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TPP、迫る“時間切れ” 進む交渉、日本の主張反映困難に
フジサンケイ ビジネスアイ 5月18日(水)8時15分配信
政府は17日、東日本大震災を受けて政府の重要政策の優先順位を見直した「政策推進指針」を閣議決定した。6月までに結論を出すとしていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加の判断時期については「総合的に検討する」との表現にとどめ、事実上先送りしたほか、昨年6月に閣議決定した原発などのインフラ輸出を柱とする新成長戦略は今月再開する新成長戦略実現会議で検証する。特にTPP参加先送りは日本の農業について交渉する時間がなくなり、製造業にも大きな影響が及ぶ懸念が強まっている。
◆11月に判断先送り
「6月といっても来月の話。いろいろ重なっているので6月にはできない」
与謝野馨経済財政担当相は17日、TPP参加判断先送りの理由をこう話し、「11月までには日本の態度を決めなければならない」と見通しを述べた。
政府は昨年11月に自由貿易推進を盛り込んだ「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定して以降、TPPで打撃を受ける農業への支援策の検討に着手。各地で閣僚らによる説明会を開くなど、参加判断に向けて理解を深める努力をしてきた。
しかし3月11日の震災以降、こうした活動はすべて中断。政府内では「大震災で大きな変化があったことを考えれば、(昨年11月の閣議決定について)新たな検討が必要」(鹿野道彦農林水産相)との声もあがるなど、TPP参加自体への反対論も強まっている。
◆会議不参加で後追い
一方で、TPPに参加を表明している米国など9カ国の交渉は、関税の全面的な撤廃をめぐってニュージーランドや米国などとの間で利害が対立。一時は交渉の難航も伝えられてきた。
しかし9カ国の貿易担当相は19日から3日間、米モンタナ州で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)会合に合わせTPPについても会合を開く。これを控え、「11月までには重要な点について準備が整う」(ニュージーランドのグローサー貿易相)といった前向きな発言も出ている。経済産業省幹部は「11月に米ハワイで開かれるAPEC首脳会合で何らかの形は整うのでは」とみる。しかしTPP参加を表明していない日本はモンタナ会合後、「各国を回って情報収集せねばならない」(経産省)という後追いしかできない状況だ。
TPP参加判断の遅れは、日本の主張がTPPの枠組みに反映されないことを意味する。9カ国による枠組みが大筋で固まった後で日本が参加を表明しても、「一度決まった枠組みを変更することは難しい」(政府関係者)からだ。
日本の製造業にとってTPPへの参加は、韓国企業などライバルたちと世界市場で同等に戦うための必要条件。「製造業を後押しするTPPは震災後の復興にも追い風になる」(経産省幹部)との指摘もあるが、参加判断の遅れでTPP参加へのハードルは高まりつつある。
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