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http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/kouza/kawase/20110613-OYT8T00361.htm
ユーロの行方が為替市場を決定付ける
1:概況 ドル円は小動き
先週の為替相場は欧州通貨の動きが中心であった。各国中央銀行による政策金利発表が相次ぎ、結果として各国とも金利を据え置いたものの為替市場の反応はまちまちで、特にユーロの動きは急激で、それまで対米ドルで堅調であったものがトリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁会見後に急落するという激しい動きを見せた。
トリシェ総裁の会見内容自体はインフレに対する警戒感を表明し金利先高感を示していてどちらかと言えばタカ派的な内容。急落の主因は短期筋のポジションが大きく買い持ちに傾いてきたことによるポジション調整や、いまだ安心感の持てないギリシャ問題がユーロの足を引っ張ったことと思われる。
このような状況下、ドル円は市場の中心とはならずに月曜日夕刻には80円を再度割り込んだものの円高に弾みがつく動きとはならず、週を通して80円台前半を中心とした小動きに終始した。
また、米国ではバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が金融緩和の継続は表明しつつも量的金融緩和の第3弾(QE3)まで踏み込むことはないとしたことを受け、市場は一時的にドル売りで反応したもののその後は調整的ドル買いが市場を支配している。
2:見通し ユーロは下値トライ、ドル円は小動き
今週も為替市場はユーロの動きに振り回されると思われる。ギリシャ債務再編問題は依然燻っており支援者間で意思が統一されているとは言い切れず、欧州連合(EU)が正式支援決定日としている6月20日を前に今週何らかの波乱がある可能性は否定できない。その場合はやはりユーロが為替市場の台風の目となるであろうし、そうなると当然対ドルで1.4000割れが視野に入ってくる。また、対円でもユーロ安が進行するとすればドル円は円買いの圧力を受け易くなる。
一方で、ユーロ下落の裏腹での広範なドル買いの影響を受けてドル円市場もドル買い圧力を受ける。すなわち円買いとドル買いの両方の圧力を受けるわけで、ドル円単体では方向感はなかなか出にくいであろうと想像される。
3 ズバリ:今週の予想レンジ
予想レンジ
80.00〜83.00円
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ドル高・ドル安、米国にとっていいのはどちらか
メインエンジンである個人消費が不調の今、ドル安は米国輸出企業にメリットで米国経済にとって緩やかなドル安は歓迎すべきものである、という意見がある。果たして現状の歴史的ドル安は米国経済にとって本当に有益なのであろうか。
バーナンキFRB議長は緩和的金融政策の維持と同時にQE3に関しては否定的であることを表明した。春以降減速の兆しが見え始めた米国経済に鑑みれば金融緩和は継続せざるを得ないであろうが、QE3に踏み込むとなるとこれもまた相当な冒険と言わざるを得ない。そうであればインフレを防止することが絶対的な前提となり、ドル安は決して歓迎できるものではないということになってくる。
足元のグローバルインフレの原因は言うまでもなくドル安・原油高であること。FRBの信任を維持しようとすれば長期金利の急騰は避けなければならないこと。さらには、財政赤字を安定的に他国からファイナンスする必要があること。米国にとって以上のことは景気がよければある程度無視できることであるが、景気が傾いてくると決して無視できなくなる重大事であり、ドル安はそのすべてのリスクを増大させる。
したがって現状以上のドル安は決して米国のためにはならず、かえって悪影響を及ぼす可能性が高い。もちろん、ファンディング通貨として米ドルと同じ立場にある円との交換比率であるドル円マーケットにはただちには当てはまらないと思われるが、基本的にはドルの下落は限界にきていると考えられるのである。
※ドル円相場は、みずほコーポレート銀行の取引によるものです。
プロフィール
加藤 倫義 (かとう・みちよし)
みずほコーポレート銀行 国際為替部
みずほコーポレート銀行国際為替部の為替ディーラーが執筆を担当します。(「先週」「今週」などの表記は、執筆日を基準にしています)
(2011年6月13日 読売新聞)
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