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2011/7/1付
韓国と欧州連合(EU)が締結した自由貿易協定(FTA)が1日に発効する。韓国製品に対する関税の撤廃が始まり、欧州市場で韓国勢と競う日本企業は、決定的に不利な立場に置かれる。
日本製品の欧州での競争力は、すでに2000年ごろから下がり始めている。家電や自動車では、日本より韓国ブランドの方が消費者に広く認知されているのが現実だ。
たとえば40型液晶テレビのフランスでの実勢小売価格(円換算)は、サムスン製が11万円前後で、現時点で比べても、パナソニック製より1万円ほど安い。
FTAの発効後は、現在14%の関税が、さらに韓国製だけ段階的に削られゼロになる。サムスンは10万円以下まで値下げでき、日本メーカーは太刀打ちできなくなってしまう。
危機的な状況である。日本政府は早くEUとの交渉を始め、韓国に追いつかなければならない。菅直人首相は5月末の日・EU首脳協議で、経済連携に向けた準備に入ることで合意した。だが、作業はその後、ほとんど進んでいない。
欧州とのFTAがない状態が続いた場合の、経済的な損失は大きい。日本製の家電や自動車は欧州でシェアを失い、努力して築いてきた高品質のブランド価値も薄れていく。
将来、関税が撤廃されてから追いつこうとしても、消費者に評価されるとは限らない。知名度が落ちたブランドの再参入の壁は高い。
さらに深刻な問題は、日本の産業空洞化である。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加も見通せないなかで、日本企業がコスト高の国内での生産をあきらめ、海外に工場を移す可能性が高まるからだ。
その動きはもう始まっている。韓国は日本の有力メーカーに照準を定め、製造拠点を韓国に移すよう誘致活動を活発化している。いま空洞化の原因に対処しなければ、日本は国内の雇用を守れない。
日・EU首脳協議では、準備段階から本交渉に移る条件を明確にできなかった。EU側は潜在的な競争力が大きい日本企業への市場開放に尻込みしている。交渉相手をその気にさせるためにも、日本政府は国内の規制改革を大胆に提案すべきだ。
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