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アメリカは暴力の国だぜ―でも昔ほどじゃないぜ コロラド州乱射事件で銃売買が急増―「銃なき国」ニッポンを絶賛する声の陰で
http://www.asyura2.com/11/kokusai6/msg/734.html
投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 30 日 12:41:28: cT5Wxjlo3Xe3.
 


クルーグマン「アメリカは暴力の国だぜ――でも昔ほどじゃないぜ」(ブログエントリ,2012年7月22日)
Kieran Healy がこんなチャートを出してる:


〔タテ軸は「人口10万人あたりの暴行致死事件数〕

上の青い線はアメリカ,他のラインはアメリカ以外の先進国だ.

ぼくがいちばん目を見張ったのは,アメリカの暴力が高水準だって点じゃない.驚いたのは,そのUターンぶりだ.ぼくが育ったアメリカは,暴力が頂点に達した時代のアメリカだった――タイムズスクエアが麻薬中毒者とポルノ屋の巣窟で,みんなが地下鉄に乗るのを怖がっていた時代のアメリカだ.いまや別世界だね.

「非エリートのアメリカ人たちのあいだで価値が堕落している」とかいう嘆きをぼくが真に受けにくく思ってる理由の1つがこれだ.もし一人親での子育てが世間で言うほど悪いものなら,どうして社会的病理がこれほどまでに減りうるものかね?

(Paul Krugman, “America Is A Violent Country,” The Conscience of a Liberal, July 22, 2012, 3:19 PM)
http://econdays.net/?p=6866

【肥田美佐子のNYリポート】
コロラド州乱射事件で銃売買が急増―「銃なき国」ニッポンを絶賛する声の陰で

2012年 7月 30日 8:51 JST

 米東部時間7月20日早朝、コロラド州デンバー郊外のオーロラ市で、死傷者70人以上を出す米国史上最悪の銃乱射事件が起こったが、その直後、ある商品の売り上げが急増した。銃、である。米国では、こうした事件が起こると必ずと言っていいほど見られる、おなじみの光景だ。

 地方紙『デンバー・ポスト』(7月23日付電子版)によれば、20日の金曜日から22日の日曜日までにコロラド州捜査局が認可した銃購入用身元調査依頼は2887件。その前の週の同期間に比べ、43%はね上がったという。事件当日の金曜日も、前週と前々週の金曜日の平均より43%アップした。

 同州ダグラス郡パーカー町の銃器店の店員が同紙に語ったところでは、20日朝に出勤すると、店の外に早くも15〜20人の客が列を作っていた。その多くが銃初心者で、事件を知って銃の必要性を感じ、店に駆けつけた人たちだった。週明けの23日も客の入りが多く、月曜日としては、おそらく通年で最多の売上高になるはずだと、店員は予想する。

 昨年1月、アリゾナ州の政治集会で、若い男が、民主党のギフォーズ下院議員など複数を半自動式拳銃で乱射した直後も(同議員は一命を取り留めたが、今年1月、辞職)、アリゾナやオハイオなど多くの州で、銃の売り上げが6割以上アップした。

 前出の記事に付随した世論調査では、事件後、銃の購入を考えたことがあるかという問いに対し、「ノー」が49%に達したものの、「すでに持っている」人(約32%)をはじめ、「買う予定」「検討中」「たぶん買う」という肯定派が約51%と、わずかながら銃不要派を上回っている。

 銃推進派の急先鋒である米ライフル協会(NRA)は、合衆国憲法修正第2条の「人民が武器を保有し、携帯する権利」を国民が最大限に行使して武装することが、乱射事件の抑止力になると訴える。こうした凄惨な事件が一向に「抑止」されない一方で、事件がさらなる「武装」を誘発し、銃文化に拍車がかかっているのが現実だ。ちなみに、今回事件が起こった映画館は、武器持ち込みを禁じた「銃フリーゾーン」である。たとえ銃を所有していたとしても、常に武装して身を守るのは事実上、不可能だ。

 銃規制が緩いコロラド州では、1999年にも、リトルトン市のコロンバイン高校で銃乱射事件が起こり、今回のように銃規制論議が沸騰した。当時は、事件後、銃規制派が8%アップして65%に増加。支持派が30%を切るまでに落ち込んだが、その後、市民権の一部としての「武装権」理論が力を増し、2012年には、規制派45%に対し支持派49%と、銃を持つ権利を唱える人が多数派を占めている(米民間世論調査機関ピュー・リサーチ・センター調べ)。男性は約6割が支持派(女性は4割以下)で、銃所有者の大半は男性だ。

 世論がこうだと、政治家も、ほとんどが銃規制に及び腰である。共和党の大統領選指名候補争いで、他の候補者に抜きん出てNRAから巨額の政治献金を得たロムニー前マサチューセッツ州知事もしかり。共和党穏健派で知られる同氏は、州知事時代、殺傷能力が高い急襲用ライフルの使用を禁じる法律を制定したが、大統領選に名乗りを上げてからは、その実績には触れず、銃所有者の権利拡大をアピールするばかりだ。

 現在、米国で私的に所有されている銃器は、約3億丁。散弾銃だけでも8000万丁を優に超え、拳銃600万丁、ライフル150万丁など、米国は、世界トップの「銃大国」の座を欲しいままにしている。実際には、1人で複数の銃を所有する人が多いため、大半の米国人は銃を持っていないが、数字上では、国民1人につき約1丁が出回っていることになる。

画像を拡大する


Matthew Friend
ノースカロライナ州シャーロット市のヘアサロンで銃を腰に差した若い男性客

 今、このコラムを出張先の米東部ノースカロライナ州の最大都市、シャーロットで書いているが、同州では、2008年の年末商戦で、オバマ大統領の就任を前に銃規制を懸念する人たちの需要を当て込み、銃の消費税免税措置が実施された。現地で知り合った米国人の男性ジャーナリストが先日、ヘアサロンに行った際、Tシャツに短パンのラフないでたちで、ベルトに拳銃を差した若い男性客を見かけたという(写真)。

 08年の年末商戦で同様に免税措置を行った、お隣のサウスカロライナ州では、11年も、夏の新学期免税措置と並ぶ目玉キャンペーンとして拳銃やライフル、散弾銃などを対象に免税措置が取られた。ある銃器店では、ウェブサイトへのアクセスが殺到し、一時的にダウンするほどだったと報じられている。昨年12月の本コラムでも書いたが、11年のブラックフライデー(小売業界が年最大の黒字になる感謝祭<11月第4木曜日>翌日の金曜日)最大の売れ筋は銃であり、08年の年末商戦を約3割も上回る史上最高の売り上げを記録した。

 だが、劣勢ではあるものの、リベラル派メディアを中心に、銃規制強化の必要性を問いかける声もなくはない。米誌『アトランティック』(7月23日付電子版)は、「A Land Without Guns(銃なき国)」と題した記事を掲載し、限りなく銃と無縁の国として、日本を絶賛している。

 一方、先進国のなかで最も銃規制の緩い米国は、銃による殺人事件発生率が世界の先進国23カ国中トップであり、残り22カ国を足した数字の約20倍に上る発生率だと、自国の異常さを指摘する。08年のみを比較しても、米国では、銃器による殺人件数が1万2000件を超えたが、日本で銃によって命を落とした人は、オーロラでの死者12人にさえ及ばない、わずか11人だったという。日本時間7月29日現在、同記事には470件近いコメントが寄せられ、「いいね!」も9600件に達するほどの大反響で、「銃小国」ニッポンを称賛する声も根強い。

 とはいえ、圧倒的な資金力を武器に猛烈なロビー活動と政治献金攻勢を展開する権利拡大派を前に、銃規制派は今のところ手も足も出ないのが実状だ。ワシントンDCのシンクタンク「国民の声にこたえる政治のためのセンター」によれば、08年、規制派の政治献金が5万7900ドル(約460万円)にとどまったのに対し、支持派は、共和党を中心とする政党や選挙候補者に240万ドル(約1億8800万円)をばらまいている。規制派の41倍に上る大盤振る舞いぶりだ。ロビー活動に投じた額も390万ドルと、規制派の34倍に達し、そのうちの170万ドルをNRAが占めている。

 こうした政治的圧力などをバックに銃所有の権利を支持する世論が高まるにつれ、銃規制派の影響力は右肩下がりを続けている。とりわけ05年以降の資金力低下が顕著だ。銃規制を唱える候補者は、NRAから資金を得た支持派の候補者からの反撃にさらされる。米高級誌『ニューヨーカー』によれば、今では、言論や報道の自由などを定めた合衆国憲法修正第1条よりも第2条の武装権によりなじみがある米国人が多いという。

 今回の事件を受けて次々とお悔やみの言葉を口にする政治家を前に、ニューヨークのブルームバーグ市長は、あるラジオ番組で、こう訴えた。

「慰めの言葉もいいが、それだけでは十分でない。もう言葉はいい。オバマ大統領もロムニー氏も『よりよい国をつくる』と言うが、いったいどうやって? 銃政策はどうするつもりなのか。この国が問題を抱えているのは明らかだ」

 夏の終わりとともに本格化する大統領選を控え、オバマ大統領からもロムニー氏からも、その答えは聞かれそうにない。

*****************

肥田美佐子 (ひだ・みさこ) フリージャーナリスト

Ran Suzuki
  東京生まれ。『ニューズウィーク日本版』の編集などを経て、1997年渡米。ニューヨークの米系広告代理店やケーブルテレビネットワーク・制作会社などに エディター、シニアエディターとして勤務後、フリーに。2007年、国際労働機関国際研修所(ITC-ILO)の報道機関向け研修・コンペ(イタリア・ト リノ)に参加。日本の過労死問題の英文報道記事で同機関第1回メディア賞を受賞。2008年6月、ジュネーブでの授賞式、およびILO年次総会に招聘され る。2009年10月、ペンシルベニア大学ウォートン校(経営大学院)のビジネスジャーナリスト向け研修を修了。現在、『週刊エコノミスト』 『週刊東洋経済』 『プレジデント』『ニューズウィーク日本版』などに寄稿。『週刊新潮』、NHKなどの取材、ラジオの時事番組への出演、日本語の著書(ルポ)や英文記事の 執筆、経済関連書籍の翻訳にも携わるかたわら、日米での講演も行う。翻訳書に『私たちは“99%”だ――ドキュメント、ウォール街を占拠せよ』、共訳書に 『プレニテュード――新しい<豊かさ>の経済学』『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』(いずれも岩波書店刊)など。マンハッタン在住。
http://www.misakohida.com
   

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コメント
 
01. 2012年8月01日 11:42:14 : lqOPOFnyLE
アメリカ社会はどうも間違った方向に進んだ社会ではないか(その暴力的なものや、欲望の無原則的な肯定、キリスト教の寛容の精神を忘れたエゴイステックなものなど)。そして、今袋小路に入っているのではないか。
したがって、我々はアメリカ社会に比較して日本社会を論じるのは、あまり意味がないことを再確認すべきだろう。論ずべきは、我々がどんな社会を目指したいか、目指すのか、を地道に考察していくことだ。

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