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アメリカよ、美しく年をとれ
猿谷 要著
(新赤版1029)
米国史研究の草分けによる
回想と痛憤と提言の書
敗戦直前の1945年7月、当時21歳の著者は、陸軍・飛行隊の少尉(練習機の教官)として北海道の東端、西春別(現・別海町)の飛行場にいました。そんな辺境で体験した米軍機グラマンによる攻撃。だが接近してきた敵機のパイロットの顔は、「鬼畜」どころかまだ初々しい少年で、著者は「好感を抱きそうなほどの親近感を覚えた」(本書より)のです。「私は戦っている相手のことを、まったく知らないでいたのではなかったか」(同)……。その痛切な思いから、戦後の著者のアメリカ研究が始まりました。
本書は、その道のりを回想し、特にこの40年、くり返しこの国に暮らし、また各地を訪ねる中で得た親しい友とのエピソードを織り込みながら、人種差別やベトナム戦争、「9.11」などに揺れてきた米国の光と影を活写。ブッシュ大統領の独善的な外交への失望と痛憤を語り、「老醜」をさらさぬためには「軍事力より文化力を」と強調します。
長く日米間の相互理解に尽くし、いま83歳の温厚な著者が大義のかけらもないイラク戦争を批判して「大米帝国」とまで呼ぶとき、読者にはその怒りだけでなく哀しみの深さもまた十分に伝わることでしょう。
(新書編集部 坂巻克巳)
■著者紹介
猿谷 要(さるや・かなめ)
1923年生まれ。東京大学文学部卒業。その後同大学院修了。日本大学、東京女子大学、駒沢女子大学教授、およびハーヴァード大学、ハワイ大学、コロンビア大学、エモリー大学、コロラド大学などの客員研究員を歴任。現在、東京女子大学名誉教授。専攻・アメリカ史。著書に『アメリカ南部の旅』 『西部開拓史』(以上、岩波新書)、『物語 アメリカの歴史』(中公新書)、『遙かなアメリカ』(実業之日本社)、『ハワイ王朝最後の女王』(文春新書)、『アメリカよ!』(編、弘文堂)ほか多数。
■目次
序 章 アメリカは若い国か
第1章 アメリカが愛されていた頃
「西洋史」にアメリカはなかった
アメリカとの出会いは戦場で
アメリカは黄金期へ
99日99ドルの旅
学術団体に招かれて
第2章 “天国”のなかの“地獄”
黒人の歴史を研究する
仮面の西部開拓
ハワイ王朝の転覆
モンキー裁判
大恐慌の恐怖
第3章 “天国”のなかの混沌
リンカンの反戦活動
共産主義コンプレックス
キング牧師の天啓
リベラルいまだ健在
癒やしの日々
レーガン登場の予感
第4章 アメリカが嫌われるようになって
マクナマラの反省
「よい戦争」とは
メキシコの復讐
驕りの構造
一世紀前を振り返ると
冷戦は米ソの相討ち
戦争より経済へ
同時多発テロの衝撃で
大義なき戦争へ
多人種・多民族の共生は
帝国衰退のきざし
終 章 アメリカよ、美しく年をとれ
あとがき
参考文献一覧
■岩波新書にはこんな本もあります
西部開拓史 猿谷 要著 黄版192
アメリカ 過去と現在の間 古矢 旬著 新赤版912
ブッシュのアメリカ 三浦俊章著 新赤版844
デモクラシーの帝国―アメリカ・戦争・現代世界 藤原帰一著 新赤版802
アメリカ黒人の歴史 新版
本田創造著 新赤版165
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