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不愉快な現実・困難を排し接近する大国 “米中”が世界を支配するという認識
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/027ec9375f2d131fc6ec7437c659b91f
2012年05月05日 世相を斬る あいば達也
正直、嫌中にして超親米の産経や読売新聞及び人々は、少し目を覚まして、現実を直視すべきである。北京で開かれた第4回の米中戦略・経済対話が閉幕した。マスメディアの情報に翻弄されると盲目の人権活動家・陳光誠氏の処遇問題だけで終わったような話になっているが、そんなわけがない。陳光誠氏の問題は、一つのマターに過ぎない。あまり過大に論ずる意味はない。
クリントン国務長官、ガイトナー財務長官、キャンベル国務次官補等々が出席している。人権活動家の亡命だか留学だかの為に顔を揃えたわけではないのは、常識で判断出来るだろう。表向きは「米国は個別事例も含め人権問題を取り上げ続ける」と米国は言い。中国は「我々には見解の相違がある。中国は人権問題について大きな進歩を遂げている」と反論するだろう。しかし、本当に話し合われたことは、公式の場に出るのは何年も先の話であること、我々は意識すべきだ。
クリントン、ガイトナーの両長官は4日、胡錦濤国家主席と会談。胡主席は「米中双方は大局に目を向け、双方の核心的利益を尊重し、意見の食い違いや敏感な問題を適切に処理すべきだ」と語ったようだ。政治分野では、北朝鮮をめぐる情勢、南スーダン情勢が話し合われた。経済分野では、米中投資保護協定の交渉再開、中国の金融市場改革、人民元相場の水準等々が議題となった模様だ。米国は人権で中国を牽制し、中国は資金面で優位性を保ったと考えられる。
4月25日の拙コラム「いま中国で起きている「薄熙来事件」は中国の改革 日本のとるべき道」(http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/df9f8c9144de0789fb5df98b9edc85dc )
で、稚拙ながら、これからの中国解説を試みたが、キッシンジャーが米中関係について、以下のように言及している。あとがきの一部抜粋で、少々消化不良な部分もあるが、大まかな方向性は把握出来る。筆者の説明も無茶苦茶ではない視点もあり、少々安堵している(笑)。キッシンジャーのフォーリン・アフェアーズ・リポートを朝日新聞から引用した。
≪ アジアにおけるアメリカと中国 ―― 相互イメージと米中関係の未来
ヘンリー・キッシンジャー/キッシンジャーアソシエーツ会長
■「権威主義国家」と「手負いの超大国」の関係 訪米最終日の2011年1月19日、胡錦濤国家主席はオバマ大統領とともに共同宣言を発表し、両国は「前向きで協調を重視する包括的な米中関係」へのコミットメントを共有していると表明した。アメリカは「成功を収めて繁栄する力強い中国が世界でより大きな役割を果たすことを歓迎し」、中国は「地域的な平和と安定そして繁栄に貢献するアジア太平洋国家としてのアメリカを歓迎する」。二人はこう表明することで、互いに相手がもっとも気にしている部分の立場を明らかにした。
以来、米中両国政府はこの目的の実現に取り組んでいる。双方の高官たちが相手国を訪問し、主要な戦略、経済問題を協議する枠組みも制度化された。軍部間の交流も再開され、重要なコミュニケーションチャンネルも開かれている。一方、非公式のトラック2レベルでも、米中関係の進化が模索されている。
だが、協調を深める一方で、対立と論争も生じている。両国における数多くの集団が、「自国の優位を求める米中抗争が起きるのは避けられず、すでにその局面に突入している」とみている。この視点からみれば「米中協調は時代遅れであり、ナイーブ」ですらある。
相手に対する似たような分析を基に、両国は批判を繰り返している。アメリカの戦略問題専門家の一部は、中国の政策は「西太平洋における有力なパワーであるアメリカをこの地域・海域から締め出し、アジアを中国の経済・外交利益に追随する排他的なブロックに作りかえる」という二つの長期的な目的によって導き出されているとみている。このビジョンを支持する人々は、現状を次のようにとらえている。
中国の軍事能力はアメリカのそれに比べればまだ見劣りするが、北京はすでに、ワシントンにとって受け入れられない軍事的リスクを強いる能力を保有し、伝統的なアメリカの優位を覆すような洗練された手段を次第に手に入れている。核の第二撃能力を確立するともに、対艦弾道ミサイル、さらにはサイバー空間や宇宙空間などの新領域における非対称戦争遂行能力も高めていくだろう。中国が大陸周辺の一連の島嶼群を勢力圏にして海洋での支配的な優位を確立するのではないかという懸念もある。アメリカの影響力を遮るそのようなスクリーンが出現すれば、ワシントンがどのような対策をとるかを確信できなくなった近隣諸国は、 貿易同様に安全保障領域でも中国に依存するようになり、中国の気に入るような政策をとり始めるかもしれない。最終的に、西太平洋を支配する、中国を中核とするアジアブロックが形成されるかもしれない。最近の米国防戦略は、少なくも間接的に、この可能性への懸念を示している。
もちろん、米中が協調ではなく、対決へと向かっているという理論を裏付けるような、中国の政府系メディアによる報道や研究所のリポートは数多くある。しかし、これを現実の政策路線として表明する中国政府高官は一人もいない。実際、彼らが重視しているのはまったく逆の路線だ。
アメリカの戦略的懸念は、「非民主的な世界との抗争」という概念ゆえに増幅されている部分がある。(中国のような)権威主義体制の基盤は本質的に脆く、 このためにナショナリズムや拡大主義のレトリックを用いることで、国内的な支持を確保しようとする、と考える者もいる。アメリカ国内の左派と右派の一部がともに受け入れているこの理論にしたがえば、中国との緊張と紛争のリスクは、中国の国内構造にある、ということになる。その結果、協調を模索するのではなく、民主主義が世界的な勝利を収めて初めて、普遍的な平和が実現すると彼らは主張する。
例えば、政治学者のアーロン・フリードバーグは、中国がリベラルで民主的国家になれば、(アメリカを含む)民主国家を悩ませることはなく、武力行使をする可能性も大きく低下すると主張している。したがって、「外交的な取り繕いはやめて、一党支配型の権威主義体制を倒し、リベラルな民主主義体制への変化を実現する平和的な革命を促すことが、アメリカの戦略でなければならない」と彼は結論づける。
一方、中国側の米中対立論はまったく逆のロジックで組み立てられている。彼らは、アメリカのことを、中国を含む台頭するライバルを抑え込むことを決意している「手負いの超大国」とみなしている。「いかに中国が積極的に協調路線を模索しても、ワシントンの目的は、軍事力の配備と条約上のコミットメントを通じて、中国パワーの強大化を抑え込み、中国が歴史的な中華帝国の役割を再び果たすようになるのを阻止することにある」。この視点に立てば、「アメリカと長期的に協調路線をとるのは、中国の台頭を抑え込むというアメリカの包括的な目的を助けるだけで、自滅的だ」ということになる。
こうしたシステマティックな敵意がアメリカの文化やテクノロジー輸出に内包されているとみなされることもあり、これが「中国の国内的コンセンサスや伝統的な価値を損なうことを意図した巧妙な圧力」として描写されることも多い。「これまで中国は、敵対的な路線を前にしても、必要以上に穏健な路線をとってきた。(南シナ海での領土問題など)領有権論争を抱える諸国ともっと対決的な姿勢をとるべきだ」という強硬論もある。例えば、戦略家のロン・タオは「慎重に考えすぎて状況が管理できなくなる前に、まず行動を起こすべき理由は、小規模な戦闘を実施すれば、さらなる敵の策略を抑止できる点にある」と主張している。
◇
Henry A. Kissinger 元米国務長官で、現在はキッシンジャー・アソシエーツ会長。このエッセーは、近く出版予定の『中国について』の後書きからの抜粋。 <続きはフォー リン・アフェアーズ・リポート3月号> ≫(朝日新聞デジタル:国際―フォーリン・アフェアーズ・リポートより)
特にキッシンジャーの解説にひと言つけ加える意図はないので、読後感は各自味わっていただきたい。フォーリン・アフェアーズ・リポートは以前から、欧米陣営の考えを知る上で有益、読みたい情報の一つだが、年間購読料24000円は財布に響く(笑)。多くの方も、愉快・不愉快はさておき、EU諸国は独自路線を歩み出した。米国は経済的にEUと距離を置いた。米国が戦略的に、地域のブロック化を考えるなら、それはアジア。そのアジアで、経済・軍事力で配慮せざるを得ないのが中国。この事実を、我々は充分認識した上で、短絡的勝ち負けではない、外交戦略を考えなければいけないのでしょう。その上で、嫌中もよし、親中もよし、と云う程度の知性ある国家になりたいものです。
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