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年金はいつ破綻するのか?野口悠紀雄教授の「年金危機の本質」を読む(その3)
★「どう計算しても年金は2032年に破綻する」と警告するのは、早稲田大学大学院ファイナンス研究科の野口悠紀雄教授である。
『ダイヤモンド・オンライン(DOL)』のメールマガジンに毎週掲載されている「野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む」は2010年4月から「年金危機の本質」を究明している。
連載なかで67回から73回までのなかで野口悠紀雄教授は、自らシミュレーションを駆使して、厚労省の「100年安心年金」プランの虚妄を剥いでいく。本稿では70回までの野口悠紀雄年金破綻論を紹介しておきたい。
★現行の年金制度の持続性は、サラリーマン&ウーマンが加入している厚生年金保険の財政が担保している。まず、その厚生年金の破綻は早ければ16年後、遅くとも2032年であるというのが野口悠紀雄教授の年金破綻論である。
★連載第67回・ 2010年4月17日「厚生年金積立金が枯渇し、年金財政が破綻するこれだけの理由」では、厚生労働省の2009年財政検証レポートからその試算の経済前提でのひとつ、賃金上昇率が2.5%を楽観的すぎるばかりか非現実的である点を取り上げている。
http://diamond.jp/articles/-/7927
★連載第68回・ 4月28日は「厚生年金はあと16年 で破綻する!偽りの経済想定を捨て、制度改革を急げ」とある。
現下のデフレスパイラル経済のもとで賃金は毎年0.5%低下するものとした場合に年金財政はどうなるか?ここで野口悠紀雄教授はきわめてシンプルなシミュレーションをみせてくれる。
http://diamond.jp/articles/-/8019
★連載第69回・5月8日「年金の「100年安心」演出が目的?賃金上昇率2.5%、運用利回り4.1%の虚妄」では、「賃金上昇率と運用利回りのいくつかのケースについて、積立金がいつ枯渇するかを計算してみよう」ということで「積立金がマイナスになる最初の年」表がある。これは我々の年金の未来を予測するには哀しいことではあるが大変便利な表だ。引用掲載させていただく。
http://diamond.jp/articles/-/8071
★野口悠紀雄教授は、厚労省の年金財政の見通しの矛盾と偽装を次のように解く。
「賃金上昇率2.5%の場合、きわめて興味ある現象が発生する。すなわち、利回りが4%だと2103年度に財政破綻するが、利回りを4.1%に引き上げるだけで、2105年度までの財政破綻は生じなくなるのである(2105年度で243兆円の積立金が残る計算となる)。
★「経済想定は、かなり微妙なところにある。これを少しでも外してしまうと、2105年度までに破綻してしまうのだ。つまり、経済想定は、「100年安心年金」が打ち出された2004年の100年後にあたる2105年度までに財政破綻が生じないよう設定された疑いがある。」
★2004年改正時は、「賃金上昇率=2.1%、運用利回り=3.2%と想定」していた。2008年のリーマンショック後になぜか、「経済危機後に賃金上昇率=2.5%、運用利回り=4.1%と上方改定された」。常識的な頭なら経済危機にあってはより厳しい数値で見直すものだが、その逆をやった厚労省年金局はやはり頭がどうかしているのか、時の政権与党自民・公明党が無理矢理そうさせたのか?
★連載第70回・5月15日 「もはや給付削減しかない!年金の世代間不公平を正す最後の手段」では、最終解決のこれまた全く絶望的な処方箋を提示する。
年金課税の強化、デフレスライドの導入による既裁定年金の引き下げ、支給開始年齢を70歳までの引上げしかないと提示する。
ここで野口悠紀雄教授は厚労省が自画自賛する「マクロ経済スライド」について厳しい分析をしている。
「なお、「マクロスライド」と呼ばれる制度があり、賃金などの伸び率が想定と異なった場合に年金額を調整することとしている。しかし、この仕組みは、年金の名目値を下げるようには適用しないこととされている。したがって、賃金伸び率の低下の影響は、先に述べたように、新規裁定の年金に影響するだけだ」
そして、新規裁定年金の給付水準の抑制効果は財政への影響は極めて小さい。
http://diamond.jp/articles/-/8141
★民主党年金改革案は今ひとつ頼りない。
改革への不退転の決意が希薄である。それは現行年金制度の徹底した検証が欠如しているところにある。2004年に自民・公明党が領導した「100年安心年金」にあれほど反対した民主党であったが、その当時でも民主党の何人かの先生達、「マクロ経済スライドはいいのではないか」なんていっていた。問題は厚労省が作文した「100年安心年金」の財政見通しが問題なのだと言っても、そこをシッカリと検証しようという年金オタクがこの党にいない。
★2004年あたりから執拗に年金財政のあり方に問題を投げかけているのは野口悠紀雄教授である。2005年上梓した「日本経済改革論」(東洋経済新報社発行)は、人口少子高齢化がもたらす年金財政の現状と将来を分析した名著である。野口教授は年金オタクではないが、教授の示す「計算間違いで出発した日本の福祉国家」という視点は日本の年金制度の危機の本質を知るうえでは避けては通れない厳しい現実を教えてくれる。
真夏の盆休み、ひと時、ニッポンの年金の未来を読むにつけ、まことに暗い気持ちですごすことになってしまった。
投稿者: JM 日時: 2010年08月16日 05:01 | パーマリンク
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