http://www.asyura2.com/11/lunchbreak45/msg/421.html
Tweet |
http://d.hatena.ne.jp/semi_colon/20100217/p1
ニュートリノ検出しようと海底調べたらクジラだらけだった
動物, 科学, 海洋生物, 生物多様性
http://www.nature.com/news/2009/091202/full/462560a.htmlとか。日本語版もある。
イタリア国立核物理学研究所(INFN)の素粒子物理学者Riccobeneと、同じくイタリアはパビア大学の海洋生物学者Pavanのお話。
僕はニュートリノについては「ほら、あれでしょ、スーパーカミオカンデ。ノーベル賞の。」としかコメントできる知識がないんだけど、がんばってざっくり説明すると、
ニュートリノは質量がゼロに近くて物質と相互作用することは非常にまれで地球を通り抜けて行ってしまう。でも超々まれに他の物質と衝突することがある。スーパーカミオカンデはでっかいプールで、ニュートリノが水分子の電子と衝突すれば、それによって放出されるチェレンコフ光として検出でき、ああこれはどこそこの超新星爆発で出てきたニュートリノだな、とか言ってみたりなどできる。
ニュートリノ地中海観測所(NEMO)は、その名の通り、地中海をでっかい検出プールと見立ててニュートリノ観測しようと研究している。海でできるんだったら、カミオカンデが超純水使っているのはなんなんだと思うんだけど、まあそこには素人が伺いしれない何かがあるとする。で、「水中では光よりも音のほうが遠くまで伝わるよね」と考え、衝突を光としてではなく、音波で検出してみようと研究を始めた。
当初物理学者Riccobeneは「深海になるほどノイズ(背景音)は少ないんじゃね」と考えていた。でも海洋生物学者Pavanに言わせると「いやあ結構ノイズありますよ」ということだったので、ほいじゃひとまずノイズがどんなもんかデータ採ってみますかと相成った。
そしたらPavanが思っている以上にマッコウクジラの声だらけだった。調査に使った「ハイドロホン」は低周波も拾える水中マイクで、ぐぐったらホエールウォッチングなんかにも普通に使われているので、そりゃクジラの音も拾うがな、と思ったんだけど、これまでの調査ではこの海域にはマッコウクジラは全然いないと言われてたんだって。
ところがそのこれまでの調査ってのはほとんどが海面近くのもので、今回初めて深度2000メートル*1を調べてみたら、調査した期間の半分*2でマッコウクジラのクリック音が聞こえた。思っていたよりかなり多くのクジラが実は地中海深海にいるのではないかと示唆された。海の底はクジラの卵だらけだあ!と叫んだとか叫んでないとか。
クジラ好きな人はクジラのクリック音に「方言」があるのを知ってると思うけど、この調査でも、どうやら地中海ネイティブに混じって外洋からと思われる個体群がいるようで、「我々の重要な疑問の一つ」とPavanも言っている。面白そう。
日本の調査捕鯨で文句を言われているのはミンククジラ、ニタリクジラとマッコウクジラ。今回の地中海/大西洋と南極海/北西太平洋の違いはあれど、クジラ実はいっぱいいるんだよという証拠が日本以外からも出てくるのは良いことかもしれない。
あ、あとこういう調査はたぶん海洋生態学の予算だけじゃできなかったと思う。このNature記事で触れているんだけど、物理学者・生物学者それに地震学者が協力して学際的に情報共有できたら素晴らしいことですね。今回の件で結局ニュートリノ研究に利益があったのかは知らないけれど。
クジラ関連エントリ:エデンの殺し屋 - 蝉コロン
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。