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次はここで巨大地震「M9」が起きる!専門家が想定域など分析
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20111227/dms1112271543016-n1.htm
2011.12.27 夕刊フジ
M9級地震の想定震源域
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/photos/20111227/dms1112271543016-p1.htm
東日本大震災によって、複数の地震が連動して起こるマグニチュード(M)9・0級の超巨大地震が注目された。東北沖以外でも、こうした連動型地震の発生が予想される場所は静岡沖〜宮崎沖などいくつかある。いずれも海域のため、3・11のような大津波への警戒が必要だ。内閣府の有識者会議でも27日、想定する最大級の地震の震源域について対象区域を拡大する中間報告をまとめたが、本紙では専門家の分析をもとに、次なるM9の想定域と対策を検証した。
3・11に続く日本でのM9地震について想定域を示したのは、国立の総合研究大学院大名誉教授、神沼克伊氏(固体地球物理学)。先月出版の新著『次の超巨大地震はどこか?』(サイエンス・アイ新書)で、過去の発生記録から分析を試みている。
地図に明示した通り、想定域は北から千島海溝沿い(北方領土沖〜十勝沖)、南海トラフ沿い(静岡西部沖〜宮崎沖)、日向灘および南西諸島海溝周辺(鹿児島沖〜沖縄近海)の3カ所になる。神沼氏は「連動して起こる海溝型の超巨大地震は、海側のプレートが日本列島の下に潜り込むような動きで発生する。同じプレート境界でもユーラシア、北米の両プレートは接しているだけで潜り込んでいないため、日本海側ではM9クラスは起こらない」と説明する。
これら3海域の超巨大地震で、とりわけ過去に甚大な被害をもたらしているのが1707年の宝永地震。南海トラフ沿いで発生した東海、東南海、南海の連動型といわれ、規模はM9・1−9・3との説もある。
震源は遠州灘沖から紀州半島沖。大津波は20メートル超で高知に押し寄せたほか、大阪湾にも襲来。旧淀川や木津川の河口から市街地に入り込み、死者1万2000人のうち溺死者は7000人に及んだとされる。
政府の中央防災会議は、宝永地震と同じような大地震が発生したとき、最悪で死者は約2万4700人と想定。震度7の激しい揺れや10メートル超の津波で約96万棟の住宅などが全壊し、経済被害は約81兆円と試算している。
では、3海域に含まれなかった東日本大震災の震源域はどうなのか。3・11では首都圏でも深刻な液状化や交通マヒに見舞われたほか、津波による死者も出た。同じ震源域で再びM9級が発生する可能性はあるのか。
「過去の例から考えると、超巨大地震は頻繁に起こらない。大きな余震への備えは必要だが、一連の活動が終息すれば、しばらくは最も安心できる海域といえるだろう」
問題は、3海域での超巨大地震がいつ、どこで起きるのか−だ。
「M9クラスは発生頻度が高いといっても、数百年から1000年に一度。寿命が約100億年といわれる地球が起こす自然現象だけに、50−100年のずれは誤差のうち。場所はある程度特定できても、いつか(3海域の)いずれかで起こるであろうとしか言えない」と、神沼氏は指摘する。
M9レベルの地震で最も恐ろしいのは、東日本大震災でも甚大な被害をもたらした大津波。神沼氏は「津波から身を守る方法はひとつしかない」と断言する。
「とにかく『津波は逃げろ』の一言に尽きる。M9クラスでは30メートル級の津波も考えられ、防潮堤などのハードで対応するのは限界がある。逃げる重要性を教育を通じて周知、徹底すること。自治体は避難場所と経路の確保、避難訓練の実施に継続して取り組むべきだ」
今回の大震災では対策の甘さも浮かび上がった。神沼氏が警鐘を鳴らす。
「地震直後に各自治体が行うべき津波への対応はM8でも、M9でも変わらないはず。ところがM9という規模が『想定外』とされ、不備を隠す逃げ口上となっている。これではまたM9がどこかで起こったとき、対策を怠った自治体が規模の巨大さを理由におとがめなしとなる危険がある」
3・11の経験を無駄にしないためにも、「津波は逃げろ」をスローガンとしたM9地震対策が必要だ。
■神沼克伊(かみぬま・かつただ) 1937年、神奈川県出身。総合研究大学院大学と国立極地研究所の名誉教授。東京大大学院修了後、東大地震研究所に入所。地震や火山噴火予知の研究に携わる。著書に『地震学者の個人的な地震対策』(三五館)など。
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