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1月23日の日銀ホームページに
≪ 【挨拶】宮尾審議委員「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(大分) ≫
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110323a1.pdf
という記事が出ています。
記事中の図表は下のアドレスです。最新の数値が記載されていてかなり有用な図表群です。
図表 : http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/data/ko110323a2.pdf
日銀の実体経済への認識は東北地震の影響が生産、消費者心理、復興事業が不確実という点を考慮して、かなり厳しい見方をしています。
私もそれについては同感です。
そこで日銀の政策対応ですが、
≪ 現在、最も適切な政策対応と考えられることから、リスク性資産を中心に資産買入れ等基金を5 兆円程度増額し、40 兆円程度とすることとしました。具体的には、5 兆円
の増額分のうち、CP・社債等とETF、J−REITのリスク性資産を3.5 兆円程度、長期・短期国債を1.5 兆円程度買い入れることとしました。≫
日銀に出来る策としては、金額については実務家でない私には解りませんが、適切だと思います。
≪ 3.わが国の経済物価情勢と金融政策 (1)概況 わが国経済は、足元の踊り場から脱却し、やや長い目で見れば緩やかな回復を続けていくと判断してきました(図表2)。≫
こちらは実社会を知らなさ過ぎる論です。
現実は “ 緩やかに ” かなりの長期に亘って、真綿で首を絞められるように景気が潰されてきました。
しかし、≪ 一方で、今般の地震が日本経済へ及ぼす影響は、少なくとも短期的には、決して小さくないと予想されます。≫ の認識は当然だと思います。
ここで論は海外へ目を転じて、中国・アジアについては高成長が予想されつつもインフレ懸念があって、金利引き上げ気味に推移しているように述べています。
しかし私が思うに、それでも高度成長が続くと予想します。
但し、自然、国際環境などの他の条件が一定ならばという条件付ですが。
米国はリーマンショック後は、現在、若干の懸念がありつつも安定成長を続けていると述べています。
ここで日本の場合に話が戻って、
≪ 米国のように、企業部門の好調さが家計部門に波及していく経路がやや弱いように窺われます。
その背景には、仮に輸出主導の景気回復を実現しても、国際商品市況の上昇等により輸入コストが上昇していれば、交易条件の悪化によって実質所得は流出する、その結果、GDP は増えても国内総所得はそれほど増え
ない、というメカニズムが考えられます。たとえば2000 年代の景気回復期(リーマン危機前、2002 年〜2007 年)において、実質GDP の成長率は平均1.8%でしたが、交易利
得を除いた国内総所得(実質GDI)の成長率は平均1.2%にとどまりました。
その間、純輸出の拡大がもたらした実質GDP の増加(6 年間の累計額)は23兆円ですが、同時期の交易利得の増加は▲18.7 兆円、したがって、18.7 兆円の交易損失が発生した結果、国内総
所得は4.3 兆円しか増えていないことになります(図表20)。≫ と述べています。
国内総生産が増えて、国民所得は増えないという主張です。これは長年日本国民が実感してきた事。各種の数字もそれを示しています。
そして、
≪ 企業は、より厳しさを増すグローバルな競争環境や円高を背景に、生産の海外シフトを加速するなど、構造転換・成長力強化の取り組みをさらに進めており、その成果である企業収益を、国内での設備投資や雇用・賃金の形で振りむけることに慎重なスタンスを維持しているように見受けられます。足元までの国際商品市況の上昇基調が国内所得を抑制する下で、このようなメカニズムが引き続き働いている可能性が考えられます。≫ は予想としては正しいと思います。
但し、ここからが問題なのですが、生産が増えて所得が増えないと言うのならば、そこから先の政策は日銀の範囲ではなく日本政府の仕事です。
解りやすく言えば、政府が財政支出を大幅に増やすしかありません。財源は一般的には国債ですが、もっと大胆に言えば政府貨幣です。
政府貨幣なら諸問題は一気に解決します。皆さん、前例を踏襲するばかりで、度胸がなさ過ぎるのです。
国債を発行して国の借金が増えてもよく円に税収が増えますからプライマリーバランスは改善する事が各種モデルで確認されています。
日銀がいままで実施してきた政策は、
≪ (4)金融政策
昨年10 月、日本銀行は金融緩和をさらに強力に推進するため、「包括緩和」の実施に踏み切りました。包括緩和のポイントを整理すると、@実質的なゼロ金利政策を採用していることを明確化した、A物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続するとともに、その際の判断基準が「中長期的な物価安定の理解」であることを確認した、B短期金利の低下余地が限界的であるもとで、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくために、国債、社債・CP、ETF、J-REIT など、多様な金融資産の買入れなど
を行うための基金を創設した、の3 点です。≫
≪ 。実際、包括緩和の導入以後、震災前までをみれば、株価やREIT価格が上昇するなど、各種リスクプレミアムはおおむね縮小しています。また日本銀行がそこまで思い切った政策に踏み込んでリスクテイクを促すことで、企業のアニマル・スピリットを後押して、日本の成長力強化や生産性向上につながるという効果も期待されます。≫
と自画自賛。でもそれは認めてやって良いと思います。
そしてこの政策は臨時、異例の措置であるとも述べています。それも当然です。
本来日本政府がやるべき財政政策を躊躇しているから日銀が金融緩和で対処してきた観があります。
何時から日銀は優等生になったのでしょうね。
しかし日銀ができる事はここまで。ここから先は出来たとしてもやってはいけない政策となります。
何故なら、日本銀行は民間企業であり、自ずと政策に制約がなければなりません。
現在は日本銀行が受け持つのは金融政策に限られるものですし、財政政策にまで及べば、単に『円の支配者』ではなく『経済の支配者』になるからです。
いままで日銀は政府の行なう財政政策を潰しつづけるという明確な日銀法4条違反を犯し続けてきました。財務省にはそのトラウマがあるように見えます。
しかし、最近の日銀を見ていると、何かの見えないくびきから必死に脱却しようとしているように見えます。
今度は財務省の番です。
財務省の覚醒を期待したいものです。
栗原茂男
【純日本人会】 http://www.junnihon.com/
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