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富士と生きる:世界文化遺産候補の風景/2 火山監視、休む時なく /山梨
◇震度6強、山頂近くで地震活発化
窓のほとんどない部屋で、数人の職員がパソコン画面に表示された無数の数字や波形データを真剣な表情でのぞき込む。パソコンの後ろには4台の大型ディスプレーが並び、各地の山を生中継で映し出す。東京都千代田区のオフィス街の一角。気象庁の2階にある「火山監視・情報センター」は、関東から九州にかけての19火山を管轄する、火山監視の最前線だ。彼らの視線の先に富士山があった。
活火山は現在、国内に110カ所。うち47カ所が常時監視火山として位置づけられ、4カ所のセンターで監視されている。富士山もその一つだ。
富士山周辺には、(1)地震計(2)山体の膨張を測る全地球測位システム(GPS)(3)傾斜計(4)空振計−−などの機器が設置され、静岡県御殿場市には、山体を映すカメラが置かれている。
観測されたデータは電話線を通じてリアルタイムで送られ、約10人の専門家たちが24時間体制で分析を続けている。時折アラーム音と自動音声が鳴り響き、データの変異を知らせた。富士山が噴火する日は来るのか。監視が休まることはない。
◇ ◇
「生きているうちに富士山の噴火に出くわすことはないと思っていたが、『ついに来たか』と思った」。昨年3月15日午後10時31分。同県富士宮市で震度6強(マグニチュード6・4)を観測する地震が発生。静岡大学防災総合センター(静岡市駿河区)副センター長の小山真人教授(52)は、同市内の自宅で揺れを感じ震源を確認したときの衝撃を振り返る。震源の深さは約15キロ付近。「富士山のマグマだまりがあるとされる場所の、ちょうど真上の天井部分だった」
火山学や地震歴史学が専門。01〜04年には、「富士山ハザードマップ検討委員会」の委員として過去の噴火例などを調べ、ハザードマップを完成させた。
地震直後、小山教授は、富士山近くに住む知人に電話したり、ツイッターで呼びかけたりして、情報収集にあたった。「異常な音が聞こえないか、山から噴気などは見えないか」。夜間だったが、多くの人から反応があった。幸い、特異な現象の報告はなかった。
しかし、小山教授は「周辺で大地震が起きると富士山の噴火を促す可能性がある。数年後に影響したとみられるケースもあった」と指摘し、数年単位で警戒する必要性を説く。
実際、気象庁の担当者は「3月15日以降、富士山周辺の地震活動は平年より増えたままで、それ以前のレベルに戻っていない。こんな大きな地震が、山頂のすぐ近くで起きるとは」と緊張感を隠さない。
美しい山体が人々を魅了し、湧水(ゆうすい)など豊富な恵みをもたらしてきた富士山。先人たちが恐れてきた火山としての姿は、決して過去だけのものではない。【樋口淳也】=つづく
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◇富士山噴火
延暦、貞観、宝永の各時代に大規模噴火を起こした。最後の噴火とされる宝永の大噴火(1707年)では、南東斜面に新たな火口(宝永火口)が開き、約7億立方メートルのマグマが噴出した。火山灰が江戸にも降り注ぎ、農地や山林には甚大な被害を与えた。噴火49日前には、東海から九州にかけ震度6〜7の地震や津波を記録した「宝永地震」が起き、「地震が噴火の引き金となった典型例」(小山教授)とされる。
毎日新聞 2012年1月3日 地方版
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