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【コラム】「労働経済白書」が中身スカスカの理由 (J-CASTニュース)[11/07/12]
会社ウォッチ 29歳の働く君へ〜いまからでも遅くない!
http://www.j-cast.com/kaisha/2011/07/12101140.html?p=all
先日、厚生労働省の「労働経済白書」が発表されたが、あまりのレベルの低さに驚いた。
一応、若年層の非正規雇用の増加と、いったん非正規雇用になった人間が固定化される
傾向にある点は認めつつも、その原因を、
(1)バブル崩壊後の不況で企業が正規雇用を絞り込んだため、
(2)大卒者が増えすぎたため、
の2点であるとする。
■問題の責任はすべて厚労省にあるはずだが
まず、不況時に雇用調整するのは企業にとって当然のアクションで、
お上にとやかく言われる筋合いはない。
問題は、終身雇用コストが異常に高すぎるために、企業が国内で雇用を増やしたがらない点と、
雇用調整がその時に卒業する世代に集中し、そこでコケると厚労省自身も認めるように
リカバリーが効きにくいという点にある。
(2)については、論評するにも値しない。
仮に高卒者の就職が行け行けドンドンの売り手市場であれば、そういうロジックが成り立つ余地も
あるだろう。
だが現実には、大卒以上に悲惨な状況である。大学数を絞ったところで、10代の雇用が
もっと悲惨になっていただけの話だ。
さらに言えば、「椅子に空きがある分だけ、若者に高等教育の機会を与える」という思想自体が
根本的に間違っている。「弁護士の仕事が減るから、司法試験の合格者数を減らせ」という
宇都宮・日弁連会長と同じで、50年遅れの社会主義者の発想だ。
本来、大学を作ること自体は誤りでも何でもなく、増えた大卒資格者の間で競争が起こり、
生産性が向上するはずだった。その競争が起こらないまま、新規参入者が入り口で滞留し、
社会全体の生産性が停滞しただけの話だ。
つまり、必要なのは、正社員を競争に巻き込むための規制緩和であり、問題の責任はすべて
厚労省にある。にもかかわらず、一応は大学出ているはずの厚労省のお役人たちが、
こんな小学生レベルの“白書”を作文してしまう理由とは何だろうか。
■「責任転嫁」白書に才能を浪費するな
理由は簡単。「企業が採用絞ったから」「大学増やしすぎたから」というロジックを使うと、
あら不思議、責任のすべては企業と文部科学省にとんでいってしまうから。
要するに、この白書の本質は、お役所の適任転嫁なのだ。
目的が責任転嫁である以上、そこになんらの解決策も示されていないのも当然かもしれない。
というか、厚労省内部でこういう資料を作らされている若手官僚は、こんなダメ省庁からは
早めに退職した方がいい。
君たちの有能な才能、高いモチベーションは国家の適切な発展のために使われるべきであり、
脳無し中高年官僚の天下り先確保のために浪費するなんて、悲劇でしかない。
3年で辞めるか辞めないかの判断基準は、職場をざっと見渡して、
そこになりたい人がいるかどうかが、一番大きな要素だ。
責任転嫁ばかりでカウンタープランすら含まれていないアウトプットを見る限り、
なりたい大人が厚労省にいるとは、ちょっと思えない。
-以上です-
筆者紹介 城繁幸(じょう・しげゆき)
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。
東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。
人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を
各種経済誌やメディアで発信し続けている。
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