http://www.asyura2.com/11/jisin17/msg/863.html
Tweet |
巨大地震が来る前に小さな地震を人為的に起こすことでエネルギーを解放する――。東海大学などの国際研究グループが中央アジアのキルギスとの間で、地震制御の可能性を探るための研究に乗り出した。どんなアイデアなのか。
キルギスの首都ビシュケク郊外、天山山脈の麓にロシア科学アカデミー傘下の研究所がある。この付近は世界でも有数の地震地帯。同研究所は約30年前から地中に電流を流し、地震発生前後の地下構造を調べている。
類似の調査は日本でも火山活動の監視などに試みられているが、キルギスでの実験の規模は桁外れに大きい。約4キロ離して埋設した電極をケーブルで結び600〜800アンペアの大電流を流す。地下構造の変化を地下30キロの深さまで調べられるという。
注目されるのは電流を流すことで地震が誘発されたと主張している点だ。2日後くらいから地震が増え、数日かけて収まっていくという。地震は、流した電流のエネルギーの100万倍ものエネルギーがある。説明では、地中にたまったひずみが、通電による刺激で解放されるらしい。
旧ソ連時代からの実験は軍事目的だったこともあり、最近まで実態が知られていなかった。昨年11月、国際測地学・地球物理学連合(IUGG)傘下の研究グループがロシア科学アカデミーとの間で、キルギスでの研究協力の取り決めを結んだ。これを受けて日本とフランスのグループが地中の電位を常時測定する観測装置を現地に設置してデータを取り始めた。
ダムができると付近で地震が増えたとする話などから、地中に水を入れると地震が誘発されることが分かっている。地面に穴を掘って注水することで人工地震を起こすというアイデアもあるが、地中深くまで穴を掘ることが難しい。
「その点、電流なら地上や海底付近から地中深くまで流せる」。共同研究の中心となっている東海大学海洋研究所地震予知研究センターの長尾年恭センター長はこう説明する。
地震の制御につながるかどうかは今後、実験データを十分に集める必要がある。発生場所や仕組みが違う全ての地震に当てはまるかどうかもわかっていない。
長尾氏は南海地震など将来予想される巨大地震を念頭に「人為的にゆっくり地震を起こしてエネルギーを少しずつ解放できるかもしれない。地震制御の研究には大きな可能性がある」とみる。
(編集委員 吉川和輝)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。