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整形された米国経済 金の高騰は妥当か? Economist
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投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 07 日 11:08:30: 6WQSToHgoAVCQ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/6809
経済統計:整形された米国経済
2011.05.06(Fri)The Economist2011年4月30日号)
公式統計は米国経済の外見を実態より良く見せているのだろうか?
美容整形は欧州よりも米国の方が盛んだ。統計も、米国の状況をより弛みのないものに見せているかもしれない。
いくつかの代表的な経済指標でも、米国は、大西洋の反対側で使われているものと異なる(そして実態以上によく見せる)基準を使っている。複雑な計 算をこなす人たちが意図的に数字を操作しているわけではないが、いくつかの米国の公式統計は、欧州と比べた米国の経済パフォーマンスにボトックス*1を打つ効果を持っている。
公的債務や生産性を測る基準
例えば公的部門の債務。米国政府内で使われている定義は、「公衆によって保有されている連邦政府債務」であり、これは2010年末時点で国内総生産(GDP)の62%だった。
だが、この定義の代わりに、欧州で推奨されている基準――州政府と地方自治体の借り入れ、および社会保障年金信託基金などの他の政府機関によって 保有されている財務省証券を含む一般政府の債務総額――を使うと、その値はGDPの92%に跳ね上がる(左側の図参照)。これは、ポルトガルの公的債務と 肩を並べる水準だ。
同様に、米国の財政赤字は昨年、GDP比8.9%だったが、これも欧州の推奨されている基準を使うと10.6%になる。
公式統計は、欧州と比べた場合の米国の生産性の伸びも良く見せている。米国の労働統計局が集計する代表的な統計は、非農業部門の投入労働時間当たりの生産高に基づいている。欧州中央銀行(ECB)は、経済全体の労働者1人当たりのGDPを追跡している。
効率の劣る公的部門を排除することで、米国の生産性の伸びは押し上げられている。また、時間当たりの生産高ではなく、労働者1人当たりの生産高を使うことで、欧州で測定された生産性の伸びは小さくなる。平均労働時間が減るためだ。
*1=ボツリヌス菌毒素から抽出した成分を、シワが気になる部分などに注射する美容整形
1995年から2010年にかけて、米国では労働時間当たりの実質GDPが年平均2.1%のペースで増加した。この数字は、ユーロ圏の1.1%というペースに比べるとまだ高いが、米国の非農業部門の2.7%に比べるとはるかに小さい。
すてきな体型ですが、それはあなたの?
3つ目の美容整形は、四半期GDPの統計を公表するやり方だ。欧州の報道発表では、直近の四半期のGDP成長率が公表される。例えば、0.9%増 といった具合だ。だが、米国では四半期の伸びが年率換算されるため、全く同じ成長であっても、3.6%増という立派に聞こえる数字として公表される。
より重要な点として、欧州諸国は、GDPの速報値を米国より控えめにする傾向がある。ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ケビン・デイリー氏 は、2008年までの10年間に米国の四半期GDPの増加率が、最初に公表された推定値から最後に公表された推定値まで平均で年率0.5ポイント下方修正 されたと試算している。
対照的に、ユーロ圏のGDP統計は、平均で0.3ポイント上方修正されていた。金融市場や報道機関は、速報値は重視するが、数年後の改定値はほとんど無視するため、これは重要な点だ。
より大きな議論を呼びそうな問題は、異なる測定方法がGDP成長率の国際比較をどの程度歪めているか、というものだ。10年前にはいくつかの研究 が、米国が欧州諸国と同じやり方で国民経済計算を集計した場合、米国の実質成長率が0.25ポイントから0.5ポイントほど減少する可能性があることを示 していた。
一部の分野では、相違は小さくなっている。米国は歴史的に多くの欧州諸国よりも、商品の質の向上を考慮してきた。コンピューターの値段が2年前と 同じだが、その性能が今は2倍になっていたとすると、価格は50%下落したものと見なされ、実質生産高を押し上げる効果を持つ。
10年前は、これによって米国の成長率が欧州に比べて高くなっていたが、今は欧州諸国もいくつかの部門でいわゆる「ヘドニック価格法」を採用して いる。欧州が米国の先例に倣っているもう1つの分野は、ソフトウエアへの支出を、かつてのような経費ではなく、投資と見なしている(それによってGDPが 増えている)ことだ。
だが、いくつかの測定上の違いは残っている。例えば、米国は欧州と違って、軍事設備に対する政府支出を経常支出ではなく、資本支出と見なしているため、過去10年間の軍事予算の急増がGDP成長率を少しずつ押し上げてきたことになる。
測定上の違いが欧州に比べて米国の成長率を大きく見せてきた可能性のあるもう1つの分野は、金融サービスと不動産だ。
ほとんどの金融サービスは明示的に価格が付けられていないため、金融業界の生産高は測定するのが最も難しいものの1つになっている。生産高の単位の定義も、特に難しい。例えば、株式の売却は1株単位なのか、それともひと固まりの株式なのか?
金融、保険、不動産は、1995年から2009年にかけて米国のGDP成長率の4分の1を占め、統計では、38%という生産性向上を享受した。だが、同時期にユーロ圏では、これらの部門で生産性が9%低下していた。これは疑わしいように見える。
金融サービスの生産高は測るのが極めて難しい(写真は米ウォール街)〔AFPBB News〕
米国の金融活動はどういうわけか、所得として計算されるべきではないトレーディング収益を反映しているのかもしれない。また、米国の住宅ストックの価値の増加、それゆえ持ち家に住む人が消費する住宅保守サービスの増加が過大評価されていた可能性もある。
こうした影響を緩和する1つの要因は、金融部門の収益の半分が金融以外の企業に提供される仲介サービスから生じていることだ。
こうした仲介サービスの価値が米国で過大評価されていたとすれば、金融部門における実質付加価値の増加を割り引く必要があるが、金融以外の業界で の実質付加価値の増加は押し上げられ、GDP成長率全体では影響がないことになる。だが、家計と外国人に対するサービスが過大評価されていたとすれば、そ の分GDP成長率を割り引く必要が出てくる。
陰謀説を唱える人は、米国政府が整形によって自国の魅力を高めようとしていると結論づけるかもしれない。なかなかなくならないGDP成長率の下方修正は、うさんくさく見える。
米国の評価基準の方が優れている面も
だが、ほかの分野では、米国の統計学者たちは、自分たちの評価基準の方が優れていると考えているようだ。実際、歴史は、欧州の統計機関がしばしば、少し遅れて米国の方法を採用してきたことを示している。
また、世界最大の経済大国は小さな欧州諸国に比べると、自国の数字の国際的な比較可能性について悩むことがはるかに少ない。
確かに、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)の統計専門家は、データを比較する際、標準化された定義に基づいてそうしている。思わぬ障害が現れるのは、国の公式な統計が米国経済を過度に良く見せる場合があることを投資家がきちんと理解していない時だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/6810
市場を読む:金の高騰は妥当か?
2011.05.06(Fri) The Economist11年4月30日号)
金価格の際限ない上昇を説明しようとする戦い
金価格の高騰を説明する理由は何通りもある〔AFPBB News〕
金の価格が1オンス=1000ドルに達したら、金の強気相場が崩壊する兆しだ、と考えていた向きは、間違っていたことがはっきりした。最近、金の価格は1オンス=1500ドルを突破した。
金は様々な見方をすることができる。現在、投機的バブルの対象となっている「野蛮な遺物」と見なすこともできるし、歴史的に信頼できる価値の源泉と見なすこともできる。
また、ハイパーインフレの訪れを告げる合図と見なすこともできるし、世界的な金融あるいは経済の崩壊に対するヘッジと見なすこともできる。さらには、中国とインドの台頭を示す兆候と見なすことだってできるだろう。
典型的なバブルの兆候は見られないが・・・
金の強気相場をどんな理由を用いて説明しようとも、これは短期的な現象ではない。2002年以降、金の年間平均価格は1年間の例外を除いて毎年、率にして2ケタ上昇してきた(例外は、上昇率が8.7%だった2005年)。
今のところ、金価格のチャートには、次第に上昇ペースが加速していく典型的なバブルの兆候は見られない(もっとも、最近、銀はこのパターンに当てはまりつつある)。
しかし、金はバブル時に見られる別の特徴を示している。つまり、より多くの一般投資家が市場に参加している点だ。
前回の金の強気相場が1980年にピークをつけた時、投機筋は宝飾品や硬貨を買って市場に参加し、小売店では値段が高騰していた。今回、彼らは上場投資信託(ETF)を購入することができる。金の価格に連動したリターンが約束される商品だ。
右図が示す通り、世界最大の金ETFには、中央銀行の金準備に匹敵するだけの金の保有高がある。
バブルを示唆するもう1つの兆候は、評価基準の変化だ。ドットコム企業の株価は、有形な基準ではなく、「1クリック当たりの株価」で評価された。
ここで、金には問題が生じる。金は利益やキャッシュフローを生まないため、適正価格の判断が難しいのである。
1つのアプローチとして、エネルギーや食料などの生活必需品に換算した金の購買力を利用する方法がある。1986年の初頭、金1オンスの価格は石油12バレルに相当した。それが今では13バレルほどだ。
小麦に換算した金の購買力は過去四半世紀でもっと急激に上昇したが、1年前と比べればずっと低くなっている。
金の実力というよりは、紙幣に対する信頼感の欠如の表れ?
しかし、金の価格は大抵、ドルで表示される。そのため、金の強さは金そのものの真価というよりも、単に紙幣に対する信頼の欠如によるものかもしれない。かつて、通貨の強さは国家の威信の象徴とされていたが、現在、通貨高を喜ぶ国はほとんどないように見える。
各国中央銀行は金利をほぼゼロまで引き下げ、国債を購入するためにバランスシート(ひいてはマネタリーベース)を拡大させた。日本とスイスの場合は、自国通貨を安値誘導するために為替市場に介入した。
スイスフランは通常、非常に強い紙幣と受け止められている。スイスフラン建ての金の価格は、2010年の初めに比べ17%も値上がりしている。
資金の安全な避難先としてスイスフランが買われている〔AFPBB News〕
1971年まで、大半の通貨の価値は金もしくは銀を用いて表示されていたことを思い出すといい。そう考えれば、今回スイスフランは1930年もしくは1960年代の危機の特徴になった類の通貨切り下げを経験したところだ。
評論家の多くは、こうした紙幣に対する信頼低下が理にかなうのは、今後、インフレが高進する場合だけだとの見方を示している。
だが、先進国では、消費者物価の上昇率は極めて低い。また、経済には余剰生産設備があり、賃金と物価の悪循環が進行している兆候も見られない。国債市場を見ても、インフレ見通しに警告を発している様子はない。
とはいえ、最近は国債市場で中央銀行が非常に大きな役割を果たしているため、国債利回りを真の「市場価格」と言えるのだろうか? 銀行は利益を最大化する目的というよりは、為替政策の一環、もしくは流動性を注入して利回りを下げるために国債を購入している。
さらに、コモディティー(商品)価格の高騰の問題がある。資産運用会社GMOのジェレミー・グランサム氏は、33のコモディティーの均等加重指数 をまとめた。この指数は1902年から2002年にかけて、実質ベースで70%下落した。ところが、過去9年間で、その下落分をすべて埋めている。
完全に非合理ではない金高騰
一般的に発展途上国の台頭がこうしたコモディティーブームの背景にあると見られている。途上国ではインフレバスケットに占める原材料の割合が高いことを考えれば、中国やインドに投資する筋がインフレに対するヘッジとして金を購入することは妥当だろう。
もし(金ではなく)中国がバブルであることが分かり、発展途上国の成長率が期待を裏切るようなことがあれば、コモディティー価格は大幅に下落し、金もそれに追随することになるだろう。だが、そんな事態にならない限り、金の強さは完全に非合理というわけではないのだ。
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