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緊急特集 完全保存版 東京「震災避難マップ」で我が身を守る 巨大地震からどうやって逃げる、どこへ逃げる
2012年02月18日(土) フライデー :現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31843
第2回 文京区・新宿区・豊島区・中野区杉並区・練馬区・板橋区・北区編
「火災危険地帯」を知ることで"危ない広域避難場所"が一目瞭然に!さらに「崩落危険地帯」も随所にあることを知っておきたい
東京23区を城南地区、城北地区、下町地区の3つに分け、震災時における火災危険度と各広域避難場所をマッピングした「東京震災避難Map」。今回は、城北地区(文京区、新宿区、豊島区、中野区、杉並区、練馬区、板橋区、北区)を見ていくことにしよう。
先週号で紹介した城南地区の震災避難Mapでは、臨海部特有の災害として、「津波」によって、いくつかの避難所や幹線道路が浸水する可能性があることを指摘した。同様に、城北地区でも特有の災害の危険があると話すのは、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏だ。
「東京都の防災計画には、津波と同様、がけ崩れや崩落などの災害は想定されていません。しかし、東京には急勾配の坂や崖などが多く、文京区にある坂の中には江戸時代の石積みがそのまま使われている箇所もあります。今まであまりスポットが当たっていませんが、地震の際には崩落の危険性もあるのです」
そこで本誌は、東京都建設局がまとめた「土砂災害危険箇所図」を参考に、飯田橋~四ツ谷~赤坂にかけての「崩落危険地帯Map」を作成、併せて掲載した。地図上に黒枠で示したエリアは、(1)傾斜度が30度以上、(2)高さ5m以上、(3)周辺に人家が5戸以上または公共物がある、という条件をすべて満たした「急傾斜地崩壊危険箇所」と呼ばれる場所だ。この千代田区を中心とした地域だけでも、外堀通り一帯や四ツ谷と赤坂見附周辺に崩落危険箇所が集中している。しかも、ほとんどが主要幹線道路沿いにあるため、地震によって崩落すれば、避難経路が寸断されることにもなる。崩落の恐ろしさを前出・渡辺氏が解説する。
「下からドン!と突き上げる直下型地震が来た場合、古くてもろい石積みは最初の揺れで簡単に壊れてしまう。持ちこたえたとしても、余震で崩れて避難しようとする人たちを直撃する恐れがある。落下物と同じくらい危険なのです」
紙幅の都合で、崩落危険地帯については、一部しか掲載できなかったが、東京都建設局のホームページでは、都内すべての「土砂災害危険箇所図」を公開している。広域避難場所に避難する際に崩落に巻き込まれることのないように、自宅や職場周辺の危険箇所を確認しておくことをお勧めする。
一方、1ページの「東京震災避難Map」を見ると、火災危険度の高い地域は中野区、北区に集中しているのが分かる。また、文京区、豊島区、新宿区でも千駄木五丁目や長崎三丁目、大久保二丁目など、住宅密集地では火災危険度が最も高いランク5になっている。
この震災避難Mapと先ほどの崩落危険地帯を合わせて見ると、どこに、どうやって逃げるべきかが見えてくる。例えば講談社(文京区)の場合、最も近い広域避難場所は北にある「護国寺」だが、その北側には火災危険度5の東池袋五丁目が広がっている。次に近い広域避難場所は東の「お茶の水女子大学・教育の森公園」だ。この周辺は火災危険度こそ低いが、お茶の水女子大学へ向かう坂道は崩落危険箇所となっていた。そこで、護国寺前から春日通りに抜けて、同大学に向かうのが、より安全な避難経路となる。
前出の渡辺氏が言う。
「気になるのは、広域避難場所の周囲に火災危険地帯が広がっていることです。特に中野区は最悪で、環七沿いや早稲田通り沿いで、大規模火災が発生する可能性が高く、中野区役所はまさにその真ん中にあるわけです。北区にあるいくつかの避難場所も同じです。関東大震災で多くの人命を奪った火災旋風≠ェ起きたら、避難所の周りが火の海になることは確実です。こうしたエリアでは、広域避難場所に逃げても、決して安心とは言えません。小さな避難所はさらに危険です(各区の主な避難所・避難場所は表を参照)」
火災旋風とは、大規模な火災において発生する竜巻状の火柱のことで、その温度は鉄の沸点(2863℃)を超えることもある。最近では、'03年にアメリカのカリフォルニア州で起きた山火事で観測されている。関東大震災では、人々が避難していた陸軍工場の跡地(現墨田区・横網町公園)を襲い、約4万人が死亡している。
地震火災によって甚大な被害が予想される地域では、どのような対策を進めているのか。中野区災害対策課に聞いた。
「街の不燃化対策はなかなか進んでいません。住民のライフサイクルの中で家を建て替える時期がなかなか来ないというのも理由の一つです。区自体が狭く、避難所となるような建物も限られているので、付近の小中学校を避難場所に指定する以外の方策は取れていません。震災時には、火災が起きていなければ、それらの避難所に行ってもらい、火災が起きたら、燃えていない方向にある避難所へ向かってもらうように指示を出します。どちらかと言うと、初期消火対策を進めているので、火災が起きた際の具体的なシミュレーションは行っていません」
具体的なシミュレーションもせずに、「指示」など出せるのか大いに疑問だ。つまり、火災への対策は、ほとんど手付かずの状態なのである。
城北地区の特徴として、新宿、池袋という繁華街を抱えていることも挙げられる。こうした繁華街には、居酒屋や風俗店が混在する雑居ビルが林立し、ひとたび火災が発生すれば、'01年に多くの死傷者を出した新宿歌舞伎町雑居ビル火災のような悲劇が、大々的に発生する可能性が極めて高い。建築防災学が専門の東京理科大学・菅原進一教授が言う。
「実際は開かない偽装窓にしているビルが多く、防火扉は見栄えが悪いと、耐火性のないおしゃれなドアに替えてしまっていたりする。しかも、最近は防火管理の基準が厳しくなったとはいえ、消防署のチェックでも8割程度しか達成できていないビルは当たり前。中には、チェック項目の3~4割しか合格していないビルもあるのです」
繁華街には別の懸念もある。震災が起きた場合の治安の悪化だ。新宿区危機管理課安全・安心担当は、「震災発生時には区の活動も限られたものとなる。防災活動の中で情報収集を行い、警察にパトロールの強化を依頼する」と言うが、東日本大震災でも、震災後、ATM荒らしや無人の家屋に入り込む火事場泥棒が横行した。ましてや、物と人が溢れる繁華街では、人々が暴徒化し、略奪行為に及ばないとも限らない。
地震が起きた時のシミュレーションは自分でするしかない。掲載した地図を参考に、震災直後の東京を想像し、生き延びる方策を見出してほしい。
「フライデー」2012年2月24日号より
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