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ウィーン発 『コンフィデンシャル』
2011年11月25日06:00
当方は「『教会』をプレゼントします」(2011年11月16日)というタイトルのコラムを書いたばかりだが、今回は「教会」ではなく、「戦車」だ。プレゼントではなく、「売りに出す」というのだ。
オーストリアのダラボス国防相(Darabos)=写真(国防省サイトから)=は23日、保有する戦車1147台の3分の2を売りに出すという。それによって1700万ユーロを獲得する一方、保有のためにかかった維持費や修理代など年間経費1500万ユーロを節約できるという。要するに、国家財政の節約政策の一貫だ。
ダラボス国防相は、「戦車部隊が戦場で活躍する時代はもはや過去となった」と説明、2014年までに戦車部隊の約66%を売ったり、破棄するという。すなわち、1147台を保有してきた戦車部隊は3年後、389台に減少するわけだ。
具体的には、防衛戦車432台(SaurerA1)、戦闘戦車(Kuerassier)126台、山岳用戦車(M587)32台を全て売るか、破棄する。その上、最新型戦車(Leopard2A4)も114台から56台に減少させるというのだ(減少率51%)。
中立主義を国是とするオーストリアは冷戦時代、連邦軍を構築して国境線を守ってきたが、冷戦も終焉し、旧ソ連・東欧諸国が民主国家となった今日、「戦車部隊が戦場で敵国と対峙するといったシナリオはもはや考えられない。現代はサイバー戦争の時代であり、国際犯罪組織との戦いだ」(ダラボス国防相)というのだ。「近代戦では戦車は不必要」というわけだ。
社会民主党と国民党の2大政党の連立政権はダラボス国防相の戦車保有台数削減計画を基本的には支持しているが、国民党国防問題担当のクリコヴィッツ議員は「最新型戦車Leopardまで売りに出す必要はないのではないか」と述べている。
一方、野党「緑の党」ピルツ議員は「わが国の戦車を何処に売るのかが問題だ。多くはアフリカ諸国の独裁国家に払い下げる形で売られるのだろう」と指摘、オーストリアの戦車が独裁国家の軍隊に利用されるのではないか、と懸念を表明している。
ちなみに、隣国のドイツ連邦軍も今日、改革が進められている。国土防衛任務中心から海外派遣任務中心へとその主要活動目標を変更させる一方、徴兵制度の廃止などを実施してきた。オーストリアでも同様の動きが既に見られる。
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