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【肥田美佐子のNYリポート】
http://jp.wsj.com/US/Economy/node_434011?mod=Right_Column
オンライン先物取引市場も株価もオバマ圧勝を予測
2012年 4月 27日 11:22 JST
記事
米大統領選挙本戦まで約半年を残すところとなった。
共和党候補指名争いは、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事が、4月24日に米東部5州で行われた予備選で圧勝し、事実上の共和党候補の座を獲得。11月6日、オバマ大統領と火花を散らす。はたして勝負はいかに――。現時点では、オバマ勝利の可能性が濃厚だ。
まず、米東部時間26日(日本時間27日)現在、オンライン先物取引市場「イントレード」では、オバマ大統領再選の確率が60.1%となっており、ロムニー氏の勝率(38.5%)に大きく水をあけている。
同サイトは、政治や経済、社会、自然現象などの予想に投資するデリバティブ(金融派生商品)取引サイトだ。手軽に賭けられることから、ウォール街よりも個人投資家の間で人気が高い。つまり、世論が色濃く反映されているといってもいい。一方、米金融規制当局は、大統領選への賭けを強く批判。特定のグループや個人が支持候補に大金を賭け、勝率を上げて世論を「操作」することもできるとし、選挙などの政治的行事をデリバティブの対象から外す方向で検討していると、米メディアは伝えている。
とはいえ、だとすれば、劣勢に立たされている大富豪のロムニー氏を支持するハイエンド層が、潤沢な資金を利用して勝率を上げても良さそうなものである。だが、ここのところ一貫して、オバマ大統領の勝率は60%台、ロムニー氏は30%台で推移しているところを見ると、ある程度の世論は読み取れるといえそうだ。
もちろん、オバマ大統領が、これほどの地滑り的勝利を収めるかどうかは疑わしい。だが、24日に発表された最新の米世論調査会社ギャラップの統計(21〜23日に調査)でも、大統領の支持率が、長らく続いていた40%台の半ばを脱し、再選の分水嶺といわれる50%を突破して不支持(44%)との差が開き始めるなど、民主党に弾みがつき始めたのは確かだ。
「今日、投票が行われるとしたら、オバマ大統領とロムニー氏のどちらに1票を投じるか」という質問では、現職大統領と答えた人が49%、ロムニー氏が42%と、これまでで最も両者の差が開く結果となっている。ロムニー氏は、前回(49%)より後退した。
ギャラップによると、ここにきてオバマ大統領の追い風となっているのが、庶民の財布を直撃していたガソリン価格の高騰が一服したことだ。平均4ドル近かった1ガロン(約3.8リットル)当たりのガソリン価格は米東部時間26日現在、3.83ドルにまで下がっている。ワシントンへの風当たりが少し和らいだのだろう。
オバマ優勢の裏には、指導力のなさやウォール街寄りの姿勢などから大統領に愛想を尽かしていた無党派層の支持が戻ってきたことも大きく影響している。今月11〜15日の調査では、無党派層のロムニー支持は45%、オバマは39%と、ロムニー氏が優勢だった。だが、最新調査では、オバマ大統領(45%)が、ロムニー氏(43%)を2ポイント逆転するに至っている。
こうした状況を映し出すかのように、無党派層の読者が多いと思われる『ローリングストーン』誌は、27日発売号で、いち早くオバマ大統領の長編インタビュー「闘いの準備が整った」を特集。大統領選から米反格差デモ、人種問題、懸案のシリアやイランの動向まで、オバマ大統領によどみなく語らせている(電子版25日付で先行掲載)。
オバマ陣営に勢いが出てきたのは、ガソリン価格の低下以前にも、失業率の改善など、経済指標の好転によるところが大きい。今年1〜3月のギャラップ「生活評価インデックス」(4月13日付)では、暮らし向きが良くなっていると答えた人は、昨年10〜12月の3カ月間より増えている。また、個人支出や雇用状況など、同社による別の調査(11日付)でも、3月から今月前半にかけて米経済に肯定的な評価を下した人は、景気後退以来、ほぼ最多に上っている。
オバマ大統領が『ローリングストーン』のインタビューのなかで、3年余りにわたって批判され、「世界で最も困難な仕事」を経験したことで、「さらに『面の皮』が厚くなった」と語っているように、現職としての強みも大きい。「就任当時より良い大統領になったと思うし、スタッフも、より効率的に仕事をするようになった」と、大統領は自信を見せる。
一方、株価の動きが大統領選の行方を決めるという声もある。
世界最大の米株式市場予測・分析会社エリオットウエーブ・インターナショナルの創業者、ロバート・プレクター氏などによる報告書「社会の空気と株価の実績、そして米大統領選――投票結果への社会経済的視点」(1月17日付、3月16日改定)によれば、現職大統領の得票数とインフレや失業の間には、顕著な相関関係はない。国内総生産(GDP)は大統領の支持率に大きな影響を与えるものの、株価という要素が加わると、その影響力は減る。再選により大きなインパクトを与えるのは、GDPやインフレ、失業といった経済指標よりも、株価に反映される「社会的ムード」だという。社会の空気がポジティブになれば、有権者は指導者への評価を高める、という理屈だ。この法則でいくと、堅調な株式市場は、オバマ大統領に有利となる。
とはいえ、不動産市況の長引く低迷や雇用情勢改善の鈍化などを嫌気し、先週のニューヨーク市場は続落した。25日、米連邦準備理事会(FRB)が追加金融緩和策の可能性をにおわせたことで、ここにきて盛り返したが、市場も有権者の心理も水物。もう半年、されどまだ半年、である。
「多くの米国人にとって、経済情勢は依然として悪すぎる」と自ら認めるオバマ大統領――。闘いはこれからだ。
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肥田美佐子 (ひだ・みさこ) フリージャーナリスト
Ran Suzuki
東京生まれ。『ニューズウィーク日本版』の編集などを経て、1997年渡米。ニューヨークの米系広告代理店やケーブルテレビネットワーク・制作会社などに エディター、シニアエディターとして勤務後、フリーに。2007年、国際労働機関国際研修所(ITC-ILO)の報道機関向け研修・コンペ(イタリア・ト リノ)に参加。日本の過労死問題の英文報道記事で同機関第1回メディア賞を受賞。2008年6月、ジュネーブでの授賞式、およびILO年次総会に招聘される。2009年10月、ペンシルベニア大学ウォートン校(経営大学院)のビジネスジャーナリスト向け研修を修了。現在、『週刊エコノミスト』 『週刊東洋経済』 『プレジデント』『ニューズウィーク日本版』などに寄稿。『週刊新潮』、NHKなどの取材、ラジオの時事番組への出演、日本語の著書(ルポ)や英文記事の 執筆、経済関連書籍の翻訳にも携わるかたわら、日米での講演も行う。翻訳書に『私たちは“99%”だ――ドキュメント、ウォール街を占拠せよ』、共訳書に 『プレニテュード――新しい<豊かさ>の経済学』『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』(いずれも岩波書店刊)など。マンハッタン在住。 http://www.misakohida.com
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