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投稿者 小沢内閣待望論 日時 2011 年 4 月 25 日 17:44:07: 4sIKljvd9SgGs
 


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オバマと戦争「無気力なリーダーシップをこれ以上許している余裕はない」
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投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 25 日 13:33:27: 6WQSToHgoAVCQ

日経ビジネス オンライントップ>アジア・国際>
オバマと戦争「無気力なリーダーシップをこれ以上許している余裕はない」

2011年4月25日 月曜日


 311大震災から一カ月以上が経過した。この間、世界は未曾有の大災害に見舞われた日本の行動を注視し、世界中のメディアが東日本大震災を連日のように取り上げた。当初は地震と津波の破壊力の凄まじさや、これほどの被害を受けながら、大きな混乱も起こさず秩序だった避難所暮らしを続ける被災者に対する驚嘆と尊敬の意を表す報道が目立っていた。

 しかし、福島原発事故の対処がはかどらず、放射能汚染が止まらない中、真相を迅速に伝えない東京電力の隠ぺい体質や、原発事故対処でリーダーシップを発揮できず危機管理能力の欠如した菅政権に対する批判の声が海外でも次第に強くなり、今や「世界経済における日本リスク」に対する懸念が表明されるようになった。そしてその延長線上で、外交・安全保障の専門家たちの間では、「日本なしの東アジア秩序」や「日本の抜けた新しい戦略環境」が議論され始めている。

 早急に日本政府が原発事故に関する詳細な情報や災害復興に向けた綿密な計画を打ち出し、世界に対して日本再生のためのビジョンや行程表を明らかにしない限り、日本の国際社会におけるプレゼンスは、回復不能なほど落ち込む可能性も否定できない。
「無気力なリーダーシップ」にあきれる米国

 「これでは外務省は当分、開店休業状態ですね」

 ある外務省OBが、311大震災以降日本の外交が事実上ストップした様子を表現してこう述べた。国内政治が安定した状態にないと、力強い外交など行えないのは言うまでもないが、ここまで政府、とりわけ官邸が中枢麻痺になっている状況では、とてもではないが外交どころではない。

 しかし、国際政治の世界は、日本が大震災の被害から立ち直り、復興するまで待ってくれるほど甘くはない。

 「日本は外交問題で休暇を取っている場合ではない。世界は日本が完全に回復するのを待ってくれる訳ではない。国内の復旧・復興につとめながらも、国際問題への関与を怠ってはならない。一刻も早くグローバルプレーヤーとして国際社会に復帰する努力をしなくては」

 と述べるのは、2005年まで当時のブッシュ政権でチェイニー副大統領の国家安全保障担当副補佐官を務め、現在は首都ワシントンDCでコンサルティング会社「DCインターナショナル・アドバイザリー」のプレジデントを務めるスティーブン・イェーツ氏だ。日米同盟の強化を訴える親日派の戦略家の一人である。

 イェーツ氏は、未曾有の危機に見舞われた菅政権が当初迅速に対応できず、対策が遅れたことについては、「どこの国のどんな政権でも当初はそうなる。それは仕方がない」としながらも、いつまで経っても立て直しができずに、国家全体を見据えた対応がとれない菅首相のリーダーシップのなさに失望を隠せずにいる。

 またワシントンのシンクタンク・ハドソン研究所のCEOケネス・ワインシュタイン氏も、

 「日本は、福島原発事故の問題を克服し、被災地を再建し、経済をかつてのようにしっかりとした基盤の上に立たせるため、緊急に大胆で創造的なリーダーシップを必要としている。否定したり、臆している時間はもう終わりだ。政府における創造的な解決策やビジネスの世界における企業家精神やイノベーションを後押しする力強いリーダーシップだけが、日本をグローバルリーダーとしての適切な役割へと戻すことを可能にする。もはや失敗をする余裕は残されていない。日本自身も、またその同盟国も、無気力なリーダーシップをこれ以上許している余裕などないのだ。とりわけ台頭する中国を前にして」

 という厳しいコメントを寄せてきた。菅政権のあまりに「無気力なリーダーシップ」に完全に愛想を尽かしている様子が手に取るように分かる。ハドソン研究所と言えば『超大国日本は必ず甦える』、『超大国日本は完全復活する』などの日本経済予言本を数々発表し、日本の未来を常に前向きに楽観的に評価してきたシンクタンクである。大変な親日派でもあるワインシュタイン氏の苦言を、われわれは真摯に受け止めるべきであろう。

 同氏のコメントの最後の「とりわけ台頭する中国を前にして」の部分は、軍備増強を進める中国を抑止するため、日米同盟の強化を推進し、日本に安全保障分野でより積極的な役割を果たして欲しいと考えてきた親日派グループの落胆の大きさを物語っている。

 今回の大震災では在日米軍が大々的な「トモダチ作戦」を展開して被災者の救援などで大活躍し日米同盟が強化されたとする見方もあるが、自衛隊との連携・結束は強まったものの、日本政府の文民指導部に対しては、そのリーダーシップの無さと混乱ぶりに落胆を通り越して「あきれ果てた」という声が米軍筋から聞こえてくる。沖縄・普天間問題でも見られた民主党政権の指導者に対する不信感は、今回の震災を通じてさらに強まったと言えるだろう。

 17日にはクリントン国務長官が来日し、震災の復旧、復興に向けて「揺るぎない支援を約束する」と述べ、日米同盟を深化させる意向を示したが、実際は日本政府の対応に関して米国内で増大する不満を背景にして発破をかけに来たというところではないか。

 前述のイェーツ氏は、日本でこれ以上リーダーシップの不在が続き、日本が国際舞台から不在の状況が続けば、ワシントンにおいて「日本よりも中国との関係を強化すべきだ」と考える親中派の影響力が強まることを懸念する。

 「“日本抜きのアジア戦略”がワシントンの政策コミュニティの中で議論されていないと言ったらウソになる。ワシントンにはただでさえ、米国の対アジア戦略を、日本との同盟関係ではなく中国との協力を軸に組み立てていくべきだと考える強力な親中派の勢力が存在する。今回の大震災で、日本が今後同盟国としての役割を果たせないのであれば、彼らの主張がさらに強まる可能性がある」

 最近オバマ政権は、米国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長に日本通のラッセル同日本・朝鮮部長の昇格を決定し、日本重視姿勢を示しているが、「米国は全力で日本を支援してくれている」「日米同盟強化のチャンスだ」などと安心している場合ではない。
米国は対日関係を「原点回帰」させる?

 さらに、このままリーダー不在の状況が続けば、米国は第二次世界大戦後の日米関係の原点に戻り、「日本は基地さえ提供すればいい」という属国のポジションに格下げする方向にシフトするのではないか、との懸念も出始めている。ある日本の防衛関係者は、米国が今回の大震災後に「日米同盟強化」を掲げて支援する背景について以下のように分析している。

 「米国は、東アジアにおける現在の日本の戦略的なポジションについて、敗戦後サンフランシスコ講和条約による主権を回復した直後と同等に位置づけたのではないでしょうか。この位置づけは、米ソ冷戦下、実態的に米国の属国としての主権回復であり、独立国としての体を成さない一方、日米安保条約によって保護されるという東アジア安定秩序の基本形を成したものです。

 冷戦後、米国は日米安保体制を再確認させると共に、日本の自衛隊の役割拡大を求めてきましたが、この基本形は現在まで維持されてきました。それは、実態として日本が米国の戦略的利益を守るための拠点(基地)を提供するという片務的関係が維持されることを米国も望んでいたからです。

 確かに、日本を、台頭する中国に対するカウンター・バランスとして活用することを期待する向きもありましたが、米国は今回の大震災後の日本の対応を見てそうした期待を捨て去り、今や日本の位置づけを基に戻すことを考えているのではないでしょうか。そして、実は米国の本音の部分では、その方が望ましいのだと思います」

 米国の本音については、これまでも多くの米国人が発言してきているが、ちょうど大震災直前に解任されたメア国務省日本担当部長の本音発言でも裏付けられている。メア氏は、「私は日本国憲法9条を変える必要はないと思っている。憲法9条が変わるとは思えない。日本の憲法が変わると日本は米軍を必要としなくなってしまうので、米国にとってはよくない。もし日本の憲法が変わると、米国は国益を増進するために日本の土地を使うことができなくなってしまう」と発言していた。

 このような米国の本音と、大震災後の日本の戦略的地位の低下という現状を加味すれば、米国は日本を「台頭する中国へのカウンター・バランスとして支援する」方向ではなく、むしろ敗戦後の基本形に回帰させることを前提に対日戦略の再構築を図ることになるのかもしれない。

 こうして見ていくと、原発事故対処でリーダーシップを発揮できず危機管理能力の欠如した菅首相の存在は、今や「世界のリスク」であるだけでなく、日本の独立国としての存続をも脅かしていると言うこともできるだろう。日本経済新聞の調査では、「菅直人首相は指導力がない」として「支持しない」と答えた人が70%と過去最高を記録したと報じた。

 このままでは日本の国際社会におけるプレゼンスは、回復不能なほど落ち込む危険性があることをわれわれは明確に認識すべきである。いずれにしても、無能なリーダーシップとの決別が、復興と日本再生への第一歩となろう。
このコラムについて
オバマと戦争

2009年12月1日、オバマ大統領は3万人の増派を中心とする新しいアフガン戦略を発表した。アフガンは米国にとって「第二のベトナム」になってしまうのか? それともオバマ政権の新しい思考とアプローチは、アフガンの地に安定を取り戻すことが出来るのか? 一方、いまだ治安の安定しないイラクから、米国は無事に撤退をすることが出来るのか? また、大統領選挙の混乱以降、政治不安の続くお隣イランの核開発問題は、これからどのような方向に進んでいくのか? そして、こうした中東の混乱に乗じて北朝鮮はどのような動きを見せるのだろうか? バラク・オバマが政治生命を賭けて取り組むアフガン戦争と、米国の安全保障を左右するイラク、イラン、北朝鮮をテーマに、「オバマの戦争」を追いかけていく。

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著者プロフィール

菅原 出(すがわら・いずる)
菅原 出

1969年東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェローを経て、現在は国際政治アナリスト。米国を中心とする外交、安全保障、インテリジェンス研究が専門で、著書に『外注される戦争―民間軍事会社の正体』(草思社)などがある。最新刊は『戦争詐欺師』(講談社)。
 

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