http://www.asyura2.com/11/kokusai6/msg/641.html
Tweet |
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-06e0.html
アメリカ人、イギリス人や、西欧諸国の人々は、自分達のことを世界における自由、民主主義と徳性の代表だと考えることに慣れている。西欧は、あたかも西欧が神で、それ以外の国々は折檻や侵略や占領が必要な野蛮人だという具合に他の国々を評価している。
中国という国に対してワシントンの道徳家連中は往々にして高飛車に出る。ところがアメリカの“選挙で選ばれた民主的な”政府より、中国の“専制的”政府の方が、実際は自国民に良く対応しているのだ。
しかも書類上、中国国民の市民的自由がいかに不完全であれ、中国国民が持っているどのような権利をも、大手を振って侵害することができるなどと中国政府は宣言していない。しかも世界中で拷問監獄を運用しているのは中国ではない。
この二国を、一般によくあるプロパンダ用比較でなく、現実的に比較してみたいものだとかねがね考えていたが、その点、ロン・アンスには脱帽せざるを得ない(「中国の勃興、アメリカの没落、そして中国のメラミンとアメリカのVioxx: 一つの比較」を参照=英語原文)。アンスはいい勉強の機会を与えてくれている。お見逃しのないよう。
アンスは素晴らしい仕事をしてくれた。しかも彼は賢明にも熱狂的な愛国主義者を過度に刺激しないよう、中国の例は控えめに語り、アメリカの例は誇張している。それでも結論ははっきりしている。アメリカ人が収奪エリート連中に脅かされているほど酷く、中国人が中国の“収奪エリート連中”に脅かされているわけではない。
しかも、よその国を爆撃し、占領し、無人機攻撃しているのは、中国ではなく、アメリカの収奪エリート連中だ。バンパー・ステッカーに書いてある通り“アメリカに良くしないと、お前らの国に民主主義をもたらしてやるぞ。”
経済運営について言えば比較にすらならない。過去30年間、中国は人類の歴史で最も急速な経済発展を実現したとアンスは報じている。しかも新たな収入の大半は、1パーセントではなく、中国人労働者のポケットに流れ込んだのだ。アメリカの本当の平均収入が何十年も停滞している一方、中国人労働者の収入は30年間、10年ごとに倍増してきた。最近の世界銀行の報告書は、世界の貧困率が100パーセント以上も低下したのは中国の成長によるものだとしている。
アメリカのエリート連中がアメリカ国民をいかに手ひどく扱っているかについて驚くべき詳細を書いた大した記事だ。
政治エリートが“議員”の政治活動に資金を出すのと引き換えに、アメリカの法律を作っている強力な特別利益団体の権益の代表でしかないがゆえに、アメリカは駄目になったのだ。自分たちの失敗から人目をそらすため、アメリカのエリート連中は外部のスケープゴートに責任をなすりつける。例えば中国は通貨を操作しているとして非難されている。アンスの言う通り、スケープゴートに罪をなすり付けるのは無知でだまされやすい連中向けの政治茶番だ。
アメリカの経済学者達、あるいは彼等の大半はすっかり身売りしていて、プロパガンダが知恵と化している。もし中国が、ドルに対し通貨価値をより急速に上昇させさえすれば、アメリカの経済苦境は終わるだろうと大半のアメリカ人は信じている。すっかり依存している中国製商品の価格が急騰することで、収入が低迷気味で下落しつつあるアメリカ人の暮らしが楽になるだとか、そのようにして中国の経済的優位性が明らかになっても、アメリカの権力の主要な根源である、準備通貨としての米ドルの役割が存続可能だと信じられる経済学者が居ようなどとは、ほとんど信じられない。
アメリカ人は、無法さを、責任を負わない政府に結びつけがちで、中国政府を責任を負わないものと見なしている。ところが、アメリカの法律と国際法のいずれにも責任を負わないと宣言しているのはブッシュ/オバマ政権なのだと、アンスは指摘している。
戦争権限法とジュネーブ協定の崩壊や、裁判や告訴無しで投獄したり、行政府が“国家安全保障上の脅威”である可能性を認めたアメリカ人なら誰でも殺害したりする行政府の権力の主張は、責任の所在を明らかにする民主主義になりすましている完全な警察国家を示唆している。
アメリカでは学校で悪さをした6歳の少女が手錠をかけられ、投獄され、重罪で告発される。(「幼い学童が警官に逮捕され、手錠をかけられ、残忍に扱われる10の最悪例」を参照(英語原文)) ヒトラーやスターリンですら、ここまでひどくはなかった。
アメリカ国民は政府を制御できなくなっており、国民に制御されていない政府は民主主義ではない。今日のアメリカでは、戦争で儲け続けたい兵器関連財閥連中や、強欲な銀行幹部連中の無能と詐欺のつけを一般国民に押しつけようと固く決心した金融機関やらの声高な要求によって、社会保障や、メディケア、食料配給券やあらゆる社会保障が危機に瀕している。
中国のマスコミと政府が、メラミン、あるいは調製粉乳スキャンダルにどのように対処したか、そして、アメリカのマスコミと政府が、メルク社のVioxxスキャンダルにどのように対処したかに関するアンスの比較は実に痛烈だ。乳幼児用ミルクで悪事を働く連中を罰したのは中国の管理されたマスコミと責任を負わない政府で、一方、アメリカの自由なマスコミと責任を負う政府はメルク社を放置している。
アンスの結論は、人命が安いものと見なされている国は中国でなくアメリカだ。
ロン・アンスはアメリカの英雄で、しかも非常に勇気がある。ジョージ・オーウェルがいった通り“虚偽がまかり通る時代には、真実を語ることは革命的行為だ。”
誰も真実を聞きたいとは思っていない時に、それは実に勇敢な行動だ。フランツ・ファノンが言った通り、"時として、人は極めて強固な中核的信念を持っている。そうした信念に不利な証拠を示された場合、その新たな証拠は決して受け入れられない。それは認知的不協和と呼ばれる、極めて不愉快な感情を生み出しかねない。そして中核的信念を守ることが非常に重要なので、人々は自分を正当化し、中核的信念と合わないあらゆるものを無視し、否定さえする。"
あるいは映画中でネオに対する説明にあるように、"マトリックスというのは体制だ、ネオ。その体制は我々の敵だ。しかし体制の内部にいる場合、周囲を見回して見えるものはビジネスマン、教師、弁護士、大工。まさに我々が助けようとしている人々の心だ。だが我々が助けるまでは、そうした人々は依然その体制の一部なのだから、彼らは我々の敵のにままだ。こうした人々の大半は、まだプラグを外す覚悟がないということを理解しなければならない。しかも彼らの多くは余りに慣れすぎていて、どうしようもない程、体制に依存しているので、それを守るために彼らは戦うだろう。"
小生が個人的に知っている方々の大半はプラグを外されたいと思っておられない。読者の皆様はプラグを外されたいと思っておられると推測しているので、プラグを一層外せる好機を捕らえ、ロン・アンスのアメリカと中国との比較をお読み頂きたい。
その後で、他の人々をプラグから外すために、ご自分でできることをして頂きたい。
(Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。