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第2回 実は“2つの津波”が重なっていた 東北大学・津波工学研究室(2)
http://www.asyura2.com/11/jisin17/msg/886.html
投稿者 MR 日時 2012 年 2 月 28 日 01:36:55: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120220/227411/?ST=print
$global_theme_name>研究室に行ってみた
第2回 実は“2つの津波”が重なっていた 東北大学・津波工学研究室(2)
• 2012年2月28日 火曜日
• 川端 裕人


 2011年3月11日、日本の東北地方沖で発生したマグニチュード9の巨大地震による津波は、宮城県、岩手県、福島県の3県を中心に、東北地方、関東地 方の太平洋岸に大きな被害をもたらした。場所によっては波高10メートル以上、遡上高40メートル以上を記録したというから、想像を絶する破格の津波だっ たといえる。
 では、それはどのようにして引き起こされたのだろうか。
 基本中の基本として……津波の原因となりうるものには、3つ代表的なものがあるそうだ。

今村文彦教授(写真:藤谷清美)
 「地震と火山と地滑りがよくある津波の原因です。津波は英語でもtsunamiと言いますが、もともとサイスミック・シー・ウェイブ(地震による海の 波)だったんですね。1946年のアリューシャン地震のときに、ハワイが被害を受けました。その時の議論で、同じような波が、地滑りや火山噴火でも起きる のに、サイスミック(地震性)というのはどうか、というのがありまして。そこで日系の方が、日本で、実はtsunamiという言葉があって、これは地震で も、火山でも、地滑りでも、区別なく使われてきた、と紹介したのが始まりだそうです」
 と、tsunami(津波)という国際的に通じる名称の経緯とともに、津波の原因となりうる現象を教えていただいた。
 地震・火山・地滑りといった原因候補のうち、今回は明白に地震によるものだ。
 地震によって津波が発生するメカニズムについても色々な条件がある。
 まず、陸ではなく海で地震が起きなければならない。また、震源が深すぎると津波は起こりにくい。海底に直接の変動がなければならないからだ。被害をもたらすほどの津波を起こす地震の場合は、断層運動により海底が数メートル、時に数10メートルにわたって変動するそうだ。
 「東北地方や関東地方は、北アメリカプレートというものの上に乗っかっているのですが、その東側の海、ちょうど日本海溝の部分で太平洋プレートというの が、沈み込んでいるわけです。太平洋プレートが沈み込む際に、北アメリカプレートと接している部分も引きずられて沈み込むのですが、そこに溜まったひずみ が限界に達した時に、解放がおき、断層という破壊運動が起きて、地震が発生するわけです。このタイプの地震(プレート境界型)ですと、沈み込んでいる部分 が海底に近いので、海底も動きます。津波が発生する条件が揃っているんです。三陸沖地震や宮城県沖地震で、津波が起きやすい理由です」
 三陸沖地震や宮城県沖地震というのはよく耳にする有名な地震だが、個々の地震を指すというよりも、同じ場所、同じメカニズムで周期的に発生する地震のことを指している(特定の地震を指したいなら「明冶三陸沖地震」のように「いつ」の情報を付加した言い方になる)。
 3月11日に東日本太平洋岸を襲った津波の元になったのは、宮城県沖地震を基点として周辺の地震も誘発したタイプのものであり、さらに、津波地震(分岐 断層、海底地滑りなどの説もあるが)と言われる極浅部での地震も活動したと考えられている。つまり、多くの「なんとか地震」が同時に起きる、いわゆる連動 型の大地震だったのだ。今村さんは、前に紹介したコンピュータシミュレーションによるCGを見せながら解説してくれた。

(写真:藤谷清美)
 「──震源を細かく見ていくと、北は三陸沖の北部、南は茨城県沖に至る、少なくとも4つの領域で連動して発生しています。これまで考えられていたものよ りはるかに大きかったんです。我々の事前の評価では、宮城県沖地震ですと、連動タイプでもせいぜいマグニチュード8クラスなんです。それが今回マグニ チュード9ということで、地震エネルギーとしては数十倍、津波エネルギーでいうと大体数倍ぐらい、さらに、高さや浸水範囲も格段に大きなものになってし まったんですね」
 「──破壊した断層は南北に400キロメートルから500キロメートル、幅が東西に200キロメートル。そこで大体、平均10メートルぐらい水がブワッ と持ち上がったということになりますね。単純計算すると、この持ち上がった分の水は、1000立方キロメートルにもなります。そのうち2分の1くらいが東 日本の太平洋岸に来てしまったということなんです」
 1000立方キロメートルの2分の1というと、500立方キロメートル。ちなみに、日本で最大の年間流出量を誇る信濃川の年間流出量は、およそ16立方 キロメートルだ(信濃川河川事務所)。つまり、信濃川が1年かけて海に注ぎ込む水の、30倍以上の水が一気に押し寄せたことになる。
 津波は、普通に海で見るような「波」とは根本的に違う。「波」だと思っていた人は、心底驚いただろう。短周期で寄せては返すのではなく、だーっと、海か ら押し出されるように水が迫ってきた。これは海から水の塊が一気に押し寄せ、洪水のように長い時間続くもので、普通の波とは全く違う。もちろん最高点まで 遡上すればそこからは引いていくし、第2波、第3波もあったのだが、周期が長く、また水量も破格なのだから、「波」とは別物だと考えた方がいい。今回の津 波は規模という点でも、日本での近代的な観測史上、最大であったわけで、「見た目」も「実際」の凄まじさもいやがうえにも増す。
 「この津波の規模を説明するには、2つのことがまず言えます。広域な浸水域。もう水が至るところに入ってきていた。それから、甚大な波力、波の力です。 今回、コンクリートの防波堤、防潮堤も破壊されてしまいました。これは防災をやっている我々にとってもちょっと想定できなかったことで、それだけ非常に強 い力が作用してしまったと。この2つになると思います」
 さらに細かく見ていくと、この津波ではじめて観察された、特別な現象もあるという。今村さんは、地震発生時から、釜石沖で波形を監視していた圧力センサー時系列データを見せてくれた。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120220/227411/image001.jpg
(画像提供:港湾空港研究所)
 「日本で地震が発生して津波が出れば、リアルタイムで監視できるようになっているんですね。14時46分、地震でちょっと揺れて、その後、水面がこう、 ガーッと上がります。マグニチュード9でかなり大きな波ですので、津波の周期も長くて、押し波だけで30分もあるんですよ。で、次にまた引き波が30分 待って来て、それを繰り返すと。ところが今回の場合は、通常の長い周期のほかに、こういうふうに周期の短いシャープな成分が見られたんです──」
 今村先生が、指さした部分では、地震発生後、しばらくして周期の長い2メートルほどの「波」が発生しており、さらにその後、はるかに短い周期の波が上乗 せされる形で、3メートルほどのピークを示していた。なお、沖で2メートル、3メートルということは、沿岸に近づいた時点で、平均しても2倍から3倍に なっているそうなので(当然、最大値はもっとすごくなる)、「大したことない」とはゆめゆめ言えないと、付記してしておく。
 「ゆっくりの周期ですと、水面が上がって水圧は確かにかかるんですけど、動きによる圧力、つまり動圧は、それほどでもないんです。ところが周期が短いと その動圧が作用して、防波堤・防潮堤を破壊するほどに力を増してしまったんですね。こんな短い周期の波が、基本的に長周期の津波に乗るのは、これまででは じめて観測されたことなんです」
 世界的に観測史上初。もちろん、観測網が稠密(ちゅうみつ)な日本で起こったからこそ捉えられたのであって、過去に他にも事例はあったのだろう。しかし、それをきちんと観測できたのはこれがはじめてなのだ。
 では、基本的に長周期である津波に、短周期の津波が上乗せされるメカニズムはどうなっているのだろう。
 「それは、今まさに議論をしてます。まず、太平洋プレートが我々の住んでいる日本列島の下のプレートに沈み込み、陸側のプレートを引っ張り込んで、それ が耐えきれなくなったところで、破壊が起こり、跳ね上がってくるというのが津波を起こす地震の平均的な発生メカニズムなんですね。ところが、浅いところに あるプレート境界の先端で、特別な地層があるかもしれない、と。柔らかい層ですとか、より跳ね上がりやすい成分で出来ている部分があるのではないか。もう 一つは、プレートが沈み込んで、陸地側のプレートを引っ張ってくるとき、傾きはせいぜい20度程度なんですね。ところが、この主断層に分岐が時々入ったり します。分岐が入ると、角度が急になり、幅が短くなります。同じ2メートル断層がずれたとしても、ポコッと急に上がる形になるんですね。それが第2の可能 性です。第3ですが、こういうところで海底地滑りみたいなものが起きたら、局所的に津波が発生するかもしれない──」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120220/227411/image002_s.jpg
「分岐断層」が存在すると、短周期の津波が起こる可能性がある。
 特別な柔らかい地層(そういう場所で起きた地震は、津波を誘発しやすく「津波地震」と呼ばれるそうだ)、分岐断層、海底地滑り、といった可能性の中で、どれとは特定できないものの(全部起きた、ということだってありえる)、津波研究に新たな問いが課せられたといえる。
 ちなみに、メディアや動画サイトで紹介される津波のショッキングな映像の中で、とりわけ、短周期の「上乗せ分」を印象づけるものとして、海上保安庁の船舶が撮影した動画がある。沖合で津波に遭遇した巡視船が、それを乗り越える瞬間を捉えたものだ。
 「もう撮影開始の時点で、第一段階の津波は来てるんですよ。でも、普通の津波は周期が長いせいで、広い水面に広がって、沖ではわからないんですね。それが通常なんです。沖合で分かる津波って、通常じゃない。アブノーマルですね」
 海上保安庁の船舶の船橋で撮影された動画は、沖合にもかかわらず、巨大な「うねり」に似た「波」を乗り切る様子がつぶさに記録されている。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=BNrap8ymfbI
 ぼくは、この映像を、ほかの津波映像と並置して、単に「なんと津波は恐ろしいのだろう」という目でみていたが、今村さんの説明を聞いた後、今回の津波の異常さを示すひとつの特徴として、やっと理解できたのだった。
つづく
今村 文彦(いまむら・ふみひこ)
1961年、山梨県生まれ。工学博士。東北大学教授。東北大学附属災害制御研究センター・センター長。専門は津波工学および海岸工学。学生時代から津波の 災害対策に関心を寄せ、東北大学工学部助手、同工学研究科附属災害制御研究センター助教授を経て、現在は津波工学の最先端の研究教育と地域の防災力の向上 に幅広く貢献している。自然災害学会会長、内閣府中央防災会議専門調査会委員など各種委員も務めている。
(このコラムは、ナショナル ジオグラフィック日本版公式サイトに掲載した記事を再掲載したものです。『ナショナル ジオグラフィック日本版』2012年2月号の特集「津波 そのメカニズムと脅威」でも、世界の津波の記事を掲載しています。フォトギャラリーもあるWebでの記事の紹介はこちらでお読みいただけます)

研究室に行ってみた
世界の環境、文化、動植物を見守り、「地球のいま」を伝えるナショナル ジオグラフィック。そのウェブ版である「Webナショジオ」の名物連載をビジネスパーソンにもお届けします。ナショナル ジオグラフィック日本版公式サイトはこちらです。
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川端 裕人(かわばた・ひろと)
1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)など。サッカー小説『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン──銀河のワールドカップ・ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合で「銀河へキックオフ」としてアニメ化される。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider
以前連載していた『川端裕人のゆるゆるで回す「明日の学校」体験記』はこちら

 

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コメント
 
01. 宮川慶子 2012年2月28日 21:34:42 : 1cPNZ2zqSBJzE : gtJnPP3low
 学者の言動が信じられるのは日頃の言動

02. 2012年2月29日 13:16:36 : Pj82T22SRI

日本人は、最近は思考が変に欧風化して「災害と戦い、防ぐ」こと「国家が国民を守ること」が当然みたいになったが

本来は家などインフラには執着しなかった(執着するほどの家をもっていたのは極一部)し、お上が助けてくれるとは誰も思っていなかった
(お上は搾取するだけ)

だから、数百年に一度、どんな巨大な津波が来ても、逃げられる人間がてんでんこで逃げる(死ぬものは死ぬ)
残ったものが繁殖して再建する
を繰り返してきたわけだ

別にそれで、特に問題もなかった

経済でも災害でも、下手にコントロールできるのが当たり前だと考えるから、
皆、不安になって依存的になって、頭がおかしくなるのだろう


03. 2012年2月29日 19:28:46 : 8DkJeiOqc2
02が正しい。

政府が責任もって災害対策するなど、所詮増税の口実。


04. 2012年2月29日 20:45:38 : 4YrEk3v0kE
>「もう撮影開始の時点で、第一段階の津波は来てるんですよ。でも、普通の津波は周期が長いせいで、広い水面に広がって、沖ではわからないんですね。それが通常なんです。沖合で分かる津波って、通常じゃない。アブノーマルですね」

まさに人工地震!
どんだけ爆弾使ったのか、恐ろしいことをやってくれたよ。


05. 2012年3月01日 00:17:26 : hVmNLl5i02
アブノーマルだかなんだかしらんが、嘘ばかり言ってないで早くゲロっちまえっよ、インチキ教授さん。核使ったんだろって!後世真実が広まった時、オタクの子孫はかわいそうだ。

06. 2012年3月01日 18:22:15 : DU55WqXQGo
 海面下では次の津波の第一ステージに入ったって事ですか

備えあれば憂いありですね。


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