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一時期、香山リカなどが、盛んにケアの重要性を言っていたのが
逆に、ボランティアを増やしすぎたか
やはり、こういう時は、金を黙って渡されるのが一番ありがたいのだろうが
それではボランティアの自己満足や充実感は得られないから
今後も、こういう需給のミスマッチは繰り返されるのだろう
読売新聞(ヨミドクター)
拒否される心のケア…被災者、質問に辟易
「心のケアが避難所で拒否されている」
こんな話を被災地の医師から聞いた。
5月半ば、突然の電話に、看護師の阿部幸子さん(53)は耳を疑った。岩手県赤十字こころのケアセンター統括として、避難所に「日赤こころのケアチーム」を派遣しているが、現場の保健師が、
「避難所では『心のケア』と名乗らないで」
と言ってきたのだ。
「何かご迷惑でも……」。心配して尋ねると、保健師はこう説明してくれた。
「心のケアと掲げる色々なチームが避難所を訪れ、被災者に質問するので、被災者が辟易して、他の避難所に移りたいと言うのです」
確かに5月初めの週末、ある避難所では、精神科医、看護師、心理カウンセラーなど専門職のチーム、市民ボランティアなど、十数のチームが、心のケアと書かれた札や腕章をつけて被災者を訪れ、活動していた。
4月に宮城県南三陸町の避難所で会った79歳の女性を思い出した。津波で娘を失ったつらさを私に、
「誰でもいいから聞いて、という思いと、そっとしておいて、という気持ちが行き来するの」
と訴えていたのだ。
岩手県内の避難所を歩いた看護師出身の衆議院議員、山崎摩耶さん(64)は
「心と言えば、精神科と思う人も多い。でも、何より気になるのは、心のケア『してあげる』というおごった姿勢。ケアは傍らに寄って行うものです」
と指摘する。
◇
「心のケア」は、1995年の阪神大震災後、被災者の心理的支援の必要性を叫ぶ言葉として登場した。復興過程では心的外傷後ストレス障害(PTSD)専門施設、「兵庫県こころのケアセンター」ができた。初代所長の精神科医、中井久夫さんを神戸に訪ねた。
避難所の話に中井さんは「心のケアは、そううたって何かするというものではない」という。
「神戸では、被災者の心のケアを、一人にしない、体験を分かち合う、生活再建、の3段階で考えました。今回『寄り添う』という言葉を聞くが、その通りです。震災後、100日くらいで被災者の向き合う相手は自然から人間に移り、苦痛の質も変わってきます。まさに今からです」
隣人として患者に接する医師など、寄り添う姿は今回の取材でも心に残る。被災者の怒りが人に向き始めてきたこともうなずける。
心のケア――その意味は必ずしも明らかにはならなかったが、被災者の苦しみに思いを重ねることから始まるのだと思う。(編集委員 南 砂)
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