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(回答先: 若者の 「オープンソース」 革命は世界を変えるか ウォール街のデモの拡大で ウォール・ストリート・ジャーナル 投稿者 愚民党 日時 2011 年 10 月 07 日 15:18:56)
【津山恵子のアメリカ最新事情】立ち上がった「沈黙の世代」の若者
2011年 9月 28日 13:49 JST
http://jp.wsj.com/US/node_315373#
ウォール・ストリート・ジャーナル
こんなデモは今までに見たことがない。
なにせ参加者のほとんどは、幼な顔の10代後半から20代前半。団塊の世代や、1960〜70年代の反戦運動を経験した世代など、「戦争反対」「自治体予算削減反対」「人種差別反対」などのデモで毎度おなじみの顔は全くない。いや、彼らは今までデモに参加したことすらないのだ。
ところが、「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠しよう)」を標語に、ウォール街から北に200メートルの広場に数百人が9月17日から野宿を続け、午前9時半の株式市場取引開始時と、午後4時の取引終了時の2回、段ボールのプラカードや太鼓、ラッパを持って、ニューヨーク証券取引所前を練り歩いている。
彼らはなぜここに集まっているのか。
「経済危機や貧困など、解決しなくてはならない問題がたくさんあるのに、企業の拝金主義が、こんなに僕らに消費を押し付けているのはおかしい。何とか仕組みを変えられるはず」(メイン州在住の男性、20歳)
「金融街など人口のわずか1%の人たちが世界を仕切っていて、99%の人々が苦しんでいるのはおかしい」(メリーランド州在住の男性、24歳)
「友達と15人でメイン州から来た。貧しい人も生きていかれるように、資本主義を変えるべき」(ベルギー人男性、19歳)
「父親が家を失い、自殺した。今の経済の仕組みを変えたい」(サンフランシスコ在住の女性)
このデモが変わっているのは、年齢層ばかりではない。参加者が訴えているのは、上記のように漠然とした「拝金主義のウォール街を占拠して、世界を変えよう」という主張だけで、次にどんな行動をするのか、課題をどう設定していくのかは毎日、「ジェネラル・アセンブリー」という話し合いで議論を同時進行させながら活動しているのだ。
私は18日夜、初めて広場に行って、週明けの翌朝、初めてウォール街でデモを展開する方法について決める合議を5時間見ていた。夜中ちかく、デモに行く「アクション班」と、今後の問題を考える「ディスカッション班」に分かれること、逮捕につながるような行為はせず、ウォール街の通勤者の歩行をさまたげないなどを議長団が提案。挙手による投票で満場一致で提案を承認し、「これがデモクラシーだ!」と胸を張った。
しかし、24日の週末は、全米からさらに若者が加わったため、1000人あまりの自発的なデモがニューヨーク市警と衝突し、100人近い逮捕者が出た。
現場にいたスペイン人のマリウスさん(19)によると、警察は何もしていない女性2人に催涙ガスを使用し、動揺した通行人も含む90人あまりが、警察が広げた赤い網の中に囲い込まれ、逮捕された。警察は、逮捕者を運ぶ車両が足りないため、通りかかったニューヨーク都市交通局のバスを止め、全員を警察署まで運んだという。
こうしたリスクを冒しても、参加者たちの表情はみな明るい。広場には市内や全米各地からの注文で届いたピザや水が常にある。組織はかなり確立されてきており、合議を導く「ファシリテーター班」、救急箱を持って歩く「医療班」、食料の寄付や調達を仕切る「フード班」がある。
なかでも、メディア班は重要な役割を果たしている。広場の真ん中に発電機を備え、常に数人がパソコンに向かい、合議やデモの様子をほぼ24時間オンラインの動画で流すほか、ツイッターやウェブサイトの更新から、警察の暴力を撮影したビデオを動画共有サイト「ユーチューブ」に貼付ける作業をしている。オンラインで情報を発しているお陰で、全米から若者が次々と参加し、さらに、当初は見向きもしなかった大手メディアが取材に来始めた。
このデモ活動はもともと、カナダのバンクーバーに本社がある環境問題を扱う雑誌「アドバスターズ」が、「9月17日にウォール街を占領しよう」と呼び掛け、それがツイッターなどのソーシャル・メディアを通して、若者層に広がった。
ニューヨークで広場の占拠に成功したため、シカゴ、サンフランシスコ、フィラデルフィアなど全米の10数都市でも「座り込み」が次々と始まっている。ツイッターでは、「シカゴで警察から歩道にいてはいけないと言われたが、法律に詳しい人の知恵を乞う」などと、情報交換もリアルタイムに進む。
「中東と同じように、デモを大きくすれば、何かが変わる」
母国スペインで失業問題を訴える数万人のデモに参加し、ニューヨークのデモの支援に来た女性はこう語る。
米国は中東と異なり、世界最大の経済大国で、言論の自由も保障され、失業率も中東や欧州ほど高くない。その米国の若者が立ち上がった。それだけ、目先の失業問題や経済危機の懸念だけでなく、将来の見通しの不透明感を、彼らが肌で感じ始めている証拠だ。彼らにどこまで何ができるのか、そして、ニューヨーク市警がいつ彼らを一掃するのか、はらはらしながら毎日広場をのぞいている。
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津山恵子(つやま・けいこ) フリージャーナリスト
東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、AERAに執筆した。米国の経済、政治について「AERA」「週刊ダイヤモンド」「文藝春秋」などに執筆。著書に「カナダ・デジタル不思議大国の秘密」(現代書館、カナダ首相出版賞審査員特別賞受賞)など。
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