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[5日 ロイター] イラン中部のイスファハンで野菜商を営むハサン・シャラフィさんは、毎日家族が口にする食料の購入にも苦労している。イラン政府は核開発をめぐり西側諸国に強硬な姿勢を崩さないが、経済制裁はシャラフィさんのような一般市民に負担を強いており、その重圧はほとんど耐えられない水準に達している。
4人の子どもがいるシャラフィさんは、「物価は毎日上がり、暮らしにはお金がかかる。鳥肉などは月に1回しか買えない。以前は週2回は買えていたのに」と苦しい現状を語り、「時々死にたくなる。絶望だ。子どもたちを食べさせる十分な稼ぎがない」と嘆いた。
議会選挙を3月に控える中、イランはこの数カ月、欧米の経済制裁で大きな打撃を受けている。その原因である核疑惑をめぐっては、イラン側が平和的な開発だと主張するのに対し、西側は兵器利用が目的だと非難している。
イラン各地で話を聞くと、市民は経済状況の急激な悪化について不満を口にする。この問題は、アハマディネジャド大統領と強硬派のライバルとの溝を浮き彫りにしている選挙の争点になるとみられている。
アハマディネジャド大統領が再選した2009年の大統領選では、選挙に不正があったとしてデモが8カ月にわたって続いた。当局は部隊を投入してデモを鎮圧したが、その後に起きた中東の民主化運動「アラブの春」では、経済的な窮状への怒りに駆られた市民の反乱に政府はもろいという事実が示された。
「私の父は、30年間勤めた工場が先月閉鎖されたため失業した」と語るのは、北部ラシュトで数学を専攻する学生ベナスさん。現状には非常に悲観的だと話し、「物価の上昇が制裁のせいかは分からない。一つだけ分かるのは、私たちの生活が壊されているということ。未来に希望はない」と肩を落とした。
イラン指導部は、制裁により経済が打撃を被ってはいないと主張し、国民には連帯を呼び掛けている。最高指導者ハメネイ師は3日に行った演説で、制裁が国民を強くするとさえ語っていた。
<核問題よりもパン>
欧米は、経済制裁によってイランの民衆が指導部に反旗を翻すことを期待しており、国民の間には確かに不満が広がっている。核問題について市民に尋ねると、経済的窮状から注意をそらすのが目的と考えているかのような声も多い。
教師で3人の子どもの母でもあるミトラ・ザラビさんは、「自分は政治家ではないから核問題に関心はない。もうすぐ、子どもたちの食べ物や他の必需品を買えなくなるかもしれない」と生活苦を危惧。また、北部カシャーンで中国の輸入品を販売するレザ・ゾラビさん(62)も核問題に興味はないとし、「家族のためにパンを得る手段を見つける必要がある」と取り合わなかった。
イラン当局によると、同国の失業率は約15%。ただ、多くの仕事は収入が微々たるもので、生活を支えることができる仕事を持たない人の数はさらに多いとみられる。
東部マシュハドの広場で建設業の日雇い仕事を探すヘマト・ゴルバンさん(32)は、かつて西部ザンジャーンにある小さな果物店を営んでいたが、賃貸料や仕入れ価格の高騰で廃業に追いやられたという。
ゴルバンさんは「今日の稼ぎはない。どうやって家族を養えばいいのか。もうすぐ家族はホームレスになる。週に3─4日も仕事がないときもある」と訴えた。
オバマ米大統領は昨年12月31日、イランの中央銀行と取引する外国金融機関に対しても制裁を科すというイラン制裁法案に署名。これによって、イランと各国の原油取引は徐々に減少するとみられている。また、イランの大口取引先だった欧州連合(EU)も原油輸入禁止を決定し、他国も追随する動きを見せている。
<インフレと失業>
イラン当局が発表する年間インフレ率は約20%だが、エコノミストなどは実際は50%程度だと指摘する。パンや乳製品、米、野菜などの価格は高騰しており、同国の伝統的なパン「サンギャク」は、数カ月前に比べて30%以上値上がりした。
名前を明らかにしなかった西部ケルマーンシャーの主婦は、「心配だし恐い。米国などがさらに制裁を科せば、何が起こるのか」と語り、子どもたちの将来を気遣った。また、首都テヘランに近い中部カラジュで雑貨店を営むレザ・ハレギさんは、「制裁のせいで物価はほとんど毎日上がっており、市民の購買力は急降下している」と語った。
イランでは2010年以降、政府の助成金削減により、工場や家庭で使う電気、水、天然ガスの値段が3倍に急騰した。国内メディアによると、この影響でテヘランでは少なくとも1800の小規模工場が閉鎖に追い込まれた。
小規模事業者らは、通貨リアルの下落が物価高騰を招き、会社の運営が非常に厳しいと主張。北部サーリーで電気店の廃業を検討しているコスロ・サデギさんは、「ビジネスはほとんど死に体だ。皆、最低限のものしか買えない」と語り、「リアルの変動で値上げしなければならず、そのせいで市民はこれ以上何も買えない状態だ」と嘆いた。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K2CF20120206?sp=true
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