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(Japan earthquake: Tokyo loses skyscraper passion: BBC NEWS MAGAZINE)
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-15024911
2011年9月24日最終更新13:23GMT
日本の地震:東京は摩天楼への情熱を失う
記者:ローランド・バーク
BBCニュース、東京
3月に日本を襲った巨大地震で、摩天楼は1棟も倒壊しなかったが、その揺れは荒々しかった−東京の地下で大地震が発生する時期はすでに来ていると専門家が指摘する中、高層ビルで情事を楽しむライフスタイルは、終わりつつあるかも知れない。
朝、ヤマモト・エミコさんがカーテンを開けると、その褒美として、彼女はまさしく東京を見渡す壮大な眺望を受け取る。
30階の部屋から、彼女は高層ビルや高速道路の高架、新幹線、さらには、晴れた日には雪を冠した富士山の円錐を、遥か遠くに見ることができる。
東京に住むなら、このような眺望を手に入れたいと夢見るものだが、エミコさんは一刻も早くここを去りたいと願っている。
今年3月、地震に襲われたとき、彼女はこの部屋の中にいた。
建物は大きく揺れ、本は棚から落ち、周囲の家具は壊れ、彼女は死ぬかと思った。
彼女は建物から出ようとしたが、エレベーターが動かないことに気づいた。揺れ戻しが続く中、歩いて降りる階段の長いこと長いこと。
現在、彼女と夫は家を探している。あと一押しで別の集合住宅が見つかりそうだが、2階より上に住むのはもう御免、と彼女は語る。
東京の住民は、都市が大きな断層の上に建設されたことを常に意識している。歴史を通じて何十年かごとに、都市は地震によって破壊され、その度ごとに再建されてきた。
そのため、首都の地下を震源とする大地震はいつ起きてもおかしくない。地震学者たちは、起きるか起きないかは問題でなく、いつ起きるかが問題だと語る。前の地震が1923年だったので、実を言うと、次の時期はすでに来ている。
現実性の点検
3月の大地震までは、自分たちの生活を続けながら、その大部分を頭の片隅に押しやることが可能な何かが、東京の住民にあるように思えた。
それが、目の前に存在し続ける、終わる可能性のほとんどない脅威に対処する唯一の方法だった。
3月の地震の震央はかなり北方で、日本の海岸線からも離れていたが、それでも、大部分の人々がいままで経験した最も劇的な揺れを、東京に与えた。
科学的な意見としては、地殻の歪みが解放されることにより、首都の直下で大地震が発生する可能性は増えこそすれ、減ってはいない。
そのため、東京の住民は、不快な現実に直面せざるを得ない。
最近では、壮大な眺望がかつてほどセールスポイントにならなくなっている。いまや、新築マンションの広告やチラシは、耐震機能をかなり強調するようになっている−精巧な基礎や、非常用の食料・水・発電機の備えなどだ。
さらには、下支えする地面の質だ。埋め立て地−東京には多いのだが−は安全性が低く、液状化に対して脆弱と判断される。
3月の地震の後、高層アパートの売上は急落した。部屋を借りた人の一部は、転居が可能だったため、部屋を引き払っている。
この状況を見て、日本で最も成功している不動産デベロッパーの一人は考え始めた。
森章氏は、高層ビルの建築によって億万長者となった、日本3位の大富豪だ。
いまや、同氏は語る。摩天楼が高さを競う時代は終わったと。同氏が呼びかけている新たな構想は、危機の際には安全施設となるように設計された、より低層でより床の広いビルのある東京だ。
同氏が構想するビルは、1週間以上自給生活ができる設備が整い、外が普通の状態の戻るまでの間、住民は留まり続けることができる。
森氏は、個人的には摩天楼は全然好きじゃない、と私に語った−以前、20階に住もうとしたが、1階に降りるのが不便だとわかった。何よりも、窓ガラスを通して太陽の光が照りつける。
いま、同氏は日本人の心理に変化を見ている。この数十年、同じ民族である日本人は、高いところに住み、働くことを欲していた。
2001年9月11日、世界貿易センターの上層に多くの日本企業が入っていたのは偶然ではないと、同氏は語る。
もうたくさん、ということだ。
恐怖という要因
皮肉といえば、当然のことだが、この3月の地震のために倒壊した高層ビルは、日本には1棟もない。北の震央に最も近い都市、仙台でさえそうだった。
確かにそうだ。壁が割れたり、歩道がガタついたりすることはあったが、ビル自体はずっと立ち続けていた。
それでも、地震の揺れが納まったずっと後も、ビルは揺れていた。大地が揺れる衝撃を構造全体に分散させたためだ。
ビルの中にいたために、人々は船酔いのような状態になった。そして、恐怖を感じた。
そこから日本の技術者が得た教訓は、弾性構造をビルに持たせるだけでは不十分だということだ。
別の日、私はある日本の大手建設会社が運営する開発センターに行った。大聖堂ほどの大きさもある、巨大なコンクリートのビルの内部では、大きなテーブルが機械の上に載っていた。この機械は、構造物をテストするために、テーブルをどの方向にでも揺り動かすことができる。
彼らは、3月の地震のときの地震計の記録に基づき、その機械を使って正確なシミュレーションをしてくれた。それはまさしく、目からウロコの体験だった。
実際の地震の間、周囲の全てのものは一緒に動き、何らかの意味があってじっと動かないものは1つもなかった。いま、私は地面がどれだけ激しく動いたかを目にすることができた。
日本の技術者は既に、ビル全体を地面の揺れと切り離すためのゴムの上に基礎を置き、構造を強化するための支柱を立てる工法を開発している。
そのビルは、揺れるように設計されている。折れる、というより、撓み、収縮するのだ。
しかし、今では、単に地震に持ちこたえる高層ビルを作ることではなく、中にいる人たちが、自分たちも持ちこたえられると確信できるようにすることが、難しい問題だと彼らは語る。
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(投稿者より)
BBCサイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。
阪神大震災の後、「このような災害が今度起きれば、日本人の価値観は大きく変わるだろう」と語った方がいたと、どこかで聞きました。そして、それは起きました。
高いところに住みたい、というのは、競争を是とする深層心理の現れと見ていいと、個人的には思っています。それが、地震と原発の事故が起き、人々は高いところを怖れ始めている。日本人の深層心理に大きな変化が起き始めており、その予兆を記者は読みとったのかも知れません。
競争心の強い人は心臓病のリスクも高いそうです。それが、原発事故による内部被曝が原因と推定できる心臓疾患が、最近急増している、とも聞きます。 何とも皮肉なものです。ただ、因果関係の証明はかなり難しいでしょう。
その心理的な問題に、技術面での対応を並置させる構成を、記事はとっています。技術の発展により、これは乗り越えられるかも知れない、とのメッセージでしょう。しかし、地面は揺れるがビルは揺れない、という技術は確立可能かどうか、私には分かりません。
この記事と同じ内容の動画記事を、下に付しておきます。
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(Beginning of the end for skyscrapers in Japan?: BBC NEWS ASIA-PACIFIC)
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-14982072
日本の摩天楼に終わりの始まりか?
(下のリンクより、動画記事がご覧になれます)
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-14982072
2011年9月20日最終更新03:11GMT
日本の大富豪の一人で、不動産デベロッパーの億万長者、森章氏は、摩天楼の建築を中止するよう呼びかけた。
3月の破壊的な地震と津波があってから、高層アパートの売上げは急落した。低層住宅に引っ越した借家人すらいる。
東京から、ローランド・バークが報告する。
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