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マスコミはなぜ報道しないのか!石川議員、女性秘書の取り調べで行われた“でっち上げ”“恫喝”“証拠隠滅”
http://www.asyura2.com/11/senkyo112/msg/270.html
投稿者 遠山の金さん 日時 2011 年 4 月 26 日 16:58:47: psj3IN/xK7JbA
4月22日東京地裁で、陸山会の第9回公判が開かれ、石川議員、大久保元秘書、池田元秘書の取り調べを行った当時の東京地検特捜部長、吉田正喜法務総合研究所研修第二部長と、
監禁に近い形で長時間に渡り取り調べを受けた石川議員の女性秘書の方が証言を行いました。
当日は、石川議員を支援する一般市民の方々、ジャーナリストの江川紹子さん、検察審査会の問題を追及されている森ゆうこ衆議院議員が傍聴され、ブログ上で、公判について報告してくれていますが、大手マスコミでは、検察にとって、都合の良い部分のみを記事にした新聞社の報道のみ。
取り調べで行われた“軟禁”“恫喝”“でっち上げ”“泣き落とし””証拠隠滅”などは一切報道されていません。驚いた事に、私が見た限りにおいては、テレビでは、公判があったことすら、報道されていません。
東日本大震災、福島第一原発の事故の影響があるとはいえ、陸山会事務所へ検察の強制捜査が入った当日に、各社横並びで“一斉に”報道をしていたのに比べ、この“一斉に”報道しない状況は、報道機関として、明らかに偏った状況だと思います。
ある意味「御用メディア」という体質を端的に表していると思いますが、「体制側に都合の悪い情報は、国民に知らせない」今のメディアの状況は、本当に恐ろしい状況だと思います。
証拠の隠滅を含め、陸山会事件の取り調べで行われた“でっち上げ”“恫喝”“泣き落とし”はまさに戦前の「特高検察」そのもの。
陸山会事件も「特高検察」(旧司法省)、「裁判所」(旧司法省)、マスコミ(提灯メディア)が一緒になって行った翼賛政治(ファシズム)そのものであると痛感させられます。
以下に、一市民Tさんのブログ「一市民が斬る」、江川紹子さんのブログ「江川紹子ジャーナルより」傍聴記を転載させていただきます。
このままでは、本当に恐ろしい状況になります。一部の特権階級の利益の為に行われる戦争に巻き込まれかねません。
我々市民も、権力を監視を強化し、声を上げ、状況が変わるまで、多くの人に真実を訴え続けましょう。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
以下、
ブログ「一市民が斬る」
4月23日 陸山会公判を傍聴して、検察のあくどい取調べ実態がよくわかった!
http://civilopinions.main.jp/2011/04/423.html
より、転載
4月22日、小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書の公判が東京地裁(登石郁朗裁判長)で開かれた。
信頼する"気弱な地上げ屋さん"の呼びかけで、その公判を傍聴した。
午前の部:石川議員を取り調べた吉田正喜・元東京地検特捜部副部長の証人尋問。午後の部:軟禁状態で言われなき取り調べを受けた石川議員女性秘書上垣さんの証人尋問。
"気弱な地上げ屋さん"のブログ "ラ・ターシュに魅せられて"に公判の模様がリアルに記載されているので、ぜひ読んでほしい。
http://latache1992.blog56.fc2.com/blog-entry-416.html
この公判から垣間みた検察の横暴振りについて触れてみたい。
<検事は恫喝など威圧的な取調べを行っても何ら制裁を受けない>
吉田正喜・元東京地検特捜部副部長の取調べはムチャクチャだ。
収支報告書への記載ずれという微罪で、石川議員、大久保元秘書、池田元秘書の3人を起訴した。
取調べの中で、石川議員を威し、「収支報告書記載ズレを小沢氏が承知していた」という供述調書を強引にとった。この供述調書が元で、小沢氏は検察審査会に訴えられ、検察審査会で起訴議決がなされた。
また、石川議員の言によると「小沢はここで不起訴になっても、検察審査会で裁かれる可能性が高い。その議決は参議院選挙前に出るでしょう。そんなことになって良いのか」と威されたという。
冤罪作りを演出した検事だ。
検察幹部は、既に、彼を法務総合研究所研修第二部長に異動させている。強引な捜査をさせた吉田元副部長の行状が裁判などで公になる前に、特捜部からはずしたのだろう。
今回公判でも、吉田元副部長は、事実とは考えられない証言をした。
「石川議員は有権者から1500万の寄付を受けた。それは賄賂だったと石川議員自ら言った。」 と証言した。
石川議員への寄付行為は、今回の起訴内容には全く関係ないものだ。しかも、当時野党議員であった石川議員に賄賂など成立しない。石川議員が自ら「1500万の寄付をもらった。それは賄賂だった」など言い出すわけもない。
ぬけぬけと嘘を吐くものだ。
裁判官は、嘘の証言と気づきながらそれを咎めない。
彼はこの証言内容を書きとめた供述調書を石川議員の前で破り捨てたという。
彼は5000万円の授受関係の捜査担当を任されていた。破った動機は、自分がそうすれば石川議員が5000万円授受を認めてくれると思ったからだという。彼の説明に納得がいかない。
水谷建設のその裏金授受について「証拠を精査し間違いないと思った。取り調べで若干声が大きくなったかもしれない」と語った。
「裏金授受について証拠を精査したというのは、どういうことか」との質問に対し、「他の捜査担当の書面での確認」と答えた。自分で何も調べていないのだ。
そして、彼は、「(起訴内容を認めた供述調書に)石川議員は淡々と署名した」と証言した。
その場で抗議できない石川議員は顔を赤くして聞いていた。怒り心頭だったと思う。
検察側が主張している容疑事実に関し何の証拠もないし説得性もない。
しかし、裁判所はその訴えを認めてしまった。
また、公判の裁判官は、検察側の主張はすぐ認める。これでは検察のやり放題、言いたい放題だ。
裁判所は検察よりだと思った。
<検事は、容疑内容を何も知らない石川議員秘書を長時間軟禁して何を取り調べたのか>
証人上垣さんの証言を聞いてびっくりした。
民野検事が上垣さんを脅した手口はヤクザのそれより酷い。
昔、ある人がヤクザ事務所に連れ込まれ、威された話を聞いたことがある。
上垣さんがやられた内容はそれとそっくりだ。
「押収品をお返ししたいので・・受け取りに来てください」と嘘を言って騙して密室に連れ込む。
パソコンに女性秘書の子供を大写しにし、「この子供が、犯罪者の子供って呼ばれたらど〜すんの?」
なだめすかすというヤツだ。
問題はもっと大きい。上垣さんは検察が何を供述させたかったのか、さっぱりわからなかったという。
10時間の間、何を言えば開放してくれるのかわからなかったという。
これではパニックになってしまう。
どうやら、検察は、自らでっち上げたストーリー(5000万円授受など)を認めた供述を石川議員にさせようとして、周辺の者を威す作戦を取ったようだ。
上垣さんはその犠牲になったのだ。
これはまさに恐喝だ。
検事がやったら何のお咎めもないのはおかしい。
取調べの全面可視化が必要なことが良く分かった。
<森ゆうこ議員が傍聴、公判終了後森ゆうこ議員と懇談>
午後の部から、森ゆうこ議員が傍聴された。
森ゆうこ議員は、検察審査会疑惑を徹底的に追及されておられる。
森ゆうこ議員に帰りがけに、「話を聞いて下さい」とお願いした。
10人くらいで近くの喫茶店で話を聞いて頂いた。
こんなむちゃくちゃな取調べをして検察は何で罰せられないのかと森議員に憤懣をぶつけた。
森議員はこの案件での議員活動の状況を教えてくれた。
森議員は「検察官適格審査会では、民野検事の問題を、川内議員、辻議員らと取り上げようとした。ところが、某議員が反対し、同意を得られずうまくいかなかった。」と嘆いておられた。
私達は、検察や検察審査会事務局や最高裁に対し、立ち向かっておられる森議員に大変感謝している。
これからも頑張って頂きたい。私達もできる限りのサポートをしたいと思っている。
2011年4月23日
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
以下、
「Egawa Shoko Journal 江川紹子ジャーナル」
やっぱり可視化は必要だ〜陸山会事件第9回公判傍聴記
2011年04月24日
より、転載
4月22日に行われた陸山会事件の第9回公判。検察側証人として出廷した検事が、取り調べ中に作成したメモを、被疑者の面前で破り捨てたことを認めた。3人の裁判官たちはこの事実に強い反応を見せ、口々に「なぜ破ったのか」「どのようにして破ったのか」「あなたはその時に興奮してたのか」などと検事を追及。郵便不正事件の裁判では大阪地裁の裁判官たちが、公判前にメモを廃棄したことについて取り調べ検事に鋭い質問を浴びせていた。東京でもメモの扱いを巡っては、裁判官が敏感に反応するようになってきたのだろうか…。
この日検察側証人となったのは、石川知裕議員の取り調べを行った吉田正喜検事(当時、東京地検特捜部副部長)。石川議員の取り調べは田代政弘検事が担当していたが、水谷建設からの5000万円を受けとったのではないかという追及に石川議員が否認を続けていたため、この点に限って副部長が取り調べることになった。
単なる認識の違いや形式的なミスに過ぎないと主張されることが予想される政治資金報告書の記載の石川議員を自白に追い込めれば、小沢氏を巻き込む5000万円の贈収賄事件に発展する可能性がある、ということで、副部長を投入することになった、と思われる。
しかし、吉田検事の取り調べでも、石川氏は否認を続けた。
この取り調べの状況について、検察側主尋問を行ったのは、4人の検察官団の中で、恰幅といい存在感といいいかにも親分格の斎藤隆博検事。その問いに答えて、吉田検事は次のように述べた。
「証拠を改めて精査したが(5000万円を受けとったのは)間違いないと思い、『あなたの弁解を無視しているわけじゃない。証拠を精査したが間違いない。本当のことを話してください』と言った。すると、石川さんは興奮して『川村を呼んでください』と言い始めたので、私は『そういう話じゃない。私が証拠を精査したのに、それを信用しないんですか』と言った。この時は、少し声が大きくなったかもしれない」
「『石川さんは不正な金は一切受けとっていないのか』と聞いたら、『議員になってから不正な金を何度か受けとっています』と認めた。詳細に聞いたわけではないのに、(石川議員の方から自発的に)『ある支援者から平成19〜20年に合計1500万円の金を受けとっています。議員活動を期待しての裏金ですから賄賂と思っています』と語った」
この「賄賂」という言葉は、石川議員自身の方から出たことを強調。
「職務権限も分からない漠とした話ですから(私の方からは)言えません」
この1500万円については、調書化された。そのいきさつについて、吉田検事は次のように語った。
「この取り調べより先に、石川さんの女性秘書の取り調べがあった。それが問題となり、弁護士から抗議書が来た。そのことについて『石川さんはどう思っていますか』と聞くと、石川さんは『(女性秘書は)私をかばおうとして、がんばっちゃってるんですよ。私が話して認めているんだから、そんなにがんばらないでいい、と伝えてください』と。私は『それなら、弁護士さんに話したらどうか』と言ったのですが、石川さんが『(本人に)伝わるかどうか分かりませんから』と言うので、『じゃあ、認めているということで簡単な調書を作っておきましょうか』ということで、作成することになった」
検察側としては、この調書を作成することで、石川議員がこの取り調べを乗り切って国会議員を続けることを断念させ、一気に水谷建設からの5000万円を認めさせようという意図があったようだ。吉田検事は、捜査の手法について、こう語った。
「人が不正行為を認めるのは、勇気がいる。取り調べは、できるだけその勇気を与えて上げること。正面から事実を認めて欲しいが、いきなり(水谷の)5000万円ということではなく、周りを詰めていくこともある」
しかし、吉田検事が意図したように取り調べは進まなかった。そんな中で、吉田検事はメモを破ったことを、主尋問の中で認めた。
検察官「それ(石川議員が支援者から受け取った金)については記録したのか」
吉田「手元のコピー用紙に箇条書きで書いた」
検察官「そのコピー用紙はどうしたか」
吉田「最後の取り調べかその前に破ってしまっている」
検察官「なぜか」
吉田「その後の取り調べでも、石川さんは水谷建設の5000万円を否認し、『私は正直に話してます。不正な金をもらったことも正直に話しているじゃないですか』と言い続けた。自分の不正を話していることを心の支えにしてがんばり通そうとしていると思い、『これは関係ないんですから、水谷のことを話してください』と言って紙を破りました」
続く反対尋問で、石川議員の弁護人は、支援者から1500万円を受けとったことについて「あなたが通帳を示して、『こんな金もあるじゃないか』と攻めたのではないか。賄賂という言葉も、本当に石川自身の口から出たのか。1500万もの賄賂を受けとったとなれば、実刑になる。そんなことを被疑者が自らベラベラしゃべるとは思えない」と反論したが、吉田検事は「本当です」と証言。話は平行線に終わった。石川議員の弁護人は、このような質問より主張が中心の”弁論的尋問”が多く、これまでも検察側証人の反対尋問では、こうした平行線が続いていた。証人が答える前から、「否定するなら否定していいですよ」と決めつけることもしばしば。証人から何かを引き出したり、矛盾をあぶり出すより、少しでも多く石川議員の主張を裁判官に聞かせたい、ということなのだろうか…
絶対に交じり合うことのない平行線的尋問を聞くたびに、取り調べ課程がきちんと可視化されていれば、こういうやりとりはなくなり、もっと効率的な審理ができるのに、と思う。
その後行われた裁判官たちによる尋問では、弁護人が関心を示さなかった、吉田検事のメモの扱いについて質問が集中した。
まず藤原靖士左陪席裁判官。
左陪席「メモを破った件ですが、石川被告人の面前で破ったんですか」
吉田「メモを呼べるものかどうかは分かりませんが…」
左陪席「破った理由は?」
吉田検事が、主尋問と同じ答えを繰り返すと、左陪席裁判官はさらに問いを重ねた。
左陪席「話をして説得するだけではなく、メモを破る必要性はあったのか」
吉田「石川さんは、『このメモがあるから(水谷の5000万円は受け取ってないと)信じてください』と。こっちがあるからこっちも真実ということにはならないだろうということで…」
このやりとりを登石郁朗裁判長が引き取り、質問を始めた。
――自分の不正について話しているのだから、他のことも信じて欲しいというのは、理屈としてはありえますね。
吉田「一般的な理屈としては」
――自分の不利なことを話しているものを、なぜ破くという行為になるのか。
吉田「水谷の5000万円は大久保の指示でやった小沢事務所の件。一方1500万円他何件かは、石川さん個人のこと。否認しているのは小沢事務所のことで、一般的な理屈とは違う。これは関係ないことを示すパフォーマンスということで…」
――そのように説得するにとどまらず、破くというのはどういう意味か。
吉田「箇条書きにしている紙があり、石川さんもそれに目をやって、(5000万円を否認する)よすがになっている。よすがを取り除くという意味」
――あなたはかなり興奮していたのか。
吉田「興奮っていうか…興奮はしてないと思うが、興奮していたかもしれない」
――相手を説得するのは分かるが、紙を破くというのは別の話だ。
吉田「あくまで箇条書きにしただけものも。誰々、いくら、と書いてあるだけ。石川さんに本当のことを喋ってもらうためのテクニックというか」
――それで話したくない気持ちが変えられるかも、と?
吉田「はい」
――興奮していたというよりテクニックなのか
吉田「複合的なもの」
続いて市川太志右陪席裁判官。
――メモはびりっとやぶったのか。どのような態様で破いたのか。
吉田「普通に裂いた」
――少し持ち上げて?
吉田「置いたままでは破けない」
――相手に見せつけるように?
吉田「それは、そう」
――気の弱い被疑者であれば、目の前でびりっと破られれば、検事さんを怒らせてしまったのではないかと思うのではないか。そういうことは気にならなかったか。
吉田「必ずしも気の弱い被疑者ということはないので、そういう意識はなかった」
再び裁判長。
――メモを破った時には、両者の間に緊張感のようなものがあったか。
吉田「石川さんの取り調べは、あまり緊迫感はなかった。石川さんが『ワッハッハ…』と笑ったのを覚えている。弱い立場の被疑者という意識はない」
――興奮とテクニックと半々ということだが、破くことで何か効果を期待できるのかな。
吉田「私は一定の効果があると思った…外れましたけど」
同じような質問が繰り返されていることなどからも、裁判官たちが、吉田検事の説明に、どうしても納得できないでいることが伝わってきた。
この日午後の法廷では、石川議員の女性秘書Uさんが弁護側証人として出廷。民野と名乗る検事に呼び出され、弁護士に連絡を取ることも許されず、長時間の取り調べを受けるなど、検察に不当な捜査を受けたと訴えた。
弁護人の問いに答えてUさんが語ったところによれば、押収品の返却のために平成22年1月26日午後1時に東京地検に赴いたところ、証拠隠滅容疑の被疑者として取り調べを受けた。「弁護士に連絡させてください」と頼んだが、「すでに弁護人専任届けを出した弁護士でなければ、そういう権利はない」と拒否された。「あなたを逮捕できる情報を手にして調べているんだから、自分から話をして罪を軽くしなさい」と言われたが、何について聞かれているのか分からなかった。
「石川の政治生命は終わりなのだから、庇う必要はない」などと言われ怖くなったが、検事からは具体的な質問はされず、ただ「話なさい」としか言われなかったので、何のことか分からず、黙っていた。夕方には子どもを保育園に迎えに行かなければならないので、「5時にここを出られるよう約束してください」と頼んだが、「人生そんなに甘くない。あなた次第だ」と言われた。さらに、子どもたちのことについて「この子たちが保育園で『犯罪者の子どもだ』と言われたら、どんな気持ちになるんだろうね」と言われ、絶望的な気持ちになった。
その間、男性の事務官が同席していたが、しだいに居眠りを始め、途中からは机の上に足を投げ出すようにして眠りこけていた。それを見ながら、Uさんは「こういう人にも残業代は出るのかな。この人たちは私に何かを聞きたいわけじゃなくて、ただここに閉じ込めておきたいだけなんだ」と思った、という。
休憩を申し入れても認めてもらえず、もうこれでは倒れてしまうと思い、カバンから携帯を出して弁護士に連絡を取った。検事は「石川がどうなってもいいのか」と怒鳴っていたが、朦朧としていて、とにかくここから出して欲しい一心だった。弁護士から「帰っていいんだ」とアドバイスされたので帰ろうとしたら、それでも検事は目の前に立ちふさがって「帰れるだけないだろう」とすごんだ。結局、解放されたのは午後11時だった。「任意」の取り調べは10時間も続いたことになる。
「今思えば、私を拘束することによって石川に与える心理的プレッシャーを考えていたのかもしれない」とUんは主尋問での証言を締めくくった。
続いて、検察側の反対尋問は市川宏検事。4人の公判検事の中でも、常に沈着冷静。感情を表に出さず、丁寧に、かつ理詰めで攻めるタイプ、という感じだ。
――この日は夕食もとれなかった、と言いましたね?
「はい」
――実際には、事務官がサンドイッチを買ってきたのではないですか。
「覚えていません」
――呼び出しの電話では、押収品を返すと言ったのですか。
「はい」
――実際には、民野と名乗る人は、ほかに「あと少し確認したいこともある」と言ったのではないですか。
「聞きたいことがあるとは言っていたと思う」
――取り調べでは具体的な質問はない、ということでしたね。
「はい」
――実際には、関連政治団体の寄付処理について聞かれたのではないですか。
「具体的な口座名をおっしゃらなかったので、私は分かりません」
このような形で、主尋問の証言を少しずつ修正させ、その後で石川議員の政治団体の預金通帳のカラーコピーと白黒コピーを示した。カラーコピーは、検察が押収した時の預金通帳の写し。それとは別に、石川事務所からは通帳の白黒コピーが押収されていて、そこには入金や振り込みの横に、支援者の名前などの書き込みがされていた。押収した預金通帳にはその書き込みがなかったことから、不利な証拠になるので誰かが意図的に消した、と検察は見ていたようだ。
――取り調べの際に、これを示されたのではないですか。
「民野検事は、こういうサイズの通帳のコピーは持っていた。見せてくれとお願いしても見せてくれなかったので、分かりません」
――それで、何を聞かれましたか。
「具体的なことは聞かずに、自分から言った方が罪が軽くなると」
――特定人物の書き込みをあなたが消したんじゃないかと、聞かれませんでしたか。
「そういうことを聞いてくれれば対応しました」
弁護側の異議で、裁判長はそれ以上通帳のコピーを証人に示すことは禁じたが、尋問の続行は許可した。
市川検事は、個人名は伏せつつ、5件の振り込みや入金合計650万円の例を挙げ、それをUさんが通帳から消したのではないかと、民野検事から聞かれたのではないか、と問うた。
Uさんは、「具体的にそういうことは聞かれません」と否定。
ただ、こうしたやりとりになると、Uさんは証言をしてよいものかどうか迷うのか、何度も弁護人の方を見たり、証言を渋ったりした。検察官からは「証言を回避している態度が見られる」と指摘され、裁判長からも「弁護人の方を見ないで」「記憶に従って述べてください」と何度か注意を受けた。こうした証言をためらう態度によって、主尋問での証言のインパクトも、かなり減殺された印象だ。石川議員の弁護人は、反対尋問を想定してろくに打ち合わせをしないまま、Uさんを法廷に送り出したのだろうか。
いずれにしても、検察側の見方とUさんの証言は、平行線のまま終わった。このU証言の信用性についても、取り調べの課程を録音なり録画なりしておけば、容易に判断できる。録音があれば、おそらくUさんを証人として引っ張り出す必要もなかったのではないか。
江田法相は、最高検に対して、特捜部などの独自捜査では、取り調べの全過程を含む録音・録画の試行を行うよう指示した。しかし、Uさんのように任意の取り調べでは、試行すら行われない。取り調べを受ける側が、自ら録音機を持ち込んで録音することを禁じる法律がないことは法務省も認めているが、検察は「庁舎管理権」を盾に録音を認めない。
Uさんの場合も、携帯電話は電源をオフにさせられ、小物入れのバッグは遠くに離しておくように命じられている。密かに録音されることを警戒してだろう。
しかし、録音記録がないことで、このように真相解明に支障が生じている。
せめて、本人が音声記録や映像記録を求めている被疑者については、任意であっても、身柄を拘束されていても、録音・録画を行うという制度を、早く作るべきだ。
そうでなければ、法廷でこういう平行線が続くだけだ。後は、想像で「この人は信用できるっぽい」「いや、あんまり信用できそうもない」と判断するしかない。そこには、どうしても主観が入ってしまう。
それにしても、陸山会事件とは何だったのだろうか。小沢氏の3人の元秘書は、政治資金収支報告書への4億円の記載を巡って起訴されたはずなのに、それ置き去りにされ、どんどん事件が拡散している。検察側は水谷建設からの5000万円を強調し、まるで実は贈収賄があったかのように印象づけ、さらには石川議員の政治資金を巡る問題まで法廷に持ち出されている。
小沢氏に連なる人たちは、何か怪しい、何か隠している、けれども結束力が強くしっぽを出さない――そんな雰囲気作りだけが、着々となされている感じもする。
検察側と弁護側の力量の差ゆえなのか、裁判長の訴訟指揮によるものか、その辺はよく分からないが、果たして刑事裁判の在り方として、こういうことでいいのだろうか……。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
以下、
<関連記事リンク>
(新聞報道)
・「石川被告が賄賂認めた」元特捜副部長が証言
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110422-OYT1T00506.htm
2011年4月22日12時28分 読売新聞
・「陸山会公判:威圧的取り調べ 元副部長が否定 東京地裁」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110422k0000e040058000c.html
毎日新聞 2011年4月22日 12時25分
(石川議員女性秘書インタビュー)
「石川知裕議員女性秘書が語った「不意打ち10時間取調べ」の全貌」
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/02/post_730.html
《THE JOURNAL》編集部 2011年2月 1日 19:36
※しかし、讀賣の記事は最悪です。洗脳されないよう注意しましょう。
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