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地球深部探査船「ちきゅう」・明日への道しるべ(「日米を中心とする統合国際深海掘削計画(IODP)」が曲者です)
http://www.asyura2.com/11/lunchbreak45/msg/306.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2011 年 3 月 25 日 12:52:44: 4sIKljvd9SgGs
 

http://plaza.rakuten.co.jp/gnetoffice/diary/200503090001/
1.地球深部探査船「ちきゅう」

 海底下7000メートルまで掘削できる最新鋭の地球深部探査船「ちきゅう」(約5万7500トン)が2005年3月10日、長崎市の三菱重工業長崎造船所香焼工場で報道陣に公開されました。

 すでに9割以上完成し、夏までに三菱重工から発注元の独立行政法人・海洋研究開発機構(神奈川県)に引き渡され予定になっています。

 総工費は約582億円で、全長210メートル、船上に高さ約110メートルの掘削やぐらを持っています。ボーリングに携わった人には分かるでしょうが、強大なやぐらです。

 陸上においてもそうおいそれとみることが出来ないほど巨大なやぐらを備えた船だといえるのです。

 超深堀(ふかぼり)のため、造船技術の粋を傾けた世界に誇れる最新鋭の船なのです。

               

 2.「ちきゅう」の目的

 日米を中心とする15カ国で作る統合国際深海掘削計画(IODP)の一環で、マントル物質を採取して地球の内部構造を明らかにすることを目的にしています。

 海底を掘り下げ、地球の成り立ちや巨大地震発生のメカニズムなどを解明し、マントルの物質成分などを調べることで地震予測にもつなげるほか、生命の起源に関わるとされる地下生物圏や、過去の気候変動の痕跡を研究しようとするものです。

 訓練を経て2007年からプロジェクトに投入されることになっています。

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 3.「ちきゅう」の能力

 水深2500メートルの深海域で厚さ約6000メートルの海洋地殻の下にあるマントルまで掘ることができます。

 これまでの科学掘削記録は、海底下2111メートルまでですので、その記録を更新することは確実です。

 掘削の際に用いるロットやコアチューブという長尺なパイプ類を主に吊り下げるためのやぐらは先にも示しましたように116メートルの高さがあります。高さがあることが長尺のパイプ類を早く上げたり下ろしたりするのに大切なのです。でないと、時間ばかりが費やされてしまいます。

 もう1つの深堀能力アップの決め手は、「ライザー掘削」という泥水を循環させて掘る技術にあります。泥水は、掘削した時に出る岩屑を地上へ運び上げると同時に、孔が壊れるのを防止する役目を果たすのですが、海面まで上がってきたところで泥水を逃していたのでは高価な泥水がもったいないということでパイプを二重管方式にして船上まで上げて循環して使うのです。このライザー掘削に関しては資料3)をご覧ください。

 船内には、採取した地層を解析するX線CTスキャナーなどを備えた研究区画もあります。

 X線CTスキャナーは、海底地盤から採取したコアと呼ばれる岩石塊を破壊せずに内部の構造を探る装置です。人体を調べるCTスキャナーと同じです。

 4.具体的な計画

 2007年9月から紀伊半島沖の熊野灘で掘削を開始することになっています。

 ここは南海トラフ沿いの東南海地震の震源域、文字通りの「地震の巣」に当ります。30年以内にマグニチュード8級の巨大地震が60%の確立で起こると予想されています。

 ここで、深さ1〜6キロメートルの孔を8ヶ所掘ることになっています。

 巨大地震が発生する場合に地下の岩盤に含まれる水が作用すると考えられていて、「地震を招く水」の正体を突き止めようというのが目的です。

 プレート境界の岩石のうち、水分を多く含んだ場所は周囲の岩石より壊れやすく、そのもろさが地震発生の引き金になるという仮説を検証しようとするものです。

 そのために震源域から岩石を掘り出し、次のことを実施することになっています。

1)「水の含有量」を調べる

2)「岩石中にどんな状態で水が存在するか」を調べる

3)「水に含まれる元素の同位体比」を調べる

4)掘削後の孔に「地震計やひずみ計を設置」して、リアルタイムで地殻変動を観測する

 5.得られる成果

1)地震発生へ向けて、海底下で起きている変化が把握できる

2)世界各地のプレート境界で起こる巨大地震に共通するメカニズムが解明できる

3)プレート境界の様子を直接探ることで、新しい地震学の基礎を構築できる

 地震防災プログラムCD-R「巨大地震に備えて〜情報編〜」

 6.最後に

 掘ることの難しさに、海洋という特殊な環境、そして、相手は「地震の巣−紀伊半島沖の熊野灘−」それもプレート境界を貫通させるのです。

 地質技術者や掘削技術者にとっては、何とも言えない興奮がこみ上げる技術イベントなのです。叶うことなら、現場に行って、一緒になってそのプレート境界部の岩石を引き上げ、観察してみたいものです。

 全ての訓練が終了し、2007年9月からの掘削が待ち遠しく思います。多くの成果を期待し、プロジェクトの成功を祈念いたします。

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 <参考資料>

1)朝日新聞 H17.03.09 地球深部探査船「ちきゅう」、間もなく完成 巨大地震の巣、掘削へ <リンクなし>

2)(Yahooニュース H17.02.26)海洋開発推進委員会を開催 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2005/0224/04.html

3)西村屋個人サイト 地球と海とバリアフリーを考える web site 深海に挑む技術 地球深部探査船「ちきゅう」(ライザー型科学掘削船)とは? http://homepage3.nifty.com/nishimura_ya/RISER.HTM


 

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