http://www.asyura2.com/11/lunchbreak48/msg/190.html
Tweet |
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20110619ddn003020019000c.html
クローズアップ2011:東北の高速道、あす無料化 復興起爆剤、歓迎と不安
◇財源に制約「全車種」めどなし
東日本大震災の被災地復興支援を目的とした東北地方の高速道路の無料化が20日午前0時に始まる。対象は、自治体から被災の証明を受けた被災者(原発事故被災者を含む)の全車種と、被災者以外では復旧・復興物資などを運べる中型車以上のトラック、バス。実施路線は、白河インターチェンジ(福島県)以北の東北道など20路線の計1541キロ。一方、09年に始まった高速料金の「休日上限1000円」と、10年から実施していた高速無料化の社会実験(全国50区間)は、震災復旧・復興のため編成された11年度第1次補正予算の財源を捻出するため、19日いっぱいで終了する。【三島健二、樋岡徹也】
東北地方の高速無料化は、菅直人首相が意欲を示し、実施が決まった。宮城県震災復興推進課は「被災者が遠方の避難先から地元に帰ったり、事業立て直しに戻る際に便利になる。トラックやバスも無料化されると復興速度が上がり、ボランティアも来やすくなる」と評価する。
無料化の対象と期間は、被災者は全車種で「当面1年間」だが、被災者以外はトラックやバスなど中型車以上で「当面8月末」まで。被災者以外が限られているのは財源が手当てできなかったためで、国交省は無料化対象を中型車以上から全車種に拡大して必要な財源(年1200億円規模)を確保し今夏にも始める意向を示してきた。
実現すれば、マイカーで東北に出かける人が増え、復興を後押しする効果が見込める。
観光庁の調査によると、今年のゴールデンウイーク(4月29日〜5月8日)に主な観光施設を訪れた観光客は、東北6県で前年比41・6%減。日本三景の一つである松島(宮城県)や世界遺産に選ばれるのが確実な平泉(岩手県)など名所が多いが、減少率は全国(7・9%減)をはるかに上回った。全車種無料化への被災地の期待は大きい。
しかし、菅首相が14日に編成を指示した第2次補正予算案の内容は被災地の二重ローン対策などが柱となり、全車種無料化が計上されるかは不透明。本格的な復興経費を計上する第3次補正予算案は「盆明けから9月初めの間に(国会に)出したい」(岡田克也民主党幹事長)方針で、3次補正に全車種無料化が盛り込まれても実施は秋以降となりそうだ。
ある国交省幹部は「政局が混迷しており、予算がつくかはまったく見通せない」と話す。
◇休日1000円終了 反動減、懸念
「休日上限1000円」は、自公政権時代の09年3月、リーマン・ショック後の景気対策として都市部を除く全国の高速道路で始まった。香川県によると本州四国連絡道・瀬戸中央道を利用して同県を訪れた09年の観光客は前年比28・9%増の307万人に上った。
休日になると、讃岐うどんの名店めぐりの県外ナンバー車でにぎわう同県琴平町。同町観光商工課によると、町営駐車場の10年の利用車は前年比で約25%増えた。だが、「反動減を覚悟しないといけない。先の見通しが立たない」と懸念する。
震災後の風評被害で3月末までに外国人ら3万3000人分の宿泊キャンセルが出た大分県の別府温泉。別府市旅館ホテル組合連合会の堀精治事務局長は「タイミングが悪い。休日上限1000円がなくなれば、今度は日帰り客がぴたっと止まるだろう」と嘆く。
一方、民主党が看板政策に掲げた高速無料化社会実験。10年6月に始まったが、「たった1年では効果ははっきり分からなかった」というのは、遊園地「富士急ハイランド」(山梨県富士吉田市)を運営する富士急行。同県では東富士五湖道路を含む中央道41キロが対象となった。横内正明知事は5月11日、国交省のヒアリングで、並行する一般道の渋滞解消効果を指摘し、「無料化中止は残念」と主張した。
利用車が高速道路に流出したという日本長距離フェリー協会は「公平を欠く制度がなくなって、ほっとしている」と話す。日本バス協会も「高速道路上の渋滞多発の要因が消える」と歓迎の立場だ。
◇被災証明を提示、ETCは対象外−−利用上の注意
東北地方の高速無料化は、被災者の乗る車両か、被災者以外でも中型車(最大積載量5トン未満のトラックなど)以上の車両が、対象区間内のインターチェンジ(IC)を入り口または出口として20日午前0時以降に使う場合に適用される。
ICでは、ETC(自動料金収受システム)搭載車であっても、通行券が発券される一般レーンを通る必要がある。入り口でETCを使った場合は無料化の対象にならない。
対象区間のICから乗れば、区間外に出ても無料化対象外の首都高速や阪神高速などを避けて走ると、どこで降りても無料。被災者になりすました料金不払いを防ぐため、出口では通行券を係員に渡すほか、被災者の場合(被災者は同乗者でも可)は自治体が発行した被災証明書か罹災(りさい)証明書の提示が必要(コピー不可)。本人確認できる運転免許証や健康保険証なども併せて提示しなくてはいけない。
==============
◆無料化対象路線の区間
道路名 区間名 距離(キロ)
◇東日本高速道路会社分
(1)青森道 青森東IC−青森JCT 16
(2)東北道 青森IC−白河IC 510
(3)八戸道 下田百石IC・八戸IC−安代JCT 87
(4)秋田道 八竜IC−北上JCT 166
(5)日本海東北道 河辺JCT−岩城IC 17
荒川胎内IC−新潟中央JCT 47
(6)東北中央道 南陽高畠IC−米沢北IC 9
東根IC−山形上山IC 27
横手IC−湯沢IC 14
(7)釜石道 東和IC−花巻JCT 11
(8)山形道 村田JCT−月山IC 84
酒田みなとIC−湯殿山IC 53
(9)磐越道 いわきJCT−新潟中央IC 213
(10)三陸縦貫道 利府中IC−仙台港北IC 8
(11)常磐道 富谷JCT−利府JCT 12
仙台港北IC−山元IC 36
広野IC−水戸IC 120
計 1430
◇地方道路公社分
(1)第二みちのく有料道路 青森県おいらせ町−同六戸町 10
(2)仙台松島道路 鳴瀬奥松島IC−利府中IC 18
(3)仙台南部道路 今泉IC−仙台南IC 11
(4)西蔵王有料道路 山形市蔵王温泉−同市蔵王成沢 3
(5)磐梯吾妻有料道路 福島市町庭坂−同市土湯温泉町 29
(6)第二磐梯吾妻有料道路 福島県猪苗代町−同北塩原村 13
(7)磐梯山有料道路 福島県北塩原村−同磐梯町 18
(8)福島空港道路 玉川IC−矢吹中央IC 7
(9)日立有料道路 茨城県日立市白銀町−同市助川町 2
計 111
※「JCT」はジャンクション、「IC」はインターチェンジ
==============
■休日上限1000円終了後の料金例
(普通車、昼間利用)
区間 現行 終了後
東京IC−浜松IC 1750円→2850円
名古屋西IC−広島IC 2500円→5200円
岡山IC−鹿児島IC 1000円→7150円
瀬戸中央道(早島IC−坂出IC) 1000円→2050円
(注)休日上限1000円の適用は、大都市部(首都圏、阪神圏)以外の区間。終了後も最大5割引きの休日特別割引は適用
【関連記事】
東日本大震災:東北高速無料化…復興の後押し期待
東日本大震災:被災者の高速無料化 20日0時スタート
東日本大震災:高速道無料化 被害ない内陸でも被災証明書
東北地方の高速道無料化:20路線、1541キロが対象
高速道被災者無料:復興への効果期待 民主「金看板」変質
毎日新聞 2011年6月19日 大阪朝刊
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。