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地震学は、冤罪や左遷に遭った各大学の第一人者を呼び戻し、多重債務国人を追い出し、小泉以前の水準に戻すべきです。
http://www.asyura2.com/11/lunchbreak48/msg/358.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2011 年 6 月 27 日 16:26:27: 4sIKljvd9SgGs
 

地震学、再建への道  想定外の事態に備える 海底観察を強化 警報システムのさらなる改良 大きな揺れに耐えられるビル
http://www.asyura2.com/11/jisin17/msg/433.html
投稿者 sci 日時 2011 年 6 月 23 日 19:58:35: 6WQSToHgoAVCQ

http://www.natureasia.com/japan/nature/specials/earthquake/nature_comment_051211-1.php
Nature 473, 146-148 (2011年5月12日号) | doi:10.1038/473146a
地震学、再建への道

東日本大震災から約3か月半。5人の日本人地震学者が、今回の地震と津波から得た教訓について考察する。

5人の日本人地震学者の考察:
鷺谷威:すべてのデータを考え合わせる |
金森博雄:想定外の事態に備える |
八木勇治:海底観察を強化 |
山田真澄:警報システムのさらなる改良 |
Jim Mori:より大きな揺れに耐えられるビルの設計


すべてのデータを考え合わせる 
鷺谷威 (さぎや たけし)
名古屋大学
残念ながら日本政府は、このようなマグニチュード9クラスの地震が東北地方を襲う危険を予知することができなかった。だが、もし歴史的記録がもっとよく揃っていたなら、データ間の矛盾を見逃さなかったなら、大震災の危険性を十分警戒することができたかもしれない。
政府の地震調査研究推進本部が2002年に発表した、東北地方で沈み込み帯地震が発生する可能性に関する長期評価によれば、東北地方で30年以内 にマグニチュード7.7〜8.2の大地震が発生する確率は80〜90%と推定されていた。しかし、400〜500kmの範囲に影響を及ぼすマグニチュード 9クラスの巨大地震が発生する可能性については、特に言及はなかった。長期評価部会のメンバーとして、私自身、このことを非常に遺憾に思っている。そこで 今回、こうした危険性を見落としてしまった原因を考察したいと思う。
 
2002年の長期評価は、過去400年分のすべての歴史的地震記録の統計解析に基づいて行われた。しかし、3月に東北地方を襲った地震は、地震活 動の適切な評価には400年という期間は短すぎることを露呈した。実は、日本の地質調査所の地質学者たちは、5年前から、西暦869年(貞観[じょうが ん]11年)に仙台の沿岸部を水浸しにした津波についての研究報告を行ってきた。それは、今回の津波に匹敵する規模のものだったと思われる。しかし、こう した研究は最近のもので、まだ、予想される津波の規模を評価して対策を検討しようかという段階にあり、今回の震災には間に合わなかった。
われわれは、今回の経験から1つの重要な教訓を得た。それは、経験的手法により自然災害を評価したり予測したりする際には、かなり不確実な記録も 含めて、利用可能な情報のすべてを考慮すべきであり、また確率に関係なく、あらゆる可能性を考慮しなければならないということである。
2002年の長期評価のもう1つの問題点は、検討対象のさまざまな観測データの間に明白な矛盾があることだった。過去10年間に行われたGPS(全地球測位システム)調査は、日本海溝に沿ったプレート境界がほぼ完全に固着して、すべっていないことを示唆していた1,2。 しかし、何年も前から、日本海溝では、プレート運動に占める大地震の際の累積的なすべり量の割合(サイスミック・カップリング係数)が約30%にしかなら ないことがわかっていた。つまり、プレート運動の残りの70%がどうなっているのかについては、説明がつかなかったのだ。
われわれ日本の地震学者たちはこの矛盾に気付いていたが、これほど破滅的な意味を持つとは深刻に考えてはいなかった。2001年、京都大学の川崎 一朗(かわさき いちろう)は、日本海溝の北部については、プレート運動のかなりの部分が「余効すべり」、すなわち、大地震が終わってから発生するすべりや、その他の非地 震性の断層運動により説明できると発表した3。しかしながら、今回のマグニチュード9.0の地震の主な震源となった南部における矛盾は残った。
今回、得られた第二の教訓は、こうした矛盾するデータを見過ごしてはならず、観測データからの情報を、異なる時間・空間スケールに結びつけて検討するよう努めなければならないということだ。
地球科学は多くの分野にわたっている。日本の地震学コミュニティーは、地震学、測地学、地形学、地質学データのすべてを再検討して、現在の評価に欠けている情報を見つけ出し、矛盾があれば解消する必要があるのだ。
(翻訳:三枝小夜子)


想定外の事態に備える 
金森博雄(かなもり ひろお)
カリフォルニア工科大学パサデナ校
3月に東北地方で発生した巨大地震には、世界中のほとんどの地震学者が驚いた。われわれが知るかぎり、この領域でマグニチュード8.5以上の地震 が発生したことはなかったからだ。地震発生以来、地震データ、GPSデータ、津波データの解析が広範囲にわたって進められ、日本海溝から150km以内の 比較的狭い領域内で異常に大きなひずみと応力が解放されたことが明らかになっている(図「日本海溝に蓄積するひずみ」参照)。解放されたひずみの量は、こ れまでにわかっているほかの巨大地震に比べて1桁近くも大きい。この領域では、1年につき約9cmの速度でプレート収束が起きており、ひずみは1000年 近く蓄積していたと考えられている。そしてついに応力が岩盤の強度を局所的に上回り、岩盤が破壊されて、マグニチュード9.0の地震を引き起こしたのだ。
 
日本列島にはGPS観測網が張り巡らされている。にもかかわらず、この領域に蓄積していた巨大なひずみが検出されることはなかった。それは、この 領域が沖合200kmのところにあったからである。われわれはこれまで、浅いプレート境界に蓄積できるひずみの量を過小評価していた。だが実際には、その 5〜10倍のひずみが蓄積していたのであり、浅いプレート境界にもこれだけ大きなひずみが蓄積できるという重要な事実を認識させられた(図「日本海溝に蓄 積するひずみ」参照)。
 http://www.natureasia.com/japan/nature/specials/earthquake/img/473146a-i2.0-lg.jpg

図1:日本海溝に蓄積するひずみ  
マグニチュード9クラスの地震を引き起こすほど大きなひずみの蓄積をモニターするためには、究極的には、海底GPS技術の開発を促進し、巨大なひ ずみを蓄積して地震を引き起こす異常な構造(例えば、なめらかでないプレート境界面)を検出するなどの研究に力を入れることが重要である。
だが、たとえ巨大地震が発生する仕組みを理解できたとしても、さまざまなデータを考え合わせて正確に解析しなければならない過程を考慮すると、い つ、どの程度の規模の地震が発生するかを確実に予知することは不可能だろう。巨大地震は非常にまれにしか発生しないかもしれないが、ひとたび発生すれば、 極めて重大な結果を引き起こす。ゆえに、我々は想定外の事態に備えるために最善を尽くさなければならない。最も重要なのは、強固なインフラ作りだ。とはい え、今ある技術でできることには限りがあり、利便性と危険性の妥協点をしっかりと探る必要がある。

海底観察を強化 
八木勇治(やぎ ゆうじ)
筑波大学
太平洋プレートが日本列島の下に沈み込むプロセスは、なめらかに起こるわけではない。沈み込む海洋プレートの一部の場所では、その上にある大陸プ レートに固着してすべりが止まっている。こうした箇所ではひずみが蓄積し、やがてひずみは大きなプレート間地震によって解放されて、再びプレートがすべり 始める。3月に東北地方で発生した地震は、巨大な「すべり欠損」を解放した。この「すべり欠損」については、1996年に東京大学の池田安隆(いけだ やすたか)が地殻変形の地質学的速度と測地学的速度の矛盾から予想しており1、少なくとも2004年2には、もしかすると2000年という早い時期3に、GPS観測網により明らかになっていた。
プレートどうしが固着している領域(アスペリティー)の分布は、通常、地震イベントのデータの分析から推測される。この「固有地震モデル」に基づ いて、地震調査研究推進本部をはじめとする政府関係機関は、将来、地震が発生しそうな地域を予測している。日本の地震学者の大半は、アスペリティー以外の 領域では非地震性のすべりによってひずみが解放されるため、長い間地震が発生しないと考えてきた。しかしながら今回の地震で、この仮定を再検討する必要が 出てきた。
 
巨大地震の発生は、アスペリティーがあると思われる複数の場所でひずみが同時に解放されたことだけが原因ではない。これまで、地殻の変形やGPS 観測から示唆されるひずみの蓄積は、データの分解能が低いため、政府の震災評価では適切に検討されてこなかった。これを考慮しない場合、推定される「すべ り欠損」の合計は小さくなる。多くの地震学者が、東北地方で巨大地震が発生する危険性を認識できなかったのは、そのためだ。
ただし、巨大地震のサイクルは長く、地震発生の時空間パターンに関する正確な情報を得ることは不可能である。そのため、近年の地震活動のデータだ けで、将来、巨大地震が発生する確率を見積もることはできない。巨大地震は、沈み込み帯で非常に長い年月をかけて進行する変形プロセスを反映した、例外的 な事象なのだ。したがって、巨大地震の発生を総合的に理解するためには、地殻の変形に関する測地学的、地質学的、地形学的情報も考慮しなければならない。
一般に、長期的な地震活動を予知するためには、観測されたデータから弾性的および非弾性的なひずみに関する情報を取り出す方法の開発が必要であ る。取り急ぎすべきことは、海底の観察を強化して、プレート境界に沿った「すべり欠損」の分布を高い分解能で見積もれるようにすることであろう。


警報システムのさらなる改良 
山田真澄(やまだ ますみ)
京都大学防災研究所
気象庁は、リアルタイムで地震と津波の警報を出すための、世界でも最先端のシステムを持っている。2007年に導入された緊急地震速報は、地震発 生後、数秒以内に強い揺れを警告するシステムで、携帯電話、テレビ、ラジオ、市町村の防災無線を通じて、これまでに10回以上、強い地震の警報を出してき た。しかし、このシステムにはまだ改良の余地があり、今回の地震でその問題点が明らかになった。
 
2011年3月11日、警報システムは東北地方の太平洋沖で地震を検知し、震源に最も近い観測点に最初のP波が到達した8秒後に、震央に近い地域 の住民に警報を発した。警報を受けて、当時、この地域を走っていた27本の新幹線は緊急停止し、脱線せずにすんだ。3分後には、岩手県、宮城県、福島県に 大津波警報が発せられ、15〜20分後には、最も近い沿岸部に津波が到達した。
だが、警報システムは全体として十分に機能したとは言えない。今回の地震では、システムは地面の揺れと津波の高さを過小評価し(編集部註:当初、 マグニチュードは7.9、津波の高さは岩手県と福島県で3m、宮城県で6mと予想)、関東地方には警報を出さなかった。ところが、関東でも強い揺れに見舞 われ、大きな被害を受けた(図「予測震度と実測震度の食い違い」参照)。なぜ、予想できなかったのか? 原因は主に、岩盤の破壊プロセスが複雑で、最初の 振幅が比較的小さかったことによる。ただし、震災後、より多くの情報が利用可能になるにつれ、システムは改良されつつある。

気象庁の緊急地震速報は、最初に到達した地震波のデータにもとづいて、狭い地域に強い揺れがくるという予測を出した。けれども実際の揺れは非常に強く、広い範囲にわたっていた。

図1:予測震度と実測震度の食い違い 
Source: M. YAMADA & JAPAN MET. AGENCY
余震に関しては、強い揺れに対する緊急地震速報が70回以上発表されている。警報システムは、こうした小規模な地震についてはよく機能しているが、同時に発生した地震によって混乱し、揺れを感じる地点の特定において何度かエラーを起こした。
今回は、地震発生時の地震データに予想外の特性があり、緊急地震速報システムのアルゴリズムが欺かれてしまった。しかし、技術の改良により大きな 地震を速やかに認識できるようになれば、次に大地震が起こったときには(例えば、西日本の広い範囲で被害が予想されている南海地震の際には)、システムは 適切に機能できるかもしれない。日本の緊急地震速報システムは、こうした情報を受け止め、正しく解釈できる社会においては、被害を軽減する真に効果的な手 段になるはずだ。


より大きな揺れに耐えられるビルの設計 
Jim Mori
京都大学防災研究所
日本の地震学者たちは、東日本大震災の不意打ちを食らい、驚愕し、そして落胆した。日本の沈み込み帯に沿ったプレート境界地震の発生箇所と規模を 大まかに予知できると考えていたからだ。今回の地震により、過去約400年分の歴史的地震記録は、地震活動が非常にさかんな地域でも、巨大地震の発生時期 の指針とするには短すぎることが判明した。われわれは、地質学データを再検討して、今回の地震に匹敵するマグニチュードの地震を見つけ出さなければならな い。
地震学では一般に、将来地震が発生する確率は、主として断層で繰り返し発生する地震イベントの統計に基づいて予測する。
 
けれども今回の地震は、まれにしか発生しない巨大地震が、小規模な地震イベントと同じ断層帯で起こりうることを示しており、過去の地震イベントの 統計から得られる情報だけでは不十分なことを語っている。巨大地震についてより深く理解するには、まず、断層付近の局所的な応力の蓄積を測定し、地震が発 生するときの絶対応力と絶対ひずみのレベルを見積もることである。
例えば、応力はボーリング孔の中で直接測定することができるし、摩擦の強さは大地震後の温度測定から推測できる。さらに、広域応力場の向きは、GPSアレイが記録する地面の変位のパターンから決定することができる。
こうした技術を用いれば、断層がどの程度破壊に近づいているかを特定し、地震の危険をより直接的に見極められるようになるかもしれない。間近に 迫った地震の規模を特定するのは困難だろうが、最大でどの程度の規模になるかは、応力の測定値から推測できるかもしれない。現在、3月の地震の前に東日本 がどのような圧力を受け、ひずみを生じていたのかを明らかにしようと、この地域の広域変形の調査が進められている。
さらに、巨大地震による強い揺れの評価は、地震に対する世界の安全基準の確立にも非常に重要な問題である。過去の地震による揺れの正確な長期記録 は存在しないが、この数十年間の測定技術の向上により、予測される揺れの激しさはだんだん大きくなってきている。われわれがすでに最悪の事態を経験したと は考えにくい。防災計画においては、より大きな揺れ、特に、数秒周期の長周期震動の可能性を考慮しなければならない。現代の都市で高層建築を安全に設計す るためには、こうした情報が必要である。
(翻訳:三枝小夜子)
本記事は、Natureダイジェスト7月号に掲載されています。
 

 

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