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日本沈没
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『日本沈没』(にほんちんぼつ、にっぽんちんぼつ)は、1973年に刊行された小松左京による日本のSF小説、及びこれを原作とした映画、テレビドラマ、ラジオドラマ、漫画。映画は、1973年と2006年に、ラジオドラマは1973年と1980年にそれぞれ2度製作された。本項では、続編『日本沈没 第二部』についても記述する。
目次
1 小説
1.1 物語
1.2 設定
2 1973年の映画
2.1 スタッフ
2.1.1 本編
2.1.2 特殊技術
2.1.3 特殊視覚効果
2.2 特別スタッフ
2.3 キャスト
3 2006年の映画
3.1 原作や前作との相違点
3.1.1 物語の設定
3.1.2 各地の被害
3.1.3 登場人物の設定
3.1.4 結末
3.2 スタッフ
3.3 特別スタッフ
3.4 キャスト
3.5 主題歌
3.6 「日本沈没」製作委員会
3.7 その他
3.8 テレビ放送
3.9 注記
4 テレビドラマ
4.1 スタッフ
4.2 特別スタッフ
4.3 キャスト
4.4 サブタイトル
5 1973年のラジオドラマ
5.1 スタッフ
5.2 キャスト
6 1980年のラジオドラマ
6.1 キャスト
7 漫画
8 玩具
9 実現しなかった映画化案
9.1 『続日本沈没』の企画
9.2 『日本沈没1999』の企画
9.3 注記
10 小説『日本沈没 第二部』
10.1 執筆までの経緯
10.2 「第二部」以降の展開
11 現実に日本列島が沈没する可能性
12 パロディ
13 関連項目
14 参考資料
15 脚注
16 外部リンク
[編集] 小説
1964年から執筆が開始され、9年がかりで完成。当初は複数巻となる予定だった長編を出版社の要請で短縮し、上下巻とした。
1973年に光文社カッパ・ノベルスより書き下ろしで上下2巻が同時刊行された。当初は3万部ずつだったが、版数を重ねるごとに出版数が増え、上巻204万部、下巻181万部の計385万部まで伸ばし「空前の大ベストセラー」とも評された。小松は1億2000万円の収入を得て、文壇長者番付の5位にランクイン。1974年、第27回日本推理作家協会賞を受賞。第5回星雲賞日本長編部門を受賞。
ベストセラーになったことにより、小松の知名度を上げるとともに、日本におけるSFの浸透に一役買うことになった。ベストセラーになった背景には、高度経済成長が一段落し、1970年の日本万国博覧会に代表される薔薇色の未来ブームへのアンチテーゼとして登場したことの衝撃に加えて、1973年の狂乱物価とも言われたインフレ、石油ショックなどの社会不安があった[1]。そうした風潮の中でノストラダムスブーム、終末ブーム、超能力ブームの端緒として語られることも多い。
1976年には、Michael Gallagher(en)により3分の1ほどの抄訳ながら、アメリカで『JAPAN SINKS』のタイトルで出版された。
元々は日本人が母国を失い放浪の民族になったらどうなるかをテーマに据えており、日本沈没はその舞台設定で、地球物理学への関心はその後から涌いたものだという。しかし、そのために駆使されたのが当時やっと広く認知され始めていたプレート・テクトニクスであり、この作品はその分野を広く紹介する役割をも果たした。この分野に関する作品中の解説やアイデアは修士論文に相当するとの声もあったほどである。
難民となって世界に散っていった日本人を描く第2部の構想(仮題は『日本漂流』)もあり、下巻の最後に「第1部・完」と記されていたが、下巻発刊後、長い間執筆されることはなかった。
--------------------------------------------------------------------------------
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
--------------------------------------------------------------------------------
[編集] 物語
地球物理学者である田所雄介博士は、地震の観測データから日本列島に異変が起きているのを直感し、調査に乗り出す。潜水艇操艇者の小野寺俊夫、助手の幸長信彦助教授と共に小笠原沖の日本海溝に潜った田所は、海底を走る奇妙な亀裂と乱泥流を発見する。異変を確信した田所はデータを集め続け、一つの結論に達する。それは「日本列島は最悪の場合、2年以内に地殻変動で陸地のほとんどが海面下に沈降する」というものだった。
最初は半信半疑だった政府も、紆余曲折の末、日本国民と資産を海外へ脱出させる「D計画」を立案・発動する。しかし、事態の推移は当初の田所の予想すら超えた速度で進行していた。各地で巨大地震が相次ぎ、ほとんど動きがなかった休火山までが活動を始める。精鋭スタッフたちが死に物狂いでD計画を遂行し、国民を続々と海外避難させる。一方、あえて国内に留まり日本列島と運命を共にする道を選択する者たちもいた。
四国を皮切りに次々と列島は海中に没し、最後に北関東が水没して日本列島は完全に消滅する。
[編集] 設定
基本的には執筆当時の時代状況に沿っているが、あくまで近未来の出来事と言う設定のために、執筆当時にはまだ完成していなかった施設のうちのいくつかが既に稼動しているものとして話が進められている(新東京国際空港(現在の成田国際空港)・青函トンネル・関西国際空港など)。さらには、浮上式リニアによる第二東海道新幹線のように、現在に至るまで構想段階(あるいは中断された)のものが着工に至っているといった例もあった。
また、日本が沈没したのは日本の人口が減少に転じた翌年という設定もあり、奇しくも現実ではリメイク映画版公開の2006年がそれに該当した(ただし、小説版では前年に東京大地震が起きているため、自然減によるものか災害の影響によるものかは不明)。
[編集] 1973年の映画
日本沈没
監督 森谷司郎(本編)
中野昭慶(特撮)
製作総指揮 藤本真澄
田中友幸
製作 田中収
脚本 橋本忍
出演者 藤岡弘
いしだあゆみ
小林桂樹
滝田裕介
二谷英明
中丸忠雄
村井国夫
夏八木勲
高橋昌也
神山繁
中村伸郎
島田正吾
丹波哲郎
音楽 佐藤勝
撮影監督 村井博
撮影 木村大作(本編)
富岡義教(特撮)
編集 池田美千子
配給 東宝
公開 1973年12月29日
1974年11月9日
1975年5月
1975年10月6日
1976年4月30日
上映時間 140分
製作国 日本
言語 日本語
allcinema
キネマ旬報
allmovie
IMDb
表・話・編・歴
東宝の製作と配給で、1973年12月29日より正月映画として公開。東宝の田中友幸プロデューサーによって、小説の刊行前から映画化の企画は進められており、「映画化のあと、TBSでTVドラマ化する」という契約が交わされていた。このため、撮影現場にはTVドラマ版のスタッフも2台のキャメラを持ち込んで撮影参加している。
監督には黒澤明作品でチーフ助監督を務めた経験がある森谷司郎を抜擢。脚本には同じく黒澤作品に参加していた橋本忍があたった。製作期間は約4ヶ月という短さだったが、約880万人の観客を動員し、配給収入は約16億4000万円(1974年邦画部門興行収入1位)を挙げる大ヒットを記録。中野昭慶が監督した特殊撮影もアジア映画祭の特殊効果賞を受賞する評価を受けた。本作の成功で、森谷司郎は以後、『八甲田山』など大作映画を任せられる監督の地位を確立し、東宝もまた本作に続く形で、『ノストラダムスの大予言』『東京湾炎上』と、1975年までパニック大作を一つの路線として敷くこととなった。
アメリカでは、ロジャー・コーマンにより公開された。ハリウッド俳優を使った追加撮影が行われオリジナルよりかなり短くされた。
[編集] スタッフ
[編集] 本編
製作総指揮:藤本真澄(東宝映画)、田中友幸(東宝映像株式会社)
原作:小松左京
脚本:橋本忍
音楽:佐藤勝
撮影監督:村井博
撮影:木村大作
美術:村木与四郎
録音:伴利也
照明:佐藤幸次郎
編集:池田美千子
チーフ助監督:橋本幸治
製作担当者:森知貴秀
監督助手:大河原孝夫
スチール:石月美徳
音響効果:三縄一郎
協力:日本海洋産業株式会社
録音スタジオ:東宝録音センター
音響効果制作:東宝効果集団
現像:東洋現像所
プロデューサー:田中収
監督:森谷司郎
※1996年にバップよりサントラCDが発売されている(J-CINEサントラコレクションシリーズの一作)。
[編集] 特殊技術
特技監督:中野昭慶
撮影:富岡素敬
美術:井上泰幸
照明:森本正邦
石膏チーフ:安丸信行
操演:松本光司
特殊効果:渡辺忠昭
チーフ助監督:田淵吉男
製作担当者:篠田啓助
監督助手:川北紘一、浅田英一
スチール:田中一清
[編集] 特殊視覚効果
合成:三瓶一信
光学撮影:宮西武史
[編集] 特別スタッフ
地球物理学(東大教授):竹内均
耐震工学(東大教授):大崎順彦
海洋学(東大教授):奈須紀幸
火山学(気象研究所地震研究部長):諏訪彰
作家:小松左京
[編集] キャスト
以下の順番は本編クレジットに準拠。
田所雄介博士:小林桂樹
山本総理:丹波哲郎
小野寺俊夫:藤岡弘
阿部玲子:いしだあゆみ
邦枝:中丸忠雄
結城達也:夏八木勲
花江:角ゆり子
野崎特使:中村伸郎
吉村秀夫:神山繁
幸長信彦助教授:滝田裕介
三村秘書官:加藤和夫
片岡:村井国夫
総理府総務長官:垂水悟郎
小野寺の兄:新田昌玄
防衛庁長官:森幹太
山城教授:高橋昌也
ヘリ操縦士:地井武男
科学技術庁長官:鈴木瑞穂
内閣官房長官:細川俊夫
山本総理夫人:斉藤美和
D-1学者:中条静夫
老人の息子:森下哲夫
海洋学者:梶哲也
D-1公安係:名古屋章
通産大臣:松下達夫
建設大臣:河村弘二
大泉教授:近藤準
海洋調査船船長:宮島誠
下町の老人:大久保正信
調査団員:内田稔
統合幕僚本部議長:早川雄三
和田文夫
総理府係官:石井宏明
調査団員:稲垣昭三
国連委員:中村哲
外務大臣:伊東光一
斉藤英雄
気象庁技官:吉水慶
非常災害対策本部の官僚:中田勉
調査団員:大木史朗
運輸大臣:山本武
総理府係官:今井和雄
ヘリ操縦士:鈴木治夫
政府関係者:田中志幸
永島岳
非常災害対策本部の官僚:津田光男
磐木吉二郎
中島光之助
巽丸航海士:大杉雄二
防災センター所長:熊谷卓三
D-1本部の職員:小松英三郎
D-1本部の職員:門脇三郎
政府関係者:草間璋夫
大西康雅
やっちゃん:服部妙子
林由香
老人の息子の嫁:川口節子
総理邸のお手伝いさん:小林伊津子
高橋久美江
D-1本部の職員:鳥居功靖
小野辺敦
オーストラリア首相:アンドリュー・ヒューズ
中国特使:バン・ヘンリー
ユージン・コックス:チャールズ・シームス
中田一成:二谷英明
渡老人:島田正吾
以下ノンクレジット
竹内教授:竹内均(事実上本人役)
山本総理の運転手:中島春雄
火の中を逃げる住民:加藤茂雄
火の中を逃げる住民:記平佳枝
オーストラリア高官:ロジャー・ウッド
国連委員:フランツ・グルーベル
国連委員:ジャック・オンガン
記者:オスマン・ユセフ
列車の難民:夏木順平
ナレーション・警視庁緊急通信の声:市川治
番組の司会者・ラジオ災害放送の声:大類正照
自衛隊、警察無線の声:神谷明
横須賀基地、PS1の声:辻村真人
ラジオアナウンサー:作間功
※原作者の小松自身も、冒頭で小野寺と吉村が打ち合わせをするシーンでカメオ出演している。[2]
※竹内均は東大退官後に自ら創刊した科学雑誌『Newton』掲載の自伝において、「迫真の演技である、として皆にからかわれた」と書いている。またDVD版の特典映像には、小松と竹内の対談の模様が収録されている。
表・話・編・歴森谷司郎監督作品
1960年代 ゼロ・ファイター 大空戦 - 続・何処へ - 育ちざかり - 首 - 兄貴の恋人 - 二人の恋人 - 弾痕
1970年代 赤頭巾ちゃん気をつけて - 初めての旅 - 「されどわれらが日々」より 別れの詩 - 潮騒 - 蒼ざめた日曜日 - 初めての愛 - 放課後 - 日本沈没 - 八甲田山 - 聖職の碑
1980年代 動乱 - 漂流 - 海峡 - 小説吉田学校
[編集] 2006年の映画
日本沈没
監督 樋口真嗣
製作総指揮 相賀徹夫
製作 相賀昌宏
脚本 成島出
加藤正人
出演者 草g剛
柴咲コウ
及川光博
豊川悦司
佐藤江梨子
福田麻由子
加藤武
吉田日出子
石坂浩二
大地真央
音楽 岩代太郎
主題歌 「Keep Holding U」
SunMin thanX Kubota
撮影監督 河津太郎
編集 奥田浩史
配給 東宝
公開 2006年7月15日
2006年8月15日
2006年8月31日
2006年10月26日
2006年11月16日
2007年8月1日
上映時間 135分
製作国 日本
言語 日本語
製作費 20億円
興行収入 53.4億円
allcinema
キネマ旬報
IMDb
表・話・編・歴
TBSなどが製作費20億円を投じて、東宝の配給で2006年7月15日公開された。監督は、1973年版の映画を「自分が映画制作を志すきっかけとなった作品」と語る樋口真嗣が務めた。2006年公開映画では国内興行順位第4位となる53億4000万円のヒットとなった。
本作のポスターはイラストレーターの生頼範義の描いた北海道、東京、京都、九州の「ご当地沈没」ポスターが4種類作成された。それとは別に中京地区の東宝宣伝部が独自に「名古屋沈没」のポスターを作成したため、急遽予定になかった名古屋崩壊シーンが追加されたいきさつがある。
[編集] 原作や前作との相違点
本作は、原作や前作と比較し、登場人物の設定や役回り他が大きく異なっている。
監督の樋口は前作の映画のリメイクというよりも原作小説の再映画化というスタンスで挑み、前作に欠けていた庶民の視点や被災者を元気付ける要素を意識して取り入れたとしている。
[編集] 物語の設定
前作では、田所博士や山本首相の行動を中心にストーリーが展開され、小野寺と阿部の交際は中心的な位置づけではなかったが、本作では、ストーリー展開の主軸となっている。
原作では、田所博士の唱える「日本沈没」が検証し切れていない仮説の段階から始まっていて、立証データ収集の調査や対応策の検討を秘密裏に進める必要から、政界のフィクサーである渡老人の支援のもとで幸長助教授・邦枝・片岡・中田といった見識ある実力者が集められ、体制を整えていく。また「日本沈没」の情報の真偽に苦悩する政府の姿も描かれる。
一方、本作では、まず学界の最高権威(アメリカ測地学会)より「40年以内に日本は沈没する」と説明される(後に田所博士の調査で沈没は1年以内と判明)ことにより、政府が「日本沈没」を既成事実と受け入れてしまい、渡老人らの登場や政府の苦悩を描く必然性がなくなっている。[3]
原作や前作では、物語終盤にて日本政府や世界各国が日本人救出に全力を尽くすが、本作では逆で一様に冷淡(政府首脳が“難民受入交渉”と称し我先に海外逃亡し、アメリカが突如、円・日本国債の投売を行ったり、世界各国があまりにも多く押し寄せていた日本人の受け入れに難色を示すなど)である。逆に協力してくれた国もある(日本海溝にあるプレート切断作戦のために掘削機を提供したりするなど。しかしこれも、単に日本人の押し寄せを防ぎたかっただけとも考えられる)。
原作では東京大震災で250万人、73年版では360万人の死者・行方不明者が出る(後の一色・漫画版では500万人)。それに対し、リメイクされた意図の中に2006年〜2036年に70%の確率で起こるとされる南関東直下地震への警告も含まれている[要出典]にかかわらず、リメイク版では終盤の全ての住民の退避後に襲来しており、東京は地震と津波によってそのまま水没する[4]。
[編集] 各地の被害
北海道南岸で地震が発生し十勝岳、富良野岳で大規模な噴火が発生、死者が出る。
阿蘇山で観測史上最大規模の噴火が発生。阿蘇カルデラは事実上崩壊する。また訪問のため中国に向かっていた政府チャーター機が火山弾を被弾、墜落する。熊本市では 火山弾が飛来。熊本城が崩壊する。その後熊本市は都市機能を失う。
長崎県では妙見岳、国見岳が噴火する。
鹿児島県の桜島が噴火する。
災害派遣命令が発令され航空自衛隊のRF-4Eが偵察飛行のため百里基地を出発する。
紀の川と吉野川を震源とする地震が発生する。この地震により、高知県との通信が途絶える。
青森湾西岸、津軽山地、能代断層で断続的に地震が発生する
九州地方全面で通信が途絶える。
東北地方では断続的に地震が発生し、断層が最大10mずれる。
各地の商業施設では物資を買い求める人々が集まり、大混乱となる。
常磐自動車道などの主要な道路では大渋滞が発生する。
各地の空港では国外に退避する人であふれる。なお、地震の影響により国内線の運行はすべて見合わせている。
全国に非常事態宣言が発令される。
株価が大暴落する。また、アメリカ合衆国が、円・日本国債の投売を始めた。
各地の銀行では、預金を降ろす人が殺到し各銀行は対応に追われる。
野崎首相臨時代理は5年のうちに完全に日本が沈没することを発表する。
中央構造線が裂け、四国と香川県、愛媛県が分断される。
北海道南部ではプレートの断裂が始まり分断されていく。
各地で住民の退避が始まる。
難民の受け入れ交渉に各国は難色を示し始める。
京都府では文化財の輸送が始まる(また、文化財をアメリカへの賄賂代わりにする描写があった)。
これまでに災害で死亡、行方不明者は3635万人、国外に退避したものは3340万人となった。
島根県の三瓶山が2000年ぶりに活動を開始した。
石川県南部、香川県西部、京都府北部で震度7の地震が発生し、石川県に津波警報、津波注意報が発令される。
地震の影響で南海本線全線が不通となる。
津波警報が発令されているにもかかわらず、横浜港、神戸港などでは、船舶を使った脱出が行われた。
函館市に津波が来襲しそのまま水没することになる。
水門が開放され品川区などが水没することになる。
日本人難民の受け入れの始まった、アメリカ、中国、EU各国では、大規模なデモが発生する。
海外に移転した日本企業の株価が大暴落する。
小松飛行場と広島空港で火山灰の降灰量が離着陸の許容範囲を超え使用が不可能となる。
海上自衛隊のLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇での輸送が始まる。
静岡県の天竜川河口、長野県の諏訪湖、新潟県の糸魚川の複数震源で地震が発生。危機管理センターも被害を受け予備施設に移転した。また皇室はスイスに退避した。
[編集] 登場人物の設定
前述の通り、ストーリー設定が変更された為、登場人物も、原作より設定変更などがなされている。
小野寺は原作では神戸出身だが、会津地方の造り酒屋の息子に変更されている。
阿部は原作では下田出身だが、本作では神戸出身で阪神・淡路大震災によって両親を亡くし、東京の叔母に引取られた事になっている。
田所博士は原作よりも若く設定され、必ずしも学界のアウトサイダーではなく、しかも鷹森大臣と元夫婦の設定。
中田は登場するが、原作の情報学者でなく防衛連絡調整官となっている。
福原教授は、原作では前述の救済策を練る比較文明論の教授である。
野崎官房長官は、原作では難民受入交渉の先頭に立つ外交官(名前は異なり八郎太)である。
下記のように原作等にも登場しなかった人物が何人かいる。
田所の元妻、鷹森沙織危機管理担当大臣。
駿河湾沖の震災を生き残った、倉木美咲(福田麻由子)。
阪神大震災で両親を失った玲子を女手一つで育てた「ひょっとこ」の女将、田野倉珠江(吉田日出子)とその常連客たち。
世相の変化に応じて、登場する女性の役割が重要になっている(原作等では“お嬢様”だった阿部が東京消防庁ハイパーレスキューの隊員、政府内で災害対策の陣頭指揮を執るのが、鷹森大臣)。なお現在ハイパーレスキューには女性隊員はいない。
[編集] 結末
N2爆薬[5]という架空の兵器が、ラストシーンで重要なキーとなる。
当初の設定では核兵器が使用されることになっていたが、製作に加わっているTBSが「核兵器の利用」という設定に難色を示したため架空の兵器に変更された。
原作などと異なり、山本首相・結城・小野寺は物語中で命を落とす。逆に、原作・映画(1973年版)では日本列島と運命を共にした田所博士は、生命の危険に遭うことも無く生き残る。
原作などでは「ほぼ完全」に日本は沈没してしまった[6]が、本作では小野寺の自己犠牲によって、部分的には水没するものの、最終的に日本沈没とはならない。バラバラになってしまった日本列島や壊滅状態になった東京、京都・大阪・横浜・神戸・仙台・福岡・札幌・名古屋などの大都市をどのようにして、復興していくかは定かではない。
[編集] スタッフ
製作総指揮:相賀徹夫
製作:相賀昌宏
原作:小松左京
脚本:成島出、加藤正人
音楽:岩代太郎
メカデザイン:庵野秀明
協力:東京消防庁・独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)・東京大学地震研究所・防衛庁・陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊・本庄市
エグゼクティブプロデューサー:濱名一哉
特技統括/監督補:尾上克郎
特撮監督:神谷誠
監督:樋口真嗣
配給:東宝
[編集] 特別スタッフ
地球物理学・火山学(名大教授):山岡耕春
[編集] キャスト
小野寺俊夫: 草g剛
阿部玲子(ハイパーレスキュー):柴咲コウ
田所雄介博士:豊川悦司
結城達也:及川光博
倉木美咲(避難民の少女):福田麻由子
結城志穂(結城の妻):佐藤江梨子
結城海斗(結城の息子):鏑木海智
山本尚之(内閣総理大臣):石坂浩二
野崎亨介(内閣官房長官):國村隼
鷹森沙織(文部科学兼危機管理担当大臣):大地真央
法務大臣:北村和夫
外務大臣:矢島健一
財務大臣:大口広司
梅津誠吾(防衛庁長官):石田太郎
統合幕僚長:並樹史朗
中田真一郎(防衛連絡調整官):遠藤憲一
篠原学(内閣参事官):松尾貴史
山城教授:加藤武
山城教授の娘:安野モヨコ
山城教授の女婿:庵野秀明
福原教授:柄本明
斎藤博士:池田成志
幸長信彦(福原の助手):村杉蝉之介
小野寺道子(小野寺の母):長山藍子
小野寺香織(小野寺の姉):和久井映見
田野倉珠江(玲子の叔母):吉田日出子
玲子の祖父(鳶の棟梁):丹波哲郎(写真のみ。写真は映画用に新たに撮り下ろした)
倉木佳美(美咲の母):木村多江
寺島浩(床屋):六平直政
安川翔太(区役所の男):手塚とおる
日沼達夫:大倉孝二
日沼静子(達夫の祖母):花原照子
坂本康平(玲子の上司/レスキュー隊長):津田寛治
自衛隊の隊長:ピエール瀧
吉住医師(佳美の担当医):山田辰夫
浅見看護師:前田愛
コックス博士:リヤカット・アリ
京都の高僧:富野由悠季
小野寺の実家の従業員(杜氏):福井晴敏
田所博士の部下:土佐信道(明和電機代表取締役社長)
[編集] 主題歌
「Keep Holding U」SunMin thanX Kubota
[編集] 「日本沈没」製作委員会
小学館
TBS
毎日放送
電通
毎日新聞社
J-dream
スターダストピクチャーズ
東宝
セディックインターナショナル
[編集] その他
大阪・道頓堀が沈没している場面で、画面前方にカーネル・サンダースの人形が沈んでいる(詳しくはカーネル・サンダースの呪いを参照)。
[編集] テレビ放送
2008年4月13日(日)に、特別ロードショーとして、TBS系列にてテレビ放映がなされている。
[編集] 注記
^ 悲観的な未来予測をおこなったローマクラブの「成長の限界」が前年の1972年に発表されている。なお、小松は日本万国博覧会においてテーマ館サブプロデューサーを務めていた。
^ セリフは『部長、これできています』と(小野寺に挨拶をする)『ヨッ!』である(DVD版で本編開始から約20分30秒の箇所)。
^ 旧作と原作では渡老人が有識者を招集し、富士山麓にこもらせ日本救済策を練ったシーンが存在したが新作ではまったく描写されていない。複数の有識者による検討で「なにもしない方がいい」という極論も提示されたことは山本首相のセリフによって示されるのみである。
^ 原作などでは震災から約半年後の地盤沈降下で襲った梅雨の集中豪雨による。
^ 同名の兵器が樋口監督がスタッフとして加わったアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場している。
^ ただし、『日本沈没第二部』によれば、北陸地方の白山の一部と見られる部分(白山堆)が岩礁化して海面上から露出しているため、日本政府はこれを根拠に旧日本列島海域における日本国家の主権の存続を主張しており、原作においても日本列島全てが完全に水没したわけではない。
[編集] テレビドラマ
小松左京と東宝との「映画化の後TBSでTVドラマ化する」との契約に従い、映画版と同時進行で撮影された。このTV版スタッフの撮ったカットには、映画版に使用されたものもあるという。
1974年10月6日から1975年3月30日まで、TBS系列・日曜20:00で全26回に亘って放送された(1975年12月31日には、総集編が放送されている)。
映画(1973年版)からの流用カットのみに頼ることなく、随所において意欲的な画面を作りあげた特撮だけではなく、ドラマ部分にも多額の予算が費やされ「キャスティング費用だけで1億円」といわれた(DVD収録の解説(静止画面)より)。下記の主要キャスト以外にも浜美枝、土屋嘉男、藤木悠ら東宝特撮作品でおなじみの面々をはじめ、豪華な顔ぶれがゲスト出演し、各回の物語を彩った(主題歌を歌った五木ひろしも、第14話にゲスト出演している)。
なお、小説では中盤に大地震の発生によって大ダメージを受ける東京が最後の方まで無傷だったり、幸長助教授が話の途中で出てこなくなり(演じる細川俊之が途中で降板したため)、代わりに野末技官が田所博士に協力したり、田所博士に娘がいるといったドラマ独自の設定・展開がある。また、田所博士は原作と異なり生き残る。ラストシーンも小説や映画と大幅に違っており、小野寺と玲子が生死不明という形で幕を閉じるが、後に放送された総集編のナレーション等で2人は助かり、オーストラリアへ脱出したことが明かされた。
本放送当時、関西でのネット局は朝日放送(ABC)だったが、後のTBS系列からテレビ朝日系列へのネットチェンジの準備も重なっていた。奇しくも最終回が放送された3月30日は、ABCにおけるTBS系列として最後の放送日でもあった。 後に関西での再放送は、1987年秋から火曜深夜枠にて現在の系列局である毎日放送(MBS)にて流れた。
1995年に福岡で深夜番組(早朝番組)として再放送されていたが、同年1月17日に第2話の放送が終わった直後、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が起こったため、3話目からの放送は打ち切られた。
1996年から翌1997年にかけ、全13巻を2つに分けて収めたLD-BOXが発売。
2001年、全9巻でDVDが発売。2006年には非限定のDVD-BOXとしても発売されている(アミューズソフトエンタテインメント)。
[編集] スタッフ
企画:田中友幸
プロデューサー:斉藤進、小倉斉、橋本洋二、安田孝夫
監督:長野卓、金谷稔、福田純、西村潔、山際永三、真船禎
脚本:山根優一郎、長坂秀佳、石堂淑朗
特技監督:高野宏一、田渕吉男、川北紘一
音楽:広瀬健次郎
主題歌:『明日の愛』、挿入歌:『小鳥』
作詞:山口洋子、作曲:筒美京平、編曲:ボブ佐久間、歌:五木ひろし
※第15話以降の『明日の愛』は、伴奏のミックス、ボーカル、音質がそれまで使用されていたものと異なり、よりクリアなものとなった。
制作:東宝映像(現・東宝映像美術)・TBS
[編集] 特別スタッフ
竹内均(東京大学教授)
第14話に特別出演。
大崎順彦(東京大学教授)
[編集] キャスト
小野寺俊夫:村野武範
阿部玲子:由美かおる
田所雄介博士:小林桂樹
マリア・ベイリー:マリ・クリスティーヌ
有吉摩耶:小川知子
幸長信彦助教授:細川俊之
中田一成秘書官:黒沢年男
結城達也:橋本功
吉村秀夫:仲谷昇
辰野記者:田中邦衛
山城教授:佐々木孝丸
野末技官:佐原健二
邦枝助教授:山本圭
松川総理大臣:山村聰
渡老人:中村鴈治郎
秋本夫妻(アパートの管理人):鳳啓助、京唄子
小野寺春子(俊夫の妹):沢田亜矢子
小野寺周二(春子の夫。婿養子):岡本信人
ニュースキャスター:新堀俊明、池水通洋、市川治、作間功
ナレーション:内藤武敏、岸田森 ※岸田は予告のみ担当、ノンクレジット
[編集] サブタイトル
飛び散る海
海底の狂流
白い亀裂
海の崩れる時
いま、島が沈む
悲しみに哭く大地
空の牙・黒い龍巻
怒りの濁流
海底洞窟の謎
阿蘇の火の滝
京都にオーロラが!!
危うし京の都
崩れゆく京都
明日の愛
大爆発・海底油田
鹿児島湾SOS!
天草は消えた!
危機せまる小河内ダム
さらば・函館の町よ
沈みゆく北海道
火柱に散る、伊豆大島
折れ曲がる、日本列島
海に消えた鎌倉
東京都民・脱出せよ
噫々 東京が沈む
東京最後の日
TBS 日曜20:00枠
前番組 番組名 次番組
日曜ワイドスペシャル
(19:30 - 21:00) 日本沈没
(テレビドラマ版) サンデースペシャル
(19:30 - 20:55)
[編集] 1973年のラジオドラマ
映画版、テレビ版より早い1973年10月8日から1974年4月5日の半年間、毎日放送制作で、9:00 - 15分の帯番組として、月曜から金曜の毎日、全国ラジオネットワーク(NRN)系列局で放送された。全130回。主人公小野寺の名前は、俊夫ではなく浩介と変更されている。
[編集] スタッフ
演出:岡本愛彦
脚色:蓬莱泰三
音楽:田中正史
効果:高田暢也
演出助手:竹内東弥
[編集] キャスト
小野寺浩介:江守徹
阿部玲子:太地喜和子
田所雄介博士:加藤武
幸長信彦助教授:金内喜久夫
中田一成:高橋悦史
邦枝:角野卓造
山本総理:北村和夫
渡老人:龍岡晋
吉村秀夫:下川辰平
ナレーター:川辺久造
その他出演:文学座
[編集] 1980年のラジオドラマ
NHK連続ラジオドラマ(1980年「連続ステレオ小説」としてNHK-FMで放送、のちにAMで再放送)。1話15分の全10回放送。設定年代を「198X年」とした他はほぼ小説通りのストーリー展開である。FMでの初回放送の直前に総合テレビの『NHK番組ガイド』で取り上げられ、東京大地震の群集シーンの収録風景が紹介された。
脚色:津川泉
[編集] キャスト
小野寺俊夫:鹿賀丈史
阿部玲子:島村佳江
田所博士:巖金四郎
幸長:纓片達雄
中田一成:大塚国夫
山崎:川久保潔
渡老人:宮口精二
首相:久米明
オーストラリア首相:久松保夫
国連特別委員会委員長:加藤精三
語り:小林恭治
テーマ音楽:シベリウス「交響曲第1番」
レナード・バーンスタイン指揮のニューヨーク・フィルハーモニック演奏版(1967年)を使用。オープニングは第1楽章、エンディングは第4楽章からの抜粋。BGMも第4楽章からの抜粋が多く使われた。
[編集] 漫画
さいとう・プロによる漫画が週刊少年チャンピオンに連載され、講談社から単行本が出版されている。
2006年より一色登希彦による漫画がビッグコミックスピリッツに連載されている。
漫画版の詳細については 日本沈没 (漫画) を参照のこと。
[編集] 玩具
『おおくに&メカコレクション』(青島文化教材社) - テレビ版に登場したメカの商品化。おおくに、わだつみ、ケルマデック、はやとが含まれる。
『日本沈没 D1計画篇』『日本沈没 D2計画篇』(タカラトミー) - 映画リメイク版のメカコレクション。主に劇中登場した自衛隊の装備や深海潜水艇が中心だが、撮影に用いられたタグボートもラインナップに含まれる。
『海上自衛隊輸送艦しもきた』(タカラトミー) - 映画リメイク版で登場した輸送艦「しもきた」の1/700模型。
[編集] 実現しなかった映画化案
[編集] 『続日本沈没』の企画
1973年末夕刊紙に東宝の翌年以降の大作ラインナップの広告が出された際、エスパイ、ノストラダムスの大予言等と共に発表された。製作前の各作品に「抽選で50名を試写会にご招待」とまで告知された。
監督と特技監督には前作と同じ森谷司郎と中野昭慶を起用。タイトル横に付けられたキャッチ・コピーは「祖国を失った日本人は世界史から抹殺されるのか?」だった。プロットとしてはジュネーブで再会する小野寺と玲子、難民化した日本人の受難、日本政府の裏資金での国土調達活動等が描かれると言われたが、製作は立ち消えになり幻の企画となった。
[編集] 『日本沈没1999』の企画
松竹が1999年12月から公開する2000年の正月映画として、『日本沈没1999』の製作発表を1998年9月30日に銀座東急ホテルで行なった。
監督には大森一樹を起用。大森と小松は、共に1995年の阪神・淡路大震災の被災者でもあり、その経験を活かそうと阪神・淡路大震災当時に見られた若者たちのボランティア活動やインターネット上の動向を盛り込もうと意欲を見せ、小松も若い世代の描写に期待を寄せた。映像面でもスペクタクルシーンにCGを活用する方針を採用。光吉俊二、大原伸一といったスタッフの名前が挙がった。総製作費12億円、配収目標30億円の大作になる予定だったが、業績不振の松竹は制作費を調達できず、1999年3月5日の松竹社長の記者会見で「検討中」とコメントし、事実上の製作中止が明らかとなった[1][2]。結局、2000年の松竹の正月映画には大島渚の監督作『御法度』が公開された。
[編集] 注記
^ この頃、松竹経営陣で内紛が起こり、映画製作ができる状態ではなかった。
^ 他にも阪神・淡路大震災の被災者団体から「震災で心の傷が癒えてないのに、このような映画を製作するのは納得できない」との抗議があったとされるが、影響の有無は不明。
[編集] 小説『日本沈没 第二部』
小説の続編である『日本沈没 第二部』が、2006年の再映画化に合わせ、谷甲州との共著という形で2006年7月に出版された。
[編集] 執筆までの経緯
テレビでの対談において続編の構想について質問された小松は「日本沈没時、大量に発生した火山灰のため地球全体が寒冷化し、地球規模の食糧不足となり、そのような状況の下、世界各地に散らばった日本を離れた日本民族がどうなるか?を考えていたが、昨今の火山の噴火に伴う同様の状況の現出など、あまりに現実的すぎるテーマとなってしまい筆が進まないでいる」という趣旨の回答をしており、第2部においても「地球寒冷化」が「日本人の行く末」と並んで重要なテーマとされている。
後に小松と彼を慕う若手SF作家(谷や森下一仁ら)を中心として『日本沈没』の続編を執筆するプロジェクトが立ち上げられて、沈没後に残された日本人と地球が辿るであろう運命について議論が交わされて小松の元で基本的なプロットが纏められた。だが、小松が既に老齢であったこともあり、実際の執筆は沈没後の日本人が活躍の舞台とするであろうアジア地域での生活が長かった谷が担当した。
[編集] 「第二部」以降の展開
第三部の構想もある。2006年にラジオ番組「サントリー・サタデー・ウェイティング・バー」に小松が出演した際、「第三部をもし作るとしたら、第二部で生きてた日本人はもう宇宙まで行くしかない。宇宙にメガフロートを作ろうかと谷(甲州)と話している」と言った趣旨の発言をしていた。
『日本沈没』が執筆開始された後から「SFマガジン」に連載され、出版は1966年と『日本沈没』に先んじる形になった小松の別の長編小説『果しなき流れの果に』には、短いエピソードとして、国土を失ったさらに未来の日本人の行く末に触れており、ここでは宇宙に進出する日本人の姿が描かれている。また、『お祭り』というショートショート作品では、国土を失った日本の民族が宇宙開発を率先して進めたため、その貢献への返礼としてお盆に太平洋上で巨大「大文字焼き」を行う権利を得た、ということになっている。
[編集] 現実に日本列島が沈没する可能性
日本列島の土台は複数のプレートの運動によって形成された付加体である。これは大陸側のプレートと太平洋側のプレートの衝突によって、海洋プレートの上の堆積物が押し上げられる形で隆起したものである。よってこのプレートの動きが変わらない限り日本列島が沈没することはなく、むしろ現在日本列島は沈下ではなく隆起している。実際にプレートの動きが変わっても完全に沈没するまで100万年以上かかると計算されており、差し迫って沈没時のための準備や心配、対策などをする必要はないとされている[1]
また、入舩徹男・愛媛大学教授は、ネイチャー2008年2月14日号に発表した論文で、地表から地中に沈下したプレートは、地下600キロ前後で滞留しそれ以上は沈下しないとしている[2]が、メガリスの崩壊説が完全に覆されたわけではない[3]。
作者の小松にとっても承知の上のことであり、作品中でも示唆されている通り日本沈没は、“何億年に一度かの天変地異が今起こったら?”という仮定の話である。仮定が現実となった場合であっても、天変地異が日本のみに局限されることはまずあり得ないであろう。
[編集] パロディ
日本以外全部沈没
筒井康隆作のパロディ小説。日本沈没が第5回星雲賞(日本長編部門)を受賞したのと同時に、第5回星雲賞(日本短編部門)を受賞。
2006年の『日本沈没』の公開に便乗する形で映画化が発表された。初代映画版とテレビドラマ版でそれぞれ小野寺役を演じた藤岡弘、と村野武範がそろって出演し、話題となった。なお、こちらの映画版の田所博士役は寺田農で、寺田はリメイク版『日本沈没』からも出演のオファーを受けていたそうだが、結局こちらを選んだ。また、2006年版に出演した松尾貴史が、気象予報士・森田良純役でこちらにも出演している。なお、この作品には小松が公認(お墨付き)を与えている。
日本漂流
本人による自己パロディ。松代群発地震の調査でボーリングを行ったところ、なにやら柔らかいものに行き当たり、同時に日本列島すべてを激震が襲い、直後に日本列島は南に向かって泳ぎ出す。地下にナマズがいるというのは本当で、日本列島の下にはなんと巨大な一匹のナマズのような怪物がいたのである!という話。超々特大日本鯰竜(アルキウルトラギガントナマザウルス ニッポニクス)という名が付けられている。
日本ちんぼ*
横田順彌のナンセンスパロディ小説。
日本ふるさと沈没
2006年版公開に合わせて出された徳間書店から刊行されたパロディ漫画集。「(作家たちの)故郷が沈没したら?」というコンセプトで書かれており(「ご当地」のみが沈没ないし残存するという場合もある)、鶴田謙二や吾妻ひでおなどSFファンには馴染みの深い作家から、いしいひさいちまでと執筆者の範囲が幅広いのも特徴である。
SMAP×SMAP
関西テレビ・フジテレビで放送のバラエティ番組。2006年版の主演である草g剛が出演しており、この映画のパロディであるコント「日本陥没」が放送された。
ケロロ軍曹
テレビアニメ。「日向家沈没」の題で、地下基地年末拡張工事で緩んでいた地盤が日向家もろとも沈降してしまうというストーリー。
ドラえもん
漫画。「世界沈没」の題で小学館てんとう虫コミックス版の単行本では4巻に収録。のび太が12時間後に起こる現実をドラえもんの道具(イマニ目玉)で見ると世界中で大雨が降り世界が沈没すると言う内容。実はのび太が見たのは夜に自分が見ることになる夢で、実際に世界が沈むことはなかった。
王様はロバ〜はったり帝国の逆襲〜
ギャグ漫画。タイトルは「日本ちょっと沈没」、数回にわたり連載されていた。局地的な地盤沈下により、日本が80cmだけ沈没(浸水)したという設定で、その環境で暮らす人々の生活を描いたネタ。
ふしぎの海のナディア
テレビアニメ。第21話「さよなら・・・ノーチラス号」でノーチラス号が撃沈される海溝の名前が「ケルマディック海溝」。第31話「さらばレッドノア」でのハンソンの説明が1973年版映画の田所教授の説明のパロディ。第31話にはほかにも細かなパロディが存在。なお、第21話の絵コンテおよび第31話の監督は2006年版の監督をした樋口真嗣。
[編集] 関連項目
小松左京
日本以外全部沈没
樋口真嗣
日本列島
わだつみ
死都日本
[編集] 参考資料
横田順彌『SF事典』(広済堂、1977年)
小松左京『SFへの遺言』(光文社、1997年)
『出版データブック』(出版ニュース社、1997年)
樋口尚文『「砂の器」と「日本沈没」 70年代日本の超大作映画』(筑摩書房、2004年)
小松左京・イオ『小松左京マガジン 第23巻』(角川春樹事務所、2006年 - 海外版「日本沈没」について)
『キネマ旬報』(キネマ旬報社、2006年7月下旬号)
川北紘一『特撮魂 東宝特撮奮戦記』(洋泉社、2010年)
[編集] 脚注
^ 「日本が沈むことはないのですか?」「100万年かけて沈むと書いていましたが、日本は、最終的には沈むのでしょうか?」 共に東京大学地震研究所日本沈没と地球科学Q&Aコーナー
^ 日本沈没ない?愛媛大でプレート落下説を否定する研究成果[リンク切れ] 読売新聞 2008年2月14日付
^ 第8回 日本は沈まない? 山岡耕春・名古屋大学大学院教授(仙台放送「大地震に備える」)
[編集] 外部リンク
テレビドラマ版日本沈没DVD紹介ページ
筑摩書房「『砂の器』と『日本沈没』70年代日本の超大作映画」
東京大学地震研究所 「日本沈没」と地球科学に関するQ&Aコーナー
「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B2%88%E6%B2%A1」より作成
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