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バマの「謎」に迫った映画が大ヒット 重大な警告か、大統領選のネガティブキャ
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投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 12 日 03:34:57: cT5Wxjlo3Xe3.
 

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オバマの「謎」に迫った映画が大ヒット
重大な警告か、大統領選のネガティブキャンペーンか

2012年09月12日(Wed) 古森 義久

 バラク・オバマ大統領の世界観とはなにか。

 同大統領の再選の見通しは別にして、同盟国の日本にとっても大いに気にかかる問いである。オバマ大統領は就任以来、3年8カ月、その対外政策は具体的な軌跡を数多く印してきたものの、なお本当に実現を目指す世界とは? あるいはその中での米国の役割は? となると、まだまだ疑問が多々残る。

 そんな中で米国ではオバマ氏の世界観を彼の出自や教育と結びつけて、「米国の力を弱め、全世界の植民地主義がもたらした負の結果を逆転させることにある」と分析するドキュメンタリー映画が登場した。しかも全米各地で、ドキュメンタリー映画としてはまったく異例の大人気を博しているのだ。

 米国大統領選はいよいよ本番に突入した。公式には民主党全国大会の最終日の9月6日、オバマ大統領が候補指名を受諾する演説をして、共和党のミット・ロムニー候補と正面から対峙したわけだ。そんな緊迫の時期に、オバマ氏の政治や思想の背景に批判的な光を当てたこのドキュメンタリー映画が全米で関心の的となったのである。

 その原因は米国民の多くがなおオバマ氏の出自や理念が一体、なんなのか、模索を続けていることだろう。特にオバマ氏を支持しない層には、オバマ氏が目指す究極の政治目標への警戒や不信が強く、そうした心情がこの映画への強い興味を生んでいると言えそうでもある。

オバマ氏の反植民地主義のルーツを探る

 この映画は「2016年=オバマのアメリカ」と題された約90分の政治ドキュメンタリー作品である。その人気の輪の急速な広がりはまさに驚異だと言える。そもそも日本でと同じように、米国の映画市場ではドキュメンタリー作品が一般映画館で上映されることはまずない。まして全米規模での上映というのはほとんど例がない。ところがこの映画はその枠をあっというまに打ち破ってしまったのだ。

 まずこの映画の公開は、7月中旬、テキサス州ヒューストンのたった1つの劇場で始まった。ところが反響が予想よりはるかに大きかった。予想外の観客が集まってきたのだ。そのためすぐに同州や他の州の一般映画館でも上映されるようになった。9月はじめの時点では全米で2000近く、首都ワシントン地区でも10の一般映画館で上映されるに至った。しかもこの映画は8月後半には他のアクションやコメディの映画を抑えて全米第2位の興業成績を記録した。9月第1週も全米7位となった。

 この「2016年=オバマのアメリカ」はインド系米人の政治学者ディネシュ・デスーザ氏の著書を原作に同氏が監督と語り手を兼ねている。製作にはアカデミー賞受賞映画の「シンドラーのリスト」のジェラルド・モーレン氏らがあたった。

 さて、その内容はオバマ氏と同じ年齢で有色人種、同じ米国の名門大学で教育を受けたデスーザ氏が、オバマ氏と父親や親類との絆をたどっていく。オバマ氏の父親はケニア人の反植民地主義闘士だった。

 また、米国の対外政策に反対し、開発途上国やイスラム教国への理解や支持を表明していたオバマ氏の母親の影響、そして同氏の少年時代のインドネシアのイスラム社会での生活などを、現地のルポや関係者の証言で探っていく。

 オバマ氏が青年時代に接触して、師事した元共産主義者のフランク・デービス氏、反米パレスチナ支持派のエドワード・サイード氏、都市ゲリラ革命主唱のビル・エアーズ氏らの影響にも光を当てている。

 そしてデスーザ氏は、「オバマ氏の真のイデオロギー的理念は米国がアフリカなどの開発途上国から搾取した植民地主義の結果を是正することであり、そのために米国の力や富を相対的に減らすことを意図している」という結論を下す。

 「大統領就任直後にホワイトハウスにあったイギリスのチャーチル首相の胸像を排除したことは、オバマ氏のその反植民地主義の強い信念の表れだ」とも断じる。

米国の主導権が失われていくと警告

 デスーザ氏はこの映画でさらに「オバマ氏は、米国が世界で主導権を発揮することには反対であり、イギリスなど従来の同盟相手の先進工業国との絆よりも、第三世界と称される植民地主義の被害を受けた諸国との関係改善を重視する」とも述べていた。そうなると、日本との絆も特に重視はしない、という診断も浮かんでくる。さらにはデスーザ氏は映画の中で「米国の一方的な軍備削減、核兵器削減もオバマ氏の真のイデオロギーの例証だ」とも語る。

 確かにオバマ大統領は国際社会で、米国が特別の主導権を発揮して諸国家の先頭に立ち、民主主義や個人の自由という米国の伝統的な価値観を広めていくという「アメリカの例外主義」には背を向けてきた。「アメリカの例外主義があるならば、イギリスの例外主義やギリシャの例外主義があるだろう」とも述べているのだ。米国の歴代大統領はみな程度の差こそあれ、米国が世界では特別な主導権を持つという「例外主義」の前提を受け入れてきたのである。

 しかしオバマ大統領の核兵器の一方的な削減というのも米国の軍事力の相対的な縮小となり、主導的な立場からの後退となる。だからこの映画の総括は、もしオバマ大統領が再選を果たし、2016年まで統治を続ければ、米国の世界での比重も役割も相対的にすっかり縮まってしまう、という警告となっている。

 デスーザ氏はいまはニューヨークのキングズ大学の学長だが、共和党保守派とも近く、レーガン政権の国内政策スタッフだった経歴もある。いわゆる保守の論客とされてきた。このためこの映画も民主党側からは「反オバマ映画」と見なされている。ニューヨーク・タイムズなど民主党寄りの大手メディアもこの映画については無視か、あるいは「反オバマのプロパガンダ」という扱いしかしていない。

 しかしこの作品は映画としては全米各地での観客動員数では明らかに大成功である。「政治ドキュメンタリー映画としては前例のないほどの人気を集め、ハリウッドを驚かしている」(ウォールストリート・ジャーナル紙)とも評された。

 この意外な人気の背景には、明らかにオバマ大統領についてもっと知りたいという米国民多数の探索の姿勢があると言える。前回の大統領選挙ではオバマ氏とケニアやインドネシアとの特殊なつながり、さらには過激派のエアーズ氏やデービス氏らとの緊密な絆が一部で指摘されながら真相不明のまま終わったことが大きな要因になっているわけだ。

 オバマ大統領の暗渠とか謎と見なされる部分への米国民の多くの探究心が、この映画への人気を高めたとも言えるだろう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36080  

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