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善意は難病患者を救わない−寄付金は電話勧誘会社の金庫に
9月14日(ブルームバーグ): 2011年8月のある午後、米オハイオ州コートランドに住むキャロル・パターソンさんの自宅に電話がかかってきた。パターソンさんは医者からの電話を待っていたのだが、電話の相手は医者ではなく、知らない女性だった。ロビンと名乗ったその女性は、米国糖尿病学会(ADA)の代表だと自己紹介した。
ロビンという女性はパターソンさんに寄付は求めなかった。代わりに資金集めの手紙を用意してあるので、切手を貼って15人の隣人に出してくれないかと頼んだ。両親も一方の祖母も糖尿病だったパターソンさんは承知した。ブルームバーグ・マーケッツ誌10月号が報じた。
「私は糖尿病の家系らしいので、支援してもいいと思った」と小学校の教員を退職した64歳のパターソンさんは振り返る。慈善事業について同氏が知っているところによれば、ADA向けに寄付した金の70−80%は糖尿病の研究に使われるはずだった。
真相はほぼその正反対だ。パターソンさんと隣人たち、その他全米の大勢いる善意の人々が寄付した金の80%近くは、糖尿病学会の手に渡ることはない。この金はロビンなど大勢の勧誘員を抱えているテレマーケティング会社、インフォシジョン・マネジメント・コープに行く。
2011年にこのようにして糖尿病学会の名前で集められた資金のうち、慈善事業に使われたのは22%にすぎなかった。インフォシジョンがノースカロライナ州当局に提出した報告書から分かった。
闇討ちに等しい
この報告書と協会がインフォシジョンと交わした契約書を見せられたパターソンさんは6月に自宅の台所で、「まるで裏切りだ」とあきれた。「もう二度と寄付はしない。まるで闇討ちみたいなひどい裏切りだ」と怒りをあらわにした。
さらにひどいことに、米国の有名な慈善団体の多くはこの10年間、このような一方的な契約をテレマーケティング会社と結んできた。医療関係の慈善団体として米最大の米国がん協会(ACS)は1999−2011年にかけて、資金集めのためインフォシジョンと契約していた。
2010会計年度にインフォシジョンは同協会のために530万ドル(約4億1200万円)を集めた。しかし、米内国歳入庁(IRS)とメーン州への届け出によると、膨大な数のボランティアが参加したこのキャンペーンで集められた資金からは、1セントもがんの研究や患者支援に回されなかった。
届け出によれば、集まった全額すべてがインフォシジョンのものになった。協会の方は実際、この年はこのキャンペーンで損失を出した。インフォシジョンは集めた資金全額に加え、協会から手数料11万3006ドルを受け取った。政府への届け出が示している。
500万人以上がボランティア
慈善団体はテレマーケティング会に虚言を奨励さえしており、問題を悪化させている。糖尿病学会とがん協会の双方が承認していたインフォシジョンのキャンペーン計画書は、集まった資金の70%以上が慈善目的で使われると言うように、電話勧誘員らに指示している。
一方で、糖尿病学会とがん協会がそれぞれインフォシジョンと結んだ同年の契約書は、集まった額の50%超をインフォシジョンが受け取ることを認める内容になっている。
当局への届け出資料によれば、インフォシジョンと契約した慈善団体の資金集めには、2005年以降で500万人を超えるボランティアが参加した。
デューク大学(ノースカロライナ州ダーラム)ロースクールのジェームズ・コックス教授は、慈善団体はその名前を使って行われた詐欺的な資金集めについて責任を問われるべきだと指摘する。「組織的にそういうことをしているなら、それは虚偽表示の下で金を集めていることになる。それが犯罪でないとしたら驚きだ」と同教授は述べた。
客寄せの値引き
がん協会のシニア・バイスプレジデント、グレッグ・ドナルドソン氏は寄付金の一部しか協会にもたらさないこのようなキャンペーンは、小売店が集客目的で赤字覚悟で目玉商品を値引きするようなものだと言う。「長くて大切な関係を築くためにこのような戦略を使うことは協会の方針と矛盾しない」と説明した。
過去10年に、がん協会や糖尿病学会に加え米国心臓協会や米国動物虐待防止協会、全米多発性硬化症協会など、多数の慈善団体がインフォシジョンと契約している。
07−10年の間、インフォシジョンが30以上の非営利団体のために集めた寄付金は合計4億2450万ドル。州当局に提出された記録によれば、その52%に相当する2億2060万ドルがインフォシジョンのものになった。
原題:Charities Deceive Donors Unaware Money Goes to aTelemarketer(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン David Evans (Bgov devans54@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Jonathan Neumann jneumann2@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/14 08:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAA29Y6JIJWC01.html
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