中東湾岸−インド−東南アジア−中国)のど真ん中に、モーリシャスは位置します。
実は、モーリシャスには鄭和の大航海時代以降、多くの中華系人種が移民していて、アフリカの中でも華人・華僑が人口比率的には突出的に多く在住していてパワフルな中華系ビジネスコミュニティが存在する、という事実があります。
そのモーリシャスは、中国にとって「アフリカへの玄関」になるポテンシャルを持っていて、Hu Jintao以下の中国首脳は、これを大きく意識していると思われます。
今後のアフリカ大陸に対しては、中国からヒトと安価なものが流れ込み、中東やアラブ諸国から潤沢な資金が流れ込み、インドからも労働力とビジネスアイディアが流れ込み、南米からは『南々協力』として補完的な資源外交が活発化していく − この構図の玄関窓口のひとつが、モーリシャスという小国なのです。
これらの動きは、昨日今日始まったものでも何でもなく、すでに数年前から体系的になりつつあった動きであり、識者の間では「環インド洋経済圏構想」などと呼ばれています。
日本から見れば、西側の遠い地域での話に過ぎないかもしれませんが、昨今の世界同時経済危機において中国にとって最大の輸出先であった米国のマーケットがパンクし、欧米各国もそれを補う吸収力がない今、中国にとってはスローダウンしつつも着実に成長し続けている国内市場プラスワンを考えた場合、どうしてもアフリカの成長マーケットを早期に確たるものとしてがっちり抑えなければならない、という国家的命題があります。
ですので、日本の新聞等で報道されている「資源外交」と、開発援助の教科書で昔から語られている「南々協力」に加え、「巨大ビジネス市場としてのアフリカ」は中国にとってこの上なく重要な要因となり続けており、「環インド洋経済圏構想」はいまや「10年先の話」などではなく、喫緊の課題として国家主席や国家副主席が戦略的に外交を展開し始めている事実があるのです。
モーリシャスという小国自体の市場ポテンシャルは極めて限定的ですが、「環インド洋経済圏」の玄関窓口としての機能が本格化した場合、役割としては1980〜90年代に中国への投資が香港を窓口として経由していたような、そんな役割まで期待される可能性もゼロではないかもしれません。
( tknaito 研究主幹 ) Copyright © tknaito 1999-2009
コメント(8)
tknaitoさん、こんにちは。
最初に言われたアフリカ4カ国にはもちろん日本の商社の駐在所があった所、たぶん今でもある所だと思いますが、日本はもう中国に商権を圧されてしまっているのでしょうか?
私の知っている限りアフリカはとても親日的で、日本の商品、企業を歓迎してましたが、今は中国製品、企業でいっぱいなのでしょうか?今度の経済危機で日本の世界での経済勢力圏はどんどん狭まってしまうのでしょうか?
華人には結局勝てないのかなぁ〜
2009/3/27(金) 午前 7:06 [ woman in kasugai ]
woman in kasugaiさん、いつもコメント有難うございます。モーリシャス:既に華人経済圏、セネガル:かなりの中国進出加速、マリ:ちょっと不明です、タンザニア:ケニア同様に港を通じて中国の商圏が拡がっている − というような感じです。欧州留学組などの高い教育を受けている知識層は、あらゆる意味で日本製品の高品質を理解しているヒトが大半です。でも、中国から入ってきている製品(特に繊維製品、玩具、日用雑貨)は比較的高いアフリカ各国の物価の中で圧倒的な価格破壊力を持っており、日本製品を購入できない低中流庶民(この層が最大の消費層)に瞬く間に受け入れられています。やはり目先のことを考える庶民にすれば、品質よりも価格のようです。またお立ち寄りください。
2009/3/28(土) 午前 0:29 [ tknaito ]
中国がしたたかなのは結構なのですけど,これからアフリカや中国が繁栄することで地球全体がどうなってしまうかの方が心配です。人口問題に森林問題などなど。 深刻な水不足時代が確実にそこまで迫っていますね。 地球温暖化で温帯が熱帯化するという認識が一般的なふうですが,それは間違いで,実際に起こるのは多雨による土壌侵食と流出による砂漠化でしょうね。
2009/3/30(月) 午前 11:27
そう言われてみると、中国のほうが賢い。それだけのハナシではないですかぁ。
日本がぼんやりしてる、
2009/4/5(日) 午後 4:06 [ zen*o*hara6* ]
Chomboliniさん、コメント有難うございました。「水」問題は確かに深刻ですね。多雨、土壌浸食、砂漠化、酸性雨、大気汚染、違法伐採、感染症、etc...、中国の大量消費が槍玉に挙げられがちですが、1980年代から起こっている問題ばかりですよね。成長と保全は両立できないものでしょうか…。
2009/4/7(火) 午後 1:05 [ tknaito ]
zensouharaさん、おっしゃるとおり中国はしたたかですね。各地で中国人・華人とお話しするたびに、その奥深さに驚愕します。
2009/4/7(火) 午後 1:07 [ tknaito ]
環インド洋経済圏などという構想があるんですね。知りませんでした。さすが中国押さえるべき所は押さえていますね。日本も60年代の高度成長期の前は欧米と比べてブランド力が劣るのでまず南米や中東、アジアなどに製品を積極的に売り込んで成長してきた事を彷彿とさせますね。
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2009/4/14(火) 午後 11:36 [ skywave1493 ]
skywave1493さん、コメント有難うございました。仰るとおり、「さすが中国」という感じですね。4000年の歴史に裏付けられた鳥瞰的な世界観と、13億人を抱えるダイナミックな国家観による戦略的思考そのものが、日本とは全く異なる感じさえします。またお立ち寄りください。
2009/4/19(日) 午後 0:17 [ tknaito ]
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