03. 2012年2月17日 10:24:52
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★いかにしてアラブ連盟は西欧帝国主義の道具となったかhttp://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-2048.html Finian Cunningham Global Research 2012年2月9日 これは、サイクス-ピコの中東レバント地域分割、あるいは、第一次世界大戦後のアラブ人に対する裏切り、あるいは、イギリス資本主義者によるメソポタミア石油窃盗等々の、過去何世紀もの伝統的植民地主義の策謀にぴったりの悪巧みだ。 ただ今回は、新植民地勢力を支援し、他のアラブ諸国を欺き、支配するのが、アラブ人なのだ。アラブ連盟に入ろう。 過去長い間、22ヶ国が加盟する組織は、自らの戦略的権益の為に、アラブ世界の政治的輪郭を描き換え、更にそれ以上を狙う、西欧列強にとっての便利な詐欺的偽装として浮上してきた。 2011年早々にアラブ世界中で始まった、深刻な大衆動乱は、自分たちの利益を存続されるために、民主的な果実を最小化させたり、政治地図を描き換えたりする為に、西欧植民地主義勢力によって、様々な形で、とりこまれたり、操られてきた。大変な災厄と苦難を押しつけてきた抑圧的政権を、まさに同じ勢力が何十年間も支持してきたことを考えれば、これは途方もない偉業だ。 西欧介入の主な動機は“保護する義務”(R2P=Responcibility to protect) という概念、つまりこれら列強の動機は人権と民間人の生命保護への配慮だということになっている。だがアメリカ合州国、イギリス、フランスや他のNATO加盟諸国が、過去十年間にわたり、主にイスラム教の国々で、犯罪的な侵略戦争を推進し、死亡者数は百万人を越え、犠牲者数は更に何百万人もにのぼることを考えれば、アラブの激変に介入する口実を考え出すに当たって、こうした列強は深刻な信頼性の問題に直面することになった。 アラブの内政に介入するという西欧の計略を覆い隠すのに、アラブの支持という見せかけ以上に好都合なものがあるだろうか? アラブ連盟が、この役割を果たしてくれたのだ。1945年に創設されて以来、同盟は、二つの加盟国しか除名していない。その第一弾が2011年3月のリビアで、第二弾が、8カ月後、11月に除名されたシリアだ。 表向き、アラブ連盟は、自称するところによれば、民間人の安全が支配者によって、ひどく抑圧されていることに対する、ワシントン、ロンドン、パリの懸念を共有するがゆえに、そのような対策をとる気になったことになっている。アラブ連盟の制裁措置が無ければ、西欧列強の介入は明らかに空々しく聞こえ、もろ旧態依然の植民地主義じみる。これこそ事態の現実なのだが、西欧の聖人ぶった合唱に、アラブ諸国の声が加われば、国際的な連帯という極めて重要なうわべが与えられるのだ。 手口はこんな具合だ。反体制派を武装させ、同じ連中を秘密の特殊部隊によって指揮し、狙った国の中で暴力と不安定を醸成する。政府軍が反乱を鎮めようとして動くと、軍を人権侵害で非難する。アラブ連盟は、そこでシリアを除名し、国際的な除け者の立場に追いやり、それが軍事攻撃を実施し、“保護する責任”という名のもとに残虐行為を働き、自分たちの権益のための政権転覆をたくらむ西欧列強用の口実になるのだ。これは当事国以外のアラブ諸国の支援を得たアラブの土地における新植民地主義だ。 リビアは、現在シリアで熱狂的に演じられているオハコの最終的な舞台稽古だったと見なすことができる。3月の他のアラブ連盟加盟国によるリビア除名が、7カ月のNATOによるリビア空爆の前兆となり、おそらくは何千人もの民間人の死亡を招いたことを想起願いたい。大企業が支配するマスコミによる報道管制のおかげで、現在はまだ完全に理解されてはいない犯罪だ。卑劣な犯罪には、やはりアラブ人の血まみれの手が関与しているのだ。 オハコが巧みに進められる中、アラブ連盟は、今や更により露骨な役割を引き受けているように見える。シリアで起きていることは、明らかに、バシャル・アル・アサド大統領の国軍と対峙する、いわゆる自由シリア軍の武装に、トルコとサウジアラビアが主導的な役割を演じて、外国政府によって醸成され、武装された暴動なのだ。 そして、先週、国連安全保障理事会で、アサド政府に手枷足枷をかけ、リビア型のNATO軍事介入のお膳立てを整えることを狙って動議を提出したのはアラブ連盟だった。ロシアと中国による拒否権行使で、当面その計画は頓挫させられた。同様の安全保障理事会による制裁が、もっともらしいR2Pという名目で、西欧列強がリビアに対する大空爆を実施するのに利用されたリビアの事例から、ロシアと中国が教訓を学んだことは間違いない。 西欧のイヌとしてのアラブ連盟の陰湿な役割は、国連でロシアと中国が拒否権を行使した後の、イギリス外務大臣ウィリアム・ヘイグの発言から得ることができる。 ヘイグは言った。“今日、ロシアと中国は簡単な選択に直面した。シリアとアラブ連盟の国民を支援するかいなかだ。自らの国家権益擁護の為、彼らは支持しないと決め、シリア政権と、シリア国民の残酷な弾圧の側についたのだ。” これは事実と真相に対する最高のイギリス流歪曲だ。そもそも、ロシアと中国が“シリア政権”側につくことに決めたのは、歪曲された西欧マスコミ報道にもかかわらず、アサド政権はシリア国民の支持を得ているように思われ、それゆえ主権の正統性も維持しているからだ。そして真面目くさったヘイグが語った“残虐な弾圧”は、リビアでもそうしたように、西欧や他のアラブ諸国が、シリアで熱心に醸成している暴力に関連している。 第二に、ロシアと中国の立場は、アラブ連盟自身のシリア監視団ミッションの立場と同意見だ。ミッションは実際に、暴力の大半は、民間人殺害に関与した"武装団体" と "武装反政府集団"によって行われていると報告しており、一方的な国家の残虐行為という西欧の商業マスコミの描写とは、真っ向から矛盾している。事実、監視団ミッションは、ミッションが、この西欧の虚報を暴露しつつあったがために、その後、アラブ連盟の事務局によってキャンセルされた[1]。だから、イギリスのウィリアム・ヘイグが主張しているように、アラブ連盟を支持しないどころか、ロシアと中国はアラブ連盟の監視団ミッションと協調して動いたのだ。シリア状況を正確に報告するという点で、現地の自国民を支援しなかったのはアラブ連盟幹部だ。 第三に、イギリス外務大臣がロシアと中国は、シリアを制裁するという動議で“アラブ連盟を支持しなかった”ことを強調したやり方に注目されたい。この数語がアラブ連盟の真の狙いの覆いを吹き飛ばす。 アラブ連盟が、前回のリビアの時と同様、西欧のシリア軍事侵略に対し、道徳・政治上の正当性というご印籠として機能しているからだ。ワシントン、ロンドンと他の西欧列強は、彼らの新植民地主義戦略を、アラブの人道的懸念という偽装で覆い隠し、アラブ連盟諸国は、自らの利己的権益のために、西欧諸国に愛想良くしているのだ。 この状況の全体像は、ある国の現政権が、西欧の戦略的権益にとって不都合と見なされている国で、体制転覆を実現するため、扱いにくいアラブ諸国民を操る、という西欧の策略だ。シリアが、西欧が支援するイスラエルの侵略に反対するパレスチナ人の権利を支持している主要国であるというのも、様々な不都合の一つに過ぎない。シリアが、中東でアメリカ帝国主義に反抗しているヒズボラの抵抗を支持していることも、理由の一つだ。ワシントンとその同盟諸国にとって、目前の最重要課題は、シリアそのものを超えている。 シリアのイラン・イスラム共和国との長年の同盟関係だ。アメリカとその同盟諸国は、テヘランの体制転覆という欲望で身悶えしている。アサドのシリアを破壊することは、かねてから西欧のイラン破壊計画の途中にあったのだ。西欧の照準線上にあるシリアの現在の運命は、おそらく、2010年2月の昔に、対イラン取引というワシントンの提案をシリアがはねつけた時点で確定されたのだろう[2]。 だが、アメリカと西欧の軍事的ロードマップは中東再編にとどまらない。ミシェル・チェスドフスキーが新著『第三次世界大戦シナリオに向かって』で説得力を持って説明しているように、ワシントンの軍事的ロードマップは広大なエネルギー産出地である中東と中央アジア地域の覇権を巡る世界支配を狙っており、ロシアと中国という強力なライバルを、そこから排除することが極めて重要なのだ。後者二国間と、シリアとイラン間の同盟は、西欧による体制転覆という現在の狙いの推力を増すばかりだ。 西欧列強の計略のために働く、アラブ連盟の裏切り行為に戻ると、連盟創立の教義の一つが、加盟国の“独立と主権の擁護”だというのは辛辣な皮肉だ。1945年、アラブ連盟の七創立国の一つであったシリアが、まさに仲間に背中を刺され、独立と主権を攻撃されているのだ。そして、最悪の裏切り者として登場したのは、アラブ連盟内のペルシャ湾岸アラブ諸国残党だ。他の湾岸協力会議諸国、クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦とオマーンと共に、アラブのリビアとシリア糾弾を率いて、西欧による侵略のための口実を造り出す上で、サウジアラビアとカタールが最も強く主張した。 しかしながら、これらアラブのカモ連中を動員することで、西欧の民主主義と人権を支持するポーズはほころびる。ペルシャ湾の絶対君主連中は、自国内の、民主主義を求めるあらゆる大衆運動に対しては、極めて弾圧的だ。王国、シェーク国、首長国、サルタン国等、様々な呼ばれ方をするが、これらの国々はいずれも、国民を奴隷と大差ない扱いをする王朝によって、厳しく支配されている。まさに彼らの国こそ、いかなる反対意見も許さず、王朝支配家族連中を公的に批判することは、法律で処罰できる犯罪だという、特にサウジアラビアとカタールの全く独裁的な支配者達が、シリア政府に大幅な政治改革を実施しろと迫るのは実にばかげている。 過去何年間にもわたり、サウジアラビアは自国国境内での平和な抗議デモ参加者を残忍に取り締まっていた。そして、付き添いなく自動車を運転したかどで女性が鞭打たれ、断頭による公開処刑が毎年行われているサウジアラビアが、昨年春、穏やかな民主主義支持デモを情け容赦なく鎮圧すべく、湾岸協力会議諸国の侵略軍をバーレーンに率いたのだ。バーレーンでは、サウジが率いる湾岸軍が、ワシントンとロンドンの支援を得て、街路や自宅で女子供の殺りくを続けている[3]。 これらのアラブ専制君主連中に対する報奨は、連中が自国民の弾圧に対して西欧の愛顧と支援を享受し続けられるということだ。更に、ペルシャ湾のどの専制君主より、はるかに広大な地域で、大衆からの尊敬を獲得し、影響力を持っている、シリア-イラン同盟を破壊するという西欧の計略に、スンナ派の支配者達は共感しているのだ。 西欧列強のシリア問題や他への介入の違法性と、計略を推進するための抑圧的アラブ諸国との笑止千万な同盟は、大企業が支配するマスコミが、意図的に欺瞞に対し目をつぶっているおかげでわかり難くなっているに過ぎない。主役連中、つまり西欧の犯罪的政府と手先のアラブ専制君主連中を率直に評価すれば、単刀直入に言って、趣味の悪い冗談だ。 Finian Cunninghamは、Global Researchの中東・東アフリカ特派員 cunninghamfinian@gmail.com
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