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http://www.astroarts.co.jp/news/2011/06/13hayabusa/index-j.shtml
「はやぶさ」のこれまでとこれから 1周年記念講演会レポート
【2011年6月13日 星ナビ編集部】
日本中が注目し声援を送った、小惑星探査機「はやぶさ」の大気圏突入から13日で1年。その人気はいまだ衰えることを知らない。6月12日に東京・飯田橋で開催された記念講演会では、1000人もの参加者が関係者の言葉に耳を傾け、「はやぶさ」の「これまで」と「これから」に思いをはせた。
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主催した日本スペースガード協会からは、「『はやぶさ』はすばらしいメッセンジャーです。皆さんに、そして世界に勇気を与えるものであると考え、開催に踏み切りました」と挨拶が述べられた(撮影:「星ナビ」編集部。以下同)
川口プロジェクトマネージャー。「持ち帰ったサンプルは、すぐにすべて分析するわけではありません。将来さらに正確な分析ができるときまでとっておくものもあります」
「はやぶさ2」を率いる吉川氏は「興味をもたれた方は、『はやぶさ2』を一緒にやってみませんか?」と呼びかけた
上坂監督は、オーストラリアへ出かけて迎えた大気圏突入について「ずっとコンピュータの向こうにしかいなかった『はやぶさ』を初めてこの目で見ました」と感慨を語った
パネリストがそれぞれの立場から「『はやぶさ』物語と日本人の心」について論じたディスカッション。左から小笠原氏、永山氏、春日氏
「帰還の記者会見をやった数日後にコンビニで野菜ジュースを買ったら、レジで店員さんに『砂、入っているといいですね』と言われて非常に驚きました。ジュースに砂が入っていると困るんですけど(笑)、それほど『はやぶさ』に関心をもってもらっているということで、本当にありがたいと感じました」と「はやぶさ」計画のプロジェクトマネージャー・川口淳一郎(かわぐちじゅんいちろう)氏は会場を沸かせた。
講演の内容は、アメリカと旧ソ連に25年遅れてスタートした日本の宇宙開発と、両国に追いつきさらにトップに立つために追求したオリジナルの技術やサンプルリターンというアイディア、そこから動き出した「はやぶさ」ミッションの概要から小惑星探査の意義、サンプルの分析結果、そして原発事故から考える科学そのものの在り方にまで発展し、集まった聴衆は熱心に聞き入った。
「はやぶさ」ミッションに深くかかわり、後継機「はやぶさ2」ではプロジェクトマネージャーを務めるJAXAの吉川真(よしかわまこと)氏が語る「『はやぶさ』の想定外」。イオンエンジンチームの一員で、帰還直前からは「はやぶさ」公式ツイッターでの情報発信を担ってきた細田聡史(ほそださとし)氏が語る大気圏突入への思い。劇場映画化もされたプラネタリウム番組「HAYABUSA - BACK TO THE EARTH -」の上映と上坂浩光(こうさかひろみつ)監督のコメント。さらに「はやぶさ」からインスピレーションを得た楽曲の演奏など、盛りだくさんのプログラムで「はやぶさ」の感動を参加者に追体験させた。
とりわけユニークだったのは「『はやぶさ』物語と日本人の心」と題して行われたパネルディスカッションだ。講演会の実行委員長 田部一志(たべいっし)氏を座長とするディスカッションに加わったのは、NEC航空宇宙システムのエンジニアとして「はやぶさ」ミッションに関わった小笠原雅弘(おがさわらまさひろ)氏、「はやぶさ」が苦境に立たされていた中、ミッションの動向を伝え続けた毎日新聞科学環境部記者の永山悦子(ながやまえつこ)氏、「プラネターリアム銀河座」を運営する住職の春日了(かすがりょう)氏の3名。
技術者、新聞記者、宗教家というまったく異なる立場から「はやぶさ」を見つめてきたパネリスト達が、「はやぶさ」と日本人との関係をそれぞれ語るというこれまでにない企画だった。小笠原氏は「はやぶさ」ミッションを成功させた匠の心について、永山氏は世間からの関心の変化について、春日氏は宗教的に見る人気の理由についてそれぞれ見解を述べ、「ただの一探査機という存在を越えて、『はやぶさ』が日本に与えた影響」を論じた。
壇上に上がった何人もの関係者が繰り返し言っていた通り、「はやぶさ」は終わったのではなくスタートなのである。これからの宇宙探査計画だけでなく、日本人が科学というものを見つめ直し、活気に満ちた未来を描けるようになるための礎として、私たちを導いていってほしい。
「はやぶさ」、帰還1周年おめでとう!
(※講演会の模様は下記〈関連リンク〉から録画映像を視聴することができます。)
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