http://www.asyura2.com/11/kokusai6/msg/574.html
Tweet |
「年内にやり直し」の予想も―6日にギリシャ総選挙
2012年 5月 4日 16:17 JST
【アテネ】ギリシャでは6日、総選挙の投票が実施されるが、政治的な不安定さが鮮明になる見通しで、主要政党関係者は数カ月以内に改めて総選挙を実施しなければならなくなるとみている。
画像を拡大する
Agence France-Presse/Getty Images
保守派ND党の支持者集会(アテネ、3日)
そうなれば、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)によるギリシャ向けの包括的救済策が脅かされ、ユーロ圏の債務危機が再燃しかねない。
国民は、ギリシャを財政的、経済的に破綻させたのは既存の政治体制だとして、6日の総選挙では左派・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と中道右派・新民主主義党(ND)という2大政党に手痛い仕打ちをする構えだ。総選挙投票の始まる前でさえ、2大政党の幹部たちは、両党が連立を組んだとしても短命で、すぐにやり直し選挙が必要になるだろう、とひそかに明かしている。
両党の関係者の多くは、やり直し選挙が今年秋までに実施されると予想している。特にNDの一部関係者は、早ければ6月にも実施の可能性があると述べている。
NDとPASOKは長年、議会を支配し、政権を交互に担当してきた。しかし6日の総選挙では、議会の定数300議席のうち両党が合計で過半数に届けば幸運だ。今回は、マルクス・レーニン主義政党から極右ネオナチに至るまで、他のさまざまな政党に支持が集まっているからだ。
議席確保に必要な3%の最低得票率に達するのは10政党と予想され、その結果、ギリシャは1974年の軍政の崩壊と民主政権樹立以来で最も分裂した議会になる公算が大きい。
独立系リスクコンサルタント会社コントロール・リスクスのアナリスト、デービッド・リー氏は「NDとPASOKは、過半数議席を確保できれば両党連立になるだろうが、確保できないかもしれない」と述べ、「いずれにせよ、年末までに再度の総選挙になる可能性が十分ある」と語った。
ギリシャ政府は今年3月、EUやIMFとの間で総額1730億ユーロ(約18兆円)の包括的救済策で合意した。この救済融資では、6月までにさらに115億ユーロの公共支出削減がギリシャに義務付けられている。これは過去2年間にわたるドラスチックな緊縮策に上乗せされるもので、既に深刻な不況に陥っている同国経済をさらに圧迫するものだ。過去3年間でギリシャ経済は約14%落ち込み、失業率は22%に達している。
財務省当局者によれば、6月の支出削減では、政治的に苦しい決定が求められる。赤字の国営企業閉鎖や公共部門の膨大な労働者解雇などだ。
6月までにこの支出削減を断行できるほど十分に安定した政権が成立しなければ、EUとIMFはギリシャ政府の運営コストをカバーするのに必要な財政支援を停止する公算が大きい。そうなれば、ギリシャで政治的・社会的な危機が再燃する恐れがある。
ギリシャで政治的な不安定さが高じれば、ユーロ圏の金融・経済危機の行方がさらに不透明になる。ユーロ圏では既に、緊縮策とそれに伴うリセッション(景気後退)に対する国民の怒りを背景に、党によって、あるいは有権者によって放逐される欧州の指導者が増えている。
6日の総選挙で最大議席政党になりそうなのはNDで、同党のサマラス党首が首相になると予想されている。しかしサマラス党首は、議会の勢力図からみて連立やむなしとしても、PASOKとの権力共有に消極的だ。
サマラス党首の一部のアドバイザーは、総選挙後に現与党のPASOKは内部崩壊し、連立政権の安定に脅威になる恐れがあると警告している。
NDは二度目の選挙で単独勝利する可能性もある、とこれらアドバイザーは考えている。有権者たちは最初の総選挙投票で怒りを爆発させたあと、安定した政府への復帰を望むだろう、というのだ。
あるND関係者は「サマラス党首は、今回の総選挙で明快な勝利を収められなくても、次回の総選挙で勝利できると確信している」と述べた。一部の保守派関係者は、6月初めに第2回総選挙を実施して勝利すれば、新たな緊縮策の実施期限である年央までに権力を掌握できると主張する。
これに対しPASOK関係者の多くは、サマラス氏が飽くなき野心を抱いているため、政治的に不安定になる、とあきらめ顔だ。PASOKのあるベテラン政治家は「わたしは連立政権がその任期をまっとうするとは予想していない」と述べ、「サマラス氏は政権の単独掌握を望んでおり、再度の総選挙に賭けるだろう」と語った。
実際、サマラス党首は選挙戦終盤、単独過半数の勝利を国民に訴えた。同党首は、PASOKとの連立は機能し得ないし、同党首にとってギリシャ改革の足手まといになるとはっきり主張した。
しかし世論調査では、有権者たちはこれに呼応していないことがうかがえる。同国メディアが報じた最新調査では、NDに投票すると回答したのは全体の約22%で、PASOK支持は約18%となっている。
記者: Alkman Granitsas、Costas Paris
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_437493?mod=WSJFeatures
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。