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2011年03月09日00:00 カテゴリコラム不動産
バブルに踊ったチバリーヒルズの夢の跡
ギリギリ通勤圏の千葉県の奥深くにあすみが丘という場所がある。ただの山だった場所を宅地開発し、バブルも手伝ったおかげでかなりの売れ行きだったらしい。千葉県はずれの郊外であるにもかかわらず、街としては相当に大きく完成度も高い。
しかしバブル崩壊後はほとんど売れなくなり、分譲する宅地も随分と余ってしまっている。とはいえ街並みは極めて綺麗で、道路も広く大通りの歩道も広い。抜け道も少なくて安心して歩けるようにもなっている。これだけ完成度が高いのだから、普通なら残りの分譲地も売れてよさそうだが、あまりにも郊外であることが災いして売れ残っている。その象徴とも言うべきものがあすみが丘の最高峰ワンハンドレッドヒルズ(別名チバリーヒルズ)だろう。
バブル真っ盛りの時に分譲されたことから、バブルの象徴としてよくテレビなどで紹介されていたようだ。何しろあんな超郊外であるにも関わらず、分譲価格は5億〜15億円だったというから驚きである。駅からもかなり遠く、完全に自動車を使うことを前提としている場所だ。おまけに高級住宅街の近くにはマンションまで存在するなど、街づくりを間違えているとしか思えない代物であったのは驚かされる。そういうマイナスファクターは別としても、ワンハンドレッドヒルズの街並みは日本とは思えないぐらい素晴らしく統一感もある。ああいう街並みは日本広しと言えどワンハンドレッドヒルズぐらいだろう。
現在はどうなっているかと言うと、全区画はまだ売れておらず、土地が未だに分譲されている。坪あたりたったの12万〜14万円前後での分譲だ。そこの地域に住む住民の収入に見合う適正な大きさの分譲地だったら坪30万はする場所だとは思うが、金持ちは誰もほしがらない場所になってしまったために安くても売れない。管理費も月10万前後取られるし、価値も低い物件なのに固定資産税が200万円も取られるとか。500平米近いRCの上物付きで1億数千万円の中古も結構売りに出ている。これでは残りの分譲地も売れそうにない。
バブルの頃は10億円以上でも売れた分譲地も今や無残な有様だ。あすみが丘そのものはそれなりの街であるが、ワンハンドレッドヒルズだけは人の気配がほとんどないゴーストタウンになってしまっている。もちろん居住としてではなく別荘地や会社の保養所として使っているケースが多いからかもしれない。
マーケティングの失敗ももちろんあるのだろうけど、ワンハンドレッドヒルズを見ると狂乱バブルの恐ろしさをこれでもかと感じさせてくれる。現在日銀がパンドラの箱(あるいは玉手箱)を開けてしまった感がある。国債やコマーシャルペーパー(CP)など5兆円規模の多様な金融資産を買い進めるための基金創設のことだ。5兆円だと規模的には大したことはないから何も起こらないが、こういう行為はヘロインクラスのドラッグだ。もしかすると再び狂乱バブルを引き起こす種をまいてしまったかもしれない。
確かにバブルは一時的な快楽を与えるかもしれないが、暴走すればワンハンドレッドヒルズに見られるような不良債権がいっぱい作られてしまう。そして巨大バブルとはたいがい政府や日銀の失敗によって引き起こされる。しかし終わってみれば社会に大きな傷を残すのは歴史の教訓だろう。
アメリカのやり過ぎとも言える超金融緩和はアメリカ国内では効かず、新興国にバブルを引き起こしている感は否めない。しかし日銀がやろうとしている金融緩和は国内の上場型不動産投信や指数連動型投信も直接買おうするもので、規模次第では巨大バブルを生んでしまう可能性もゼロではない。なにしろ銀行経由の貸し出しなどではなくあまりにも直接的過ぎるからだ。
給料上昇による実需ではなく投機を生み出す危険な劇薬を飲み続ければ、かつて起きたようなバブルが再び発生してもおかしくはない。
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