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原発事故報告書 この内容では納得できない
(2011年6月8日午前7時14分)
東京電力福島第1原発事故で政府の原子力災害対策本部は、国際原子力機関(IAEA)に提出する事故報告書をまとめ、発表。1〜3号機の一部で原子炉圧力容器の底に開いた穴から核燃料が格納容器に落下して堆積する「メルトスルー(溶融貫通)」が起きている可能性を指摘した。メルトダウン(炉心溶融)より深刻な事態である。報告書は事故状況や対応、放射性物質の放出、教訓などを明記し、「原子力のあり方に国民的な議論が必要」とした。
国際的評価尺度で最悪「レベル7」の重大事故である。他の原発への安全対策も示しているが、まだ収束にほど遠い状況の中で、立地自治体が停止中の原発再稼働に「問題なし」と言えるだけの根拠は希薄である。不安解消へ丁寧な説明が必要だ。
本県などは暫定的な安全基準を示すよう何度も国に要求してきた。これに対し海江田万里経産相は「緊急安全対策は既に示した通り。事故の教訓を踏まえた安全対策は今後も適切に取る」と説明。紋切り型の対応に、本県は「安全対策が不十分」として反発してきた。
今回の報告書では、空冷式ディーゼル発電機など多様な非常用電源の確保や使用済み燃料プールの確実な冷却機能の確保、耐震性の強化などを明記した。
さらに過酷事故を防ぐアクシデントマネジメント対策を、従来の「自主保安」から「法規制上の要求にする」と一歩踏み出している。複数炉の連鎖事故につながった反省から、炉ごとの独立性も確実にするとした。
多くの既存原発に共通する根本的な課題と解決策に触れ、安全規制行政の体制強化や法体系の整備、安全文化の徹底なども打ち出していることで、県は一定の理解を示したようだ。
しかし、これまでの原子力行政の怠慢が引き起こしたともいえる今回の事故である。一連の安全対策は既に構築されていなければならなかった。県が厳しく求めてきた地震の炉への影響や高経年化の影響はまだ不明だ。中部電力浜岡原発だけがなぜ危険で、他は安全なのかも答えようとしていない。
報告書でも地震の影響について詳細調査が必要と認めた。津波対策も一律9・5メートルのかさ上げで済まそうとする非科学的対応は理解できない。また防災対策の強化も掲げているが、肝心の住民避難をどうするのか、具体的な防災指針の改善策を示しておらず、県民が納得できる段階にはない。
この日は、政府が設置した「事故調査・検証委員会」が初会合、原因究明に乗り出した。軌を一にして、海江田経産相が会見で7月までに停止中原発の再稼働を目指す考えを示した。ここでひと区切り付け、夏場の電力不足解消に躍起となる政府の焦りがありありである。
事故調は、聖域を設けず、対応が後手に回った東電や官邸の初動のまずさ、原子力安全・保安院、原子力安全委員会の規制機関が緊急時対応できなかった経緯と問題点も検証すべきだ。こうした専門家集団が形成してきた「原子力ムラ」の実態が白日の下にさらされなければ、事故の本質に迫れないだろう。
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