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紛争国支援の難しさ
2007-07-24 | 地域情勢
また人質事件が起きました(関連記事)。今回は、23人という大人数で、しかも人質交換の交渉期限が、日本時間の昨夜11時半と具体的に設定されていました。もうすでに交渉期限を少し過ぎてしまいましたが、現地の状況はどのようになっているのでしょうか。
今回の事件で、改めて思わされたことは、外国の民間支援団体が、こうした紛争国に入って支援活動を行うことの難しさです。かつて、日本の支援団体の関係者が、イラクで人質に取られたとき、さんざんバッシングが起きましたが、今回も韓国世論の一部には厳しい意見もあるようです。
しかし、あえて言うならば、こうした紛争国で民間の支援団体が活動すること自体には、ある程度の正当性もあるように感じます。なぜなら、こうした紛争国には、巨大かつ複雑な人道復興支援のニーズがあり、それを多国籍軍という軍事組織だけに任せるには、かなりの無理があるからです。こうした人道復興支援には、高度な専門知識と技術を要するものも少なくなく、また人手の面からも支援ニーズが逼迫している場合も少なくありません。したがって、民間の支援団体に、そうした質と量の両面における支援の供給能力がある限り、こうした団体が紛争国で活動することには、一定の正当性があるように思います。
ですから問題は、こうした支援団体が紛争国で活動する場合、現地の詳細な治安情報に直接アクセスできるのかどうか、また、いざとなったら軍事的な保護を受けられるのかといった、現地での身の安全の保証があるのかどうかという点がカギになってくるのではないかと思います。民間の支援団体が紛争国で身を守る方法には、具体的には、次のような二つのルートがあるように思います。
一つは、現地の市民社会の中に独自のネットワークを構築し、現地社会に守ってもらうという方法です。一部の民間団体は、こうした方法で身を守っていますが、現地社会にネットワークを築くということは、最低でも数年以上の時間を要しますから、こうしたネットワークを持っている団体は極めて少数です。
もう一つは、その国の安全保障と治安維持を事実上代行している多国籍軍などが関係しているネットワークの中に入れてもらうという方法です。国際社会が介入しているアフガニスタンのような紛争国では、多国籍軍、国連、政府支援機関、NGOなどの間で相互協力のためのネットワークが形成されていることが普通ですから、こうしたネットワークの中に入れてもらえば、現地の治安情報を随時入手でき、場合によっては軍事的保護を受けられることもあります。
民間の支援団体が、紛争国で活動する必要性は大いにあるのですが、それには、各団体が入国前に、身の安全の算段を確実に付けておくことが必要です。それでも取り返しのつかない事件に巻き込まれることはありますが、事前にそうした手順をしっかり踏んでから入国することは、紛争国で支援をするうえで最低限のエチケットでもあります。
仮に、自分の身の安全はどうでもいいという人がいたとしても、そういう人が万一事件に遭遇すれば、結果的に国連や多国籍軍を巻き込むことになり、自国だけでなく外国の税金まで食うことになります。そうなると、その人がその国に行って支援をしようと試みたことは、結果的にその国の人道復興支援に対してマイナス(損害)をもたらすことになります。厳しい言い方かもしれませんが、紛争国への支援というのは、そこまで考えてやらないと、自己満足を超えて、迷惑行為になってしまう側面があります。
今回の韓国の団体が、どういう経緯でアフガニスタンに入ったのか、詳しいことは知りません。ですから、以上のことは、この人たちに対する批判ではなく、一般論です。この人たちに対しては、今や無事に解放されることを祈るのみです。
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