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“巨大地震”神奈川に危険な予兆…最大で“震度7”も
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120104/dms1201041543005-n1.htm
2012.01.04 夕刊フジ
伊勢原断層
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/photos/20120104/dms1201041543005-p1.htm
元日の午後からやや強い地震に見舞われるなど、年が明けても列島の地下は不気味に動いている。前回の東日本大震災といわれる大地震が発生した9世紀は全国各地で強い地震が相次いだため、一連の活動はしばらく続きそうだ。そんななか、「3・11」後、発生リスクが急上昇したとみられる「ある断層」に専門家が注目している。場所は神奈川県で、過去にも最大震度7で首都圏に壊滅的な被害をもたらしただけに警戒心を強めているのだ。
のどかな寝正月に水を差された。1日午後2時28分ごろ伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震では、東京23区や宮城県岩沼市など東北から関東地方にかけての広い範囲で震度4を観測。規模はマグニチュード(M)7・0と大きかったが、370キロ(推定)という震源の深さに救われ、大きな被害はなかった。
いったい、日本列島周辺ではいつまで活発な動きが続くのか。1000年に一度といわれる東日本大震災は、“前回”の発生後にも大地震が相次いでいたそうだ。『地震の日本史』(中公新書)の著書がある地震考古学の第一人者、寒川旭氏は「869年、東北地方を中心に大津波をともなう巨大な貞観(じょうかん)地震が発生した。880年には中国地方で出雲地震、887年には津波で大被害を出した南海地震があった。現在は大地震が相次いだ9世紀と似ているのかもしれない」と指摘した。
なかでも寒川氏が注目するのが、貞観地震の約9年後に関東南部で発生した大地震だ。菅原道真らが編纂(へんさん)した『日本三代実録』にはこの地震の被害が記されている。現在の神奈川県や東京都にあたる相模国、武蔵国ではすべての建物が壊れ、地面は落ち込み、道路は不通、多数の圧死者が出たという。地震の規模はM7・4、最大震度7と推定される。寒川氏は「神奈川県伊勢原市を南北に走る伊勢原断層か、相模トラフ(海底盆地)周辺で発生したとの説がある」と解説する。
特に警戒すべきは直下型地震を起こす伊勢原断層だ=図。伊勢原断層は、相模原市の西部から厚木市、伊勢原市などを経て、平塚市北部に至る活断層。長さ約21キロで、ほぼ南北方向に延びている。政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、伊勢原断層がM7・0の地震を起こした場合の予測を立てている。これによると、震源に最も近い伊勢原市、厚木市で震度7。相模原市、平塚市の一部で震度6強の激しい揺れ、横浜市や都心部など首都圏の広い範囲で震度5強−5弱の強い揺れに見舞われる。
神奈川県では伊勢原断層について、「次の活動まで千数百年以上の時間がある」と評価。地域防災計画に伊勢原断層での地震をもとにした被害想定は盛り込んでいない。
ただ、似たタイプとして県西部で発生するM7・5は想定している。人的被害は死者1500人、重傷者9770人。全壊の建物11万7600棟で、経済的な被害は約14・1兆円に達する。伊勢原断層の周辺には相模原市(71万人)、平塚市(26万人)、厚木市(22万人)と人口の多い自治体が分布するだけに、被害は県の想定より大きくなるとみられる。
「伊勢原断層を震源とする地震が必ず起きるかどうかは分からない。ただ、東日本大震災の影響を受け、首都圏直下のどこかで大きな地震が発生する危険性は高まっている」と寒川氏。9世紀の大震災では発生10年以内に神奈川直下の大地震が起こったが、今回はどうなるのか。
■さんがわ・あきら 独立行政法人「産業技術総合研究所」招聘研究員。1947年、香川県生まれ。地震考古学の第一人者として知られる。東北大大学院修了。理学博士。京都大防災研究所客員教授などを歴任した。『地震の日本史 増補版』(中公新書)、『秀吉を襲った大地震』(平凡社新書)など著書多数。
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