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地震の避け方、かわし方(1)・・・東海地震がなぜ注目されたか?
http://takedanet.com/2012/01/post_4d9b.html
平成24年1月31日 武田邦彦(中部大学)
物事はそれほど偶然ではなく、それぞれに理由があるものです。特に、かなり大きなことはそれなりに理由を見いだすことも大切です。
「東海地震が来る」と言われて40年。その間に、阪神淡路大震災と東北大震災の2つが日本列島を襲い、今、また関東に大地震があると言われています。なぜ、東海地震が来なくて、阪神と東北に大地震が来たのか? それも1000年に一度というような大規模な地震が予測できなかったのか? それほど予測精度が悪いのに、なぜ「次回だけは予測できる」のか? ジックリと考えたいと思います。
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東海地震がすぐにでも来ると言われる少し前、松代群発地震というのがあり、それがキッカケとなって「地震予報を出そう」ということになりました。このような時に世論を作っていくのは、普通は「若手官僚―東大教授―マスコミ」の連合軍です。
最初はそれほど悪くはなく、「日本は地震国だから、地震予測を進めなければならない」、「仮に地震が予測できたら、人命ばかりではなく、経済損失を少なくする上でも貢献できる」ということで前向きの議論になります。
ところがその直後に問題が発生します。それは「予測を誰がするか」ということです。政策の原案を作るためには「官僚と東大教授」という組み合わせで行われます。日本は議員の政策立案力が無く、官僚がほとんどをやっていますし、東大教授だけが優れているのではないのですが、東京にいることと、官僚と同じ大学(多くは東大)の出身で個人的に知り合いが多いということがその理由となります。
「予測をどのようにするか」という検討段階に入りますと、「全国を一律にやるのも予算がかかる(官僚)」、「東海地震が近いからそこを重点的にやったらどうか(東大)」となって、「東海地震の予知からはじめ、東大がそれを担当する」という筋書きができます。
ここに大きな問題が発生していますが、議論がまともですから、反対もなく、マスコミも特に不思議と思わずに報道します。
「松代群発地震も起こり、社会は地震に対する関心が深くなっている。かつて関東大震災で大きな被害を受けた日本だから、世界に率先して地震予知を進めなければならない。地震学者によると太平洋から日本列島の下に潜り込んでいるプレートのひずみが大きくなっており、次の巨大地震は東海地方がもっとも確率が高い。」
実に論理が通っていて、この報道に反対する一般の人はほとんどいませんでした。それにNHKなどの「よい子報道」を優先する報道機関は「地震予知の研究が始まる」と報じ、それを東大教授が「近々、起こると考えられる東海地震の構造」を解説、多くの人が「プレート」、「エネルギーの蓄積」などに話題が集中します。
このとき、「なぜ、東海地震なの?」と疑問を呈すると、袋だたきに遭います(この瞬間が原発事故も含めて日本の大きな問題を生じる瞬間なのです)。袋だたきにする人は、政府、東大教授、NHK、権威に追従する性質をもっている知識人、「常識」を重視する人、「みんなで渡れば怖くない」と考える人などです。
しかし、この瞬間に「なぜ、東海なの?」と疑問を呈することが、その後、40年にわたるムダなお金、阪神・東北の地震の犠牲者を少なくすることができる大きなポイントと思います。
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学問を議論する「学会」が、オープンで、どんな発表でも、どんな批判でも許されているのは、人間が難しいことに取り組むときには、オープンで自由な議論が必要であるという経験によっています。「権威のある人」が「正しい」ということではなく、山片蟠桃が言う「大知(多くの人の知恵の方が少数の優れた人の知恵よりレベルが高い)」を実践する方法が学会です。
誰でも参加でき、誰でも発言でき、かならず記名、身分をハッキリさせて議論するというのが絶対に必要なのです。
日本での地震予知、予知研究のはじめの段階で「疑問を呈する人」と「それを取り上げるマスコミ」があったら、阪神淡路か東北大震災の一つぐらいはある程度の警告ができ、それに基づいた対策がとられ、犠牲者を減らすことができたと思います。
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なぜ、東海地震が来ると言われたのか? それは「東大が研究費をもらえるから」であって、「科学的に東海地震が先に来る」と言うことではないのです。官僚の東大教授の議論では、東大に研究費をだすという以外の結論にはなりません。まさか政策準備の段階に席に着いていない東北大学や大阪大学には研究費が行くはずも無いからです。
現在でも、それは同じなので、まず第一に阪神淡路大震災と東北大震災を予知できなかった東大関係の地震学者へ研究費を出さないようにすることでしょう。そして、第二に地震学会を再構築して、自由な雰囲気で議論するようにすることですが、そのためには「役に立つ研究」を止めて「研究費を一律に配る」ということに変更する必要があります。
そして第三にNHK、マスコミ、国民が「決定された経過がオープンでないものは、疑い、批判を試みてみる」という習慣をつけることでしょう。これまでの失敗を反省し、あるいは批判するとともに、将来のことを考えてより進んだ社会にする必要があります。
特に、阪神淡路大震災と東北大震災で犠牲になった方々の無念を晴らすためにも、「なぜ、東海地震の前に2つも大地震が来たのか?」を問わなければなりません。
音声
2012.01.31 地震の避け方、かわし方(1)東海地震がなぜ注目されたか?
http://www.youtube.com/watch?v=AL3eXci5qgY
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